2001年 第17戦 日本GP


 ようやく予選をTVで見られたと思ったら既に最終戦……しかも、2:40〜などというふざけた時間……やってらんないっす。
 んでもめげない私は昨晩普段よりも2時間早めに寝て、録画終了直後の4:00に起床、しっかり出勤前に(今日は仕事だったのさ……)予選見てやったのだ!!

 まずはニュースから

今期イギリスF3チャンピオン、佐藤琢磨が来シーズンジョーダンをドライブ

ジャン・アレジ、鈴鹿を最後に引退

 佐藤琢磨がジャン・アレジを追い出す形になってしまいました。アレジにはこのラストランを見事完走して、「全戦完走」を達成していただきたい。
 佐藤琢磨はこれまでの日本人ドライバーには無かった、デビューから「かなりやるチーム」での参戦。はっきし言ってめちゃめちゃ期待できます。もっとも、中嶋さんが初めてF1参戦したときはロータス・ホンダ、しかもチームメイトはアイルトン・セナ。これもなかなかいい条件だったことは間違いないんだけど(事実、雨のオーストラリアで4位入賞、しかもファステスト!〔あんまし自信ないけどたぶんそうだったはずだ。87年のこと。〕)。ロータスが老舗の名門チームならジョーダンは新鋭チーム。一緒に伸びて行ってくれる事を期待。情報によると、アイルトン・セナと同じ年間12勝でイギリスF3を制したとのこと。本気で期待大です。

1. 予選結果

1  M シューマッハ  フェラーリ  ブリヂストン  1:32.484
2位  モントヤ  ウィリアムズ  ミシュラン  +0.700
3位  R シューマッハ  ウィリアムズ  ミシュラン +0.813
4位  バリチェロ  フェラーリ  ブリヂストン +0.839
5位  ハッキネン  マクラーレン  ブリヂストン +1.178
6位  フィジケラ  ベネトン  ミシュラン +1.349
7位  クルサード  マクラーレン  ブリヂストン +1.432
8位  トゥルーリ  ジョーダン ホンダ  ブリヂストン +1.518
9位  バトン  ベネトン  ミシュラン +1.891
10位  ハイドフェルド  ザウバー  ブリヂストン +1.901
11位  アレジ  ジョーダン ホンダ  ブリヂストン +1.936
12位  ライコネン  ザウバー  ブリヂストン +2.097
13位  アーバイン  ジャガー  ミシュラン +2.367
14位  ビルヌーブ  BAR ホンダ  ブリヂストン +2.625
15位  フレンツェン  プロスト  ミシュラン +2.648
17位  パニス  BAR ホンダ  ブリヂストン +3.282

 今回、予選タイムを載せたのはそれなりの理由があります。これまでのコースレコードは91年 G ベルガー/マクラーレン・ホンダMP4/6 が出した1分33秒台の半ば、これを10年ぶりに、マイケル・シューマッハが1秒も更新して見せたこと、そして、2位のモントヤにコンマ7秒もの大差という、一人だけずば抜けた速さを見せ付けた、このポールタイムは歴史的なものと言ってよいでしょう。

 何が歴史的かと言うと、その意味は10年前と現在のF1の違いにあります。
@10年前、F1のエンジンは3,500cc、現在は3,000ccである。
 私の記憶によると、アイルトン・セナとローランド・ラッツェンバーガーの死亡事故以来、F1はそれまでよりも「高速化」を防ぐための取り組みが急速に行われていきました。スピードを出さないためには排気量を制限するのが確かに手っ取り早いですから。さらに、
A10年前は予選専用タイヤ、「Qタイヤ」があった。現在は1GPを一貫して1種類のタイヤ、使用セット数制限あり。(何セットかは忘れた。すまぬ。)
 これはレースをより「読みにくく」して展開そのものを楽しめるようにということから来ています。予選専用タイヤで思いっきり飛ばし、決勝はライフの長いタイヤを履く、というのが10年前。現在は予選でフレッシュなタイヤばかりを使っているとレースでは全てユーズド、ということになってしまい、不利になるわけ(そうとは限らないミシュランタイヤってのもあるにはあるんだが……使いこなすのは大変そうっすね)。
 以上、2つの主な要因から、10年間もコースレコードが破られなかったわけですが、この10年で技術はめまぐるしく進歩したということでしょう。33秒台を出したドライバーはトゥルーリまでの8人、彼らはマシンの性能によるところ大と考えますが、マイケルに限ってはマシンセットアップ能力、ドライビング能力が速い車を後押ししたように思います。
 因みに、マイケルは通常4回(予選の規定周回数12=インラップ、アタックラップ、アウトラップの3周×4)できるアタックを3回で止めてます。ライバル達に圧倒的な差を見せ付けたから、というのもあったようですが、フレッシュタイヤを3セット持っておきたかった、というのが本当のところのようです。(そうすると、規定のタイヤセット数は6セットか?)ま、アイルトンなら自分のタイムを破るためにコースインしたと思うんですが……。実際、マイケルはまだ余裕残した走行だったみたいだし。ま、こういうあたりが「マイケル・シューマッハ」なんだけどね。もっとも、今のレギュレーションだったらアイルトンもタイヤ温存したかもしれないし。

