車優先社会 (03/5/21)

  1. 歩行者優先

    子供が小さい頃、赴任先の南米から家族と一緒に帰国する途中、ハワイのワイキキ海岸でバカンスを楽しんだ。 ビーチ沿いの道路を横切って水着姿のままホテルに帰ろうとしたら、通りかかっていた外車が止り、じっとこっちを見ている。 一瞬何故か分からなかったが、相手の合図を見て「どうぞ横断して下さい」と言っているのが分かった。 そこには交通信号は無く、歩行者は適当に横断していた。

    その時、アメリカでは歩行者優先なのだと妙に納得した。

  2. 車優先

    先日駅前の交差点を渡る時、歩行者の青信号が点滅していたので急いで横断したら、途中で赤になった。それでも横断しようとしたら、左折しようとして待っていた車の運転手がクラクションを鳴らし、罵声を浴びせて発進しようとした。 特に危なくは無かったが、一瞬不愉快な気分がした。

    思うに、日本の社会は車優先の社会である。 中には歩行者優先で運転している人もいると思うが、大多数は車の方が優先すると無意識に思っている。

    その証拠に、横断歩道の無い所を横断すると、注意深く止ってくれる車はそう多くない。

    道路は歩行者の為に作られており、車は歩行者の邪魔にならない様に通させて貰っている、あくまでも人間優先の道路であると言う基本認識に欠けている。 例外は自動車専用道路だけである。 それでも故障などで人が歩いていると車は止らねばならない。 多くの人が高速道路ではねられるのは人命優先の基本認識に欠けている証拠である。

    車社会になって間が無い日本はまだ車後進国なのである。

    交通違反を取り締まる警察の馬鹿さ加減を見ても、その事は明らかである。

  3. 欠陥車

    年間の交通関係死亡者を1万人を超え、なかなか減少しない。 怪我人の数はその何倍もいるだろう。

    何故交通事故死が減らないのか。 答は明白である。 それは車が欠陥車のまま放置されているからである。 事故が起きない様にする方法は幾らでもある。 100km以上のスピードが出ない設計にする。 衝突しそうになったらセンサーが検出して自動的にブレーキを掛ける。 フロントガラスの両脇の支柱を工夫し、前方の視界を広くする。 

    他にも色々有るが、以上言った事は遣ろうと思えばそんなに難しくは無い。

    何故遣らないのか。 最近、ホンダが自動追突防止のレーダーを開発したと新聞が報じたが、やっとメーカーも重い腰を上げ始めた。

    役所も警察もメーカーも真面目に事故死の事を考えないのは、根底に、人命優先ではなく車優先の思想が有るからである。 レーダーを付けると値段が上がり売れなくなると考える。 あれだけスタイルの競争に金を掛けるのだから、そのコストを安全対策に回せない理由は無い。 人命優先よりも儲かる車を作る方が優先している。

    車は確かに便利な乗り物であるが、公害を撒き散らし、人を殺す凶器である。 人間の知恵を使えば幾らでもその欠陥を除けるのに、車優先と言う間違った思想に汚染された社会では誰もその間違いに気付かないらしい。