間接民主主義の欠陥(2007913日)

 

 

民主的選挙で選ばれた政府が決定し実行する政策や法律が、その時の世論と乖離しているケースにしばしば遭遇する。

例えば今問題になっている「インド洋における海上自衛隊の後方支援」などは、国民の大半は反対しているのに、自民党政府は世論に耳を貸さず、派遣を続行しようとしている。

国民の総意で選んだ政府が国民の意思に反して自分勝手な行動をしても、今の間接民主主義制度ではそれを阻止できない。

新聞がアンケートを取って国民の総意をサンプリングで調査する。 国民投票をしても統計的に同じ結果になるので、これは一種の直接民主主義の手法である。

政治家は国民の望む様に行動しなければならないので、判断に迷った時は、国民投票をするか、アンケート方式かで国民の総意を確認する必要がある。

この様な問題は民主主義が発達したイギリスやアメリカでも起きる。 イラン戦争に先手を打った時、アメリカの世論は戦争反対(最初は賛成が多かったが直ぐに反対が過半数を占めた)であったがブッシュはそれを強行し、今も継続している。 間接民主主義では、政府は国民の代表であり、政府のやる事は形式的に国民の総意に基づいていると言う暗黙の了解がある。 それを良いことに為政者は自分に都合の良い行動を敢行する。 それの報復は次の選挙でその人を落選させる事で時間差を持って成される。

今は情報化社会であり、その時々の国民の総意は簡単に直ぐ調べる事が出来る。 しかし、為政者は自分に都合が悪い結果が出る事が分かっているから、それをやらない。

これは真の民主主義ではない。 そして、真に民主主義を実行することは簡単であるのに誰もそれを直ぐに実行しようとはしない。 つまり、今の世の中にはこの簡単な事実を見逃そうとする政治への無関心が横行しているのである。

憲法改正だけでなく、国の重要な方針を決定する時にはすべて

2/3または過半数の賛成が必要な様にすべきなのである。 しかし、そのやり方は金の掛かる全国民投票ではなく、経済的なサンプリング方式で行えば良い。  こんな簡単な事が何処の国でもやられないで、「わが国は民主主義国家である」と云っているのは、「裸の王様」の愚と同じ事である。

ただ、世論の赴くままに政治を行うと、衆愚政治に陥る危険がある。 しかし、直接民主主義を通して国民の政治的な関心を高め、適切な政治的判断が出来るレベルまで引き上げる事は重要であり、少々の初期の躓きには目をつむる寛容さが必要なのではあるまいか。