 さて、今回もウィリアムズの2台がマイケルを追いかける展開。鈴鹿ははっきし言ってタイヤに厳しい。となると、2位の候補としてはバリチェロ、ハッキネンと言ったところか?ウィリアムズからそれほどタイムも離れてないし、タイヤ性能からするとピット戦略が明暗を分けそう。マイケルはトラブルさえなければ勝っちゃうでしょう。そうは言っても何が起こるのかわからないのがレース……んでもこれだけ差が開いちゃうと……午前中のウォームアップでセッティングが決まっても、ねぇ。
 鈴鹿サーキットは「S字が決まればタイムが出る。」確か、何年か前に亜久里さんが言ってました。実際に、今回の予選では第1セクター(S字が入ってるとこ)がばっちし決まったマイケルがポール獲得です。ここがうまく決まんなくて、第2セクターの高速区間で速かったウィリアムズは2番手、3番手に甘んじてます。マクラーレンは……裏ストレートのスピードはあるんですけど……と言ったところ。レースでもマイケル有利は揺るぎそうにありません。

 ホンダ勢は「鈴鹿スペシャルエンジン」を投入したってのに何かパッとしない。特にBARの2台。もうこれはエンジンの問題じゃなく、シャシーであることは明らか。ビルヌーブはほんとに大変そうですね。金曜日のフリー走行でトップタイムを出したアレジは今回がラストラン、どこまでいけるか期待しましょう。

 そうそう、忘れるところだった。来シーズンからルノーのワークスチームになるベネトン、終盤に来て超仕上げてきてましたが、今回のフィジケラとバトン、なかなかいい位置につけてます。上位争いに食い込めるか?

2. 決勝結果

 ここ鈴鹿はコース1周のレイアウトを(画面上で)把握できる私にとって数少ないサーキット。コーナー名も本文中に出てくると思うんでよろしく。53周で争われます。

 さぁ、スタートです。ハッキネンとしては少しでも上に出たいところだが、どうか? でもスタートがいいウィリアムズが壁を作っている。果たして?
 ウィリアムズがいい! しかし絶妙のラインで前に出さず。この時点でスピードの違いが良くわかる。ハッキネンはフィジケラにかわされた。現在ヘアピン、既にマイケルとモントヤの差は車6台分くらいに。このスピードは圧倒的。バリチェロが130Rでラルフをパス。
 1周走ってマイケルとモントヤの差は既に3.6秒。すさまじいペース。ガソリン軽めでスタートかマイケル? 皇族はほぼ同じくらいの差で続いている。マイケルだけが異次元。ハッキネンはフィジケラの後ろで走りづらそう。マクラーレンの方が明らかに速いがこの抜きづらいサーキットではなかなか抜けない。
 と思ってたらフィジケラがスピン。この間に後続がどんどん前に。デグナーの1個目でした。これで前が開いたハッキネン、どこまで追い込めるか?
 モントヤとバリチェロが熱い。シリーズ2位獲得のためにはなんとしても抜きたいところだがウィリアムズはストレートが速い。普通、これだけやりあえば後ろが追いついてくるはずなんだが、ハッキネンの姿は見えず。しかし、前戦のこともある。作戦か?(そう信じたい、私。)

 マイケルはぐいぐい逃げてます。5周目で2位モントヤとの差9.7秒。めちゃめちゃ速いっす。絶対軽いって、こいつ。3ストップ考えてんじゃないだろーな? 

