生命の起源と探索(2007915)

  1. 色々な仮説

    数十億年前、原始地球の海の中で生命体が誕生したと言うのが大方の見方であるが、確固たる証拠はない。 その当時の大気の組成に合わせた密封ガス試験管の中で放電を繰り返し、生命体を構成する有機物の生成には成功しているが、一個の生命体の再現実験にはまだ誰も成功していない。 再現実験が成功しないので、生命体は宇宙の果てから飛来したと言う「宇宙外生命説」を主張する学者もいる。

    現在、最も簡単な生命体であるウイルスから高等生物の多細胞生命体まで多様な形で生命は存続している。 この生命分化のメカニズムはダーウインの進化論でほぼ説明が付く。

    生命は突然変異を繰り返しながら環境の変化に適応して現在まで生き延びる過程で多様化したことは信じて良いと思う。 しかし、厳密に言うと、完全ランダムな進化か、ある方向性を持った進化過程をとったかと言う点について未だ定説はない。

  2. 深海の生命圏

    最近、深海の探索が盛んに行われ、水深6500mの深海底に数百度の熱水を噴出す海底温泉があり、その周りに硫化水素をエネルギー源とする孤立した生命圏が存在する事が判明した。 煙突状のパイプから真っ黒い熱水が噴き上げ、その周りに奇妙な形の貝が繁殖し、それらを食べるカニや深海魚が沢山群がっている。 太古の地球は隕石の飛来で地表が熱せられ、海底にも沢山の火山が存在する高熱の環境であったが、その様な苛酷な環境でこそ生命が誕生し生き長らえる事が出来た可能性を示す証拠ではないかと考えられている。

  3. 火星の探索

    アメリカが打ち上げた火星表面探索ロボットが地表の写真や採取した土砂の解析結果を地球に送信して来た。 火星にはかって水があり火山もあった。 その様な環境で生命体が誕生した可能性を調べる為の探索が根気良く続けられている。 まだ生命存在の確証は得られていないが、太古の地球と似た火星での調査結果に世界の注目が集まっている。

  4. 宇宙の知的生命体探索

    この広大な宇宙に人間よりも進んだ文明を持った知的生命体が存続する可能性は非常に大きい。 最近の天体観測では地球環境に似た惑星を持った恒星が幾つか発見されている。

    また、以前から直径数百メートルの大パラボラアンテナで宇宙から到来する電波を受信し、雑音の中に人工的な信号が含まれていないかどうかの解析が世界規模のパソコンを動員して行われている。 勿論、人類の存在を知らせるメッセージが電波に乗せられて地球から宇宙に向けて常時発信されている。

    もう10以上経過したが、未だに宇宙の彼方にいる知的生命体が発する電波は受信されていない。 135億光年の彼方から到来した光を受ければ、光がその天体を発した頃の情報をキャッチできる。 しかし、今現在、その天体に知的生物がいて電波を発射していてもそれが地球に届くには135億年掛かる。 

    150億年昔の宇宙開闢当時、全ての天体は水素やヘリウムから出来ていた。  宇宙の生命体も多分有機物(炭素、水素、酸素、窒素、燐など)で作られているだろう。生命維持には硫黄、鉄、亜鉛などの元素も必要である。 水素やヘリウムが核融合を起こして燃焼し、次第に重い元素が生成されるには数十億年の歳月が必要である。また、生命が誕生して人間の様な知的生物に進化するには少なくとも10億年以上は必要だろう。 宇宙開闢以来、有機物で出来た知的生命体が出現するまでには、少なくとも数十億年は掛かる計算になる。 また、折角進化した知的生命体が、自ら開発した原爆で自滅に追い込まれる可能性もある。 しかし、少なく見積もっても、知的生物が住む惑星は宇宙に無数にあり、至る所から知的情報を含んだ電波が発射されているはずである。 その位置が遠いと到着までに数十億年掛かるので、受信は不可能である。 同じ銀河系か近隣の銀河系からならば数千年で電波は届く。 諸条件を考慮した確率計算結果、知的生物からの電波受信の可能性はかなり高いと推定されている。 問題は、人類文明の存続が今危ぶまれている様に、知的生物は絶滅する運命にあるのかどうかである。 もしそうなら、なまじ文明が発達しても数十万年の寿命しかない事になり、知的生命体探索の宇宙プロジェクトは成功する事はない。

  5. むすび

    人間は現在、宇宙には無数の高度文明が繁栄していると言う夢を追い求めている。 

    しかし、もし全ての生物は必ず絶滅すると言う事が真理であるなら、我々の夢も儚く消えてしまうしかない。 問題はそれが真理であるかどうかに掛かっている。