 ここでアレジとライコネンがクラッシュ! 2人ともなんともなさそうですが、これは残念。このレースで去るアレジと来期マクラーレンに乗るライコネン。もっと見ていたかったけど、これもレース。原因はライコネンのスピン。後ろを走っていたアレジは逃げ場を失う形でぶつかっていってしまいました。何か悟ったようなアレジの表情、クラッシュの原因を作ったライコネンに声をかけ、コースを後にしました。全戦完走ならず、残念です。

 マイケルの走っている画面、他の車が全く写らなくなってます。2位モントヤとは1周1秒速いペース。8周目で11秒5の差。すぐ後ろにバリチェロ、少し離れてラルフ、ハッキネン、クルサード。これまでのレースからすると、ウィリアムズのペースはそろそろ上がり始めるはず。
 マイケルの挙動がおかしいか? 連続してブレーキングミス。ウィリアムズが追い上げてくるまでに突き放すため気負いすぎか?言ってるそばからモントヤのペースが上がってきている。バリチェロが置いていかれるか? ついにモントヤがファステスト! 1回目のピットストップまでに何処まで追い上げられるのか? 明らかにコーナーでの挙動がさっきまでと違う。 ただ、バリチェロのパフォーマンスも上がってきた。 2位争いの2人でマイケルを追いかける展開。 現在13周目、マイケルとモントヤの差は10秒8。3ストップが予想されるマイケル、モントヤを下すには25秒くらいの差が必要と思うのだが……(マイケルがフレッシュタイヤ3セットを温存していたことをお忘れなく。)
 そうこうするうちにハッキネンはマイケルから21秒遅れの5位。はっきしいってきついっす。
 さぁ、3ストップのマイケル(ほんとか?)、ピットが動き始めました。と思ったら、3位のバリチェロからでした。トップからの3ストップはありうると思うんだが、3位で……モントヤの後ろで走るよりは速く走れる可能性はあるとは思うんだが、フィジケラに前を抑えられている。ルノーエンジンもよく伸びている! シケインで何とかパス。なんだ、フィジケラピットインなのね。これは1周早く入っちゃったかバリチェロ?(結果論だけど)

 マクラーレンが画面に出ない……。

 マイケルが18周目でピットイン。ハッキネンの後ろで戻る。これは2ストップですね。だったら予選、もう一回アタックしなさいよ、マイケル!!この2ショット、しばらく見れないんすね……(休養の後、必ずハッキネンは戻ってくると信じてます、私)。
 マイケルのピットインでトップに立ったモントヤ。19周目で這いけるとの差は15秒3。現在モントヤの方がマシンは軽いはず。どれだけマージンを稼げるか? 
 ハッキネンも調子は悪くないようですね。意地でもマイケルを前に出さないつもりのようです。でもコーナリングは明らかにマイケルのマシンの方が上のようです。ストレートでしっかり逃げて、コーナーで抑える走り、ハッキネンが頑張ってます。
 ウィリアムズのピットが動きました。モントヤがピットイン。クルサードの後ろ、5番手に戻りました。
 マクラーレンはどうもまだピット作業はやりそうに無い。またスタートでガソリン大目にしてたのか? これならまだ勝つ目も残っていることになるが……もちろん、これには車が軽くなったときにマイケルと同じペースで走ることが必須になる。昨日の予選を見る限りでは厳しそうです。
 ラルフがピットイン前で思いっきり飛ばしてます。ピットアウトで何位になるか?→バリチェロの後ろ、6位で復帰。この間にクルサードはピットに入ったようです。モントヤの追撃開始、ハッキネンに頭を抑えられているマイケルはきつい!
 25周目、ハッキネンがピットイン。ラルフの後ろ5位に復帰。マイケルとモントヤの差は6秒3。すぐ後ろにバリチェロ。バリチェロはそろそろピットインタイミングのはず(3ストップですから)。

 ラルフにペナルティ? 何したんでしょう? シケインをショートカットしたみたいですね。これでハッキネンとクルサードが繰り上がりで4、5位に。このままゴールできればバリチェロが優勝しても2位はクルサードに決まる。
 そのバリチェロが29周目、ピットイン。ラルフがペナルティーストップで入ってきてます。うげっ、バリチェロのエンジンがストール! ラルフの頭を抑える形でピットロードを行きます→ラルフがピットレーン出口、白線のエリアで強引に抜いちゃいました!これはペナルティ対象じゃないのか?

 現在の順位、マイケル、モントヤ、ハッキネン、クルサード。モントヤがぐいぐいマイケルを追いかけてます。少し挙動が乱れてきたマイケルのフェラーリ、タイムがそろいません。これに対し、モントヤはコンスタントに速い。 現在残り22周、6秒5の差。
 ラルフの先程の失態、どうやら再度ペナルティをとられるようです。さらに、バリチェロの前でまたまたシケインショートカット。怒ったバリチェロ、1コーナーで見事にラルフをアウトからパス。素晴らしいパフォーマンスです。これって、中嶋さんが得意とした抜き方なんですよね。

 1位マイケルと2位モントヤの差、あまり変わってきません。さっきまではタイムがばらついていたマイケル、きっちし揃えてきてます。このまま行っちゃうんでしょうか?36周目、マイケルがピットイン。全く問題なしです。またハッキネンの後ろへ。ということは、スタート直後以来、ハッキネンはトップの連中と同じペースで走ってるんですね。これでマイケルの優勝に赤信号が点灯。モントヤとしてはプッシュして少しでもマイケルとの差を広げてピットアウト後 前に出たいところ。しかし、その前には周回遅れのジャック・ビルヌーブが! 少し引っかかって前に。ここでピットイン、マイケルとの差は22秒と少し。ハッキネンはまだまだマイケルの前で頑張ってます。→ハッキネンがピットイン、マイケルがプッシュ! モントヤはその後ろへ! モントヤがマイケルに勝つにはもうコース上で抜くしかない。可能性としてはウィリアムズのスピードを生かしてメインストレートエンド、130Rの飛び込みといったところ。それはマイケルも十分わかってるんで、当然ブロックしてくるでしょう。後13周、これを実行するにはまず追いつかなければならないモントヤ。どこまで近づけるでしょうか?

 現在3位走行中のバリチェロ、41周目でピットイン。これでハッキネンが3位、クルサードが4位。トラブルが無ければこのままいけそうです。今回シューマッハのピットインタイミングの度にその前にいたハッキネン、なかなかいいパフォーマンスを見せてくれました。再来年へモチベーションをつなぐため、ここはなんとしても表彰台ゲットして欲しい! この終盤に来てもマシンの挙動はいいようです。

 残り6周。マイケルとモントヤの差は5秒2。この差が全く縮まってきません。これはもう決まったか? マイケルとモントヤはほとんど同じペースで走ってます。

 クルサードとハッキネンの順位が入れ替わってます。何があったんでしょうか? 画面上、実況も何にも触れてないんだけど……。

 ファイナルラップに入りました。マイケルのマシン、挙動に全く問題なし。ワールドチャンピオン、最多勝記録保持/更新中、さらに通算獲得ポイントでも801、アラン・プロストを超えた男、さすがです。

  

決勝結果

1  M シューマッハ  フェラーリ  ブリヂストン
2位  モントヤ  ウィリアムズ  ミシュラン
3位  クルサード  マクラーレン  ブリヂストン
4位  ハッキネン  マクラーレン  ブリヂストン
5位  バリチェロ  フェラーリ  ブリヂストン
6位  R シューマッハ  ウィリアムズ  ミシュラン
7位  バトン  ベネトン  ミシュラン
8位  トゥルーリ  ジョーダン ホンダ  ブリヂストン
9位  ハイドフェルド  ザウバー  ブリヂストン
10位  ビルヌーブ  BAR ホンダ  ブリヂストン
11位  アロンソ  ミナルディ  ミシュラン
12位  フレンツェン  プロスト  ミシュラン
13位  パニス  BAR ホンダ  ブリヂストン

 マイケル・シューマッハのチャンピオンらしい走りが光った1戦でした。ラルフ、モントヤは来年からが本当の勝負。ホンダ勢はシャシーに泣きました。こちらも来年は仕切りなおして勝負!

 このGPが引退レースだったジャン・アレジ、全戦完走はなりませんでしたが、数年前までは年間16戦で戦っていたF1GP、17戦中16戦完走は「全戦完走」といっても私は良いと思います。

ドライバーズランキング

1位  M シューマッハ  123
2位  クルサード 66
3位  バリチェロ 56
4位  R シューマッハ 49
5位  ハッキネン 37
6位  モントヤ 31

 バリチェロは結局ランキング3位、フェラーリの完全優勝はなりませんでした。
 しかし、1位マイケルと2位クルサードのこのポイント差、今シーズンのマイケルの凄さを証明してますね。
 不運なレースが続いたハッキネンは2度の優勝がありながら37ポイントの5位。リタイアが多かったことがわかります。

コンストラクターズランキング

1位  フェラーリ 179
2位  マクラーレン メルセデス 102
3位  ウィリアムズ BMW 80
4位  ザウバー 21
5位  BAR ホンダ 17
6位  ジョーダン ホンダ 17

 結局4、5、6位の順位変わらず。BARは終盤苦しみましたが、序盤のビルヌーブ3位2回が効きました。

 何度も繰り返しますが、このレースでアレジが引退。ハッキネンが休養へ。アイルトン・セナ、アラン・プロスト、ナイジェル・マンセルと一緒に走っていたドライバーが一人ずつリタイアしていく中、今年はモントヤ、ライコネンと言ったスーパールーキーがデビューした年でした。さらに、来年は「最強の日本人」といってよいであろう、佐藤琢磨が参戦。まだまだこの「F1TV観戦」止められそうにありません。(んでも、日本GPぐらいはサーキットでみたいぞ、私は。)

 「F1観戦記」はしばらくお休み。来シーズンまで。

Back