買いたいものが無くなった(2009/1/20

 

  1. 買いたかったもの

    ここ数年買いたかったものを列挙してみると、液晶ハイビジョンテレビ、ハイビジョンビデオカメラ、ブルーレイディスク録画再生機器、高画質デジタルカメラ、高性能パソコンなどが主なものであった。 そうして今日現在、これら全てのものは手に入り、満足のいく生活を送っている。 もう買いたいものが無くなった。  強いてあげれば、低燃費のハイブリッド自動車、省エネ型のクーラー、冷蔵庫などまだ買いたいものはあるが、先立つものが無い以上、当分は省エネ設計でない旧式のもので我慢するしかない。

  2. これからの世の中

    世の中は不景気だと騒いでいるが、我々庶民はいわゆる日用品を除いて値段の張る耐久製品などではほとんど買うものが無くなって来た。 これからの日本は、新規の産業を興すか、内需を当てにしないで海外新興国の外需に大きく依存するしか、生産活動の道は無くなりつつあると言える。

    近い将来、低炭素社会に移行する為、電気自動車、家庭用太陽光発電システムなど新規の需要が発生するだろうが、これらの需要が顕在化するにはまだ十数年の時間が掛かる。

    本格的なシルバー社会に突入すれば内需は減少し、需要が増えるのは老人介護設備や介護労働者だけである。 さらに少子化傾向が強まる社会で子供相手の需要も下降の一途を辿る。

  3. 金融資本主義の暴挙

    資本主義社会は、植民地経営による商業資本主義時代、産業革命に端を発する産業資本主義の時代、そして現代の「お金がお金を生む」金融資本主義へと変貌して来た。

    アメリカのサブプライムローンの破綻により、金融資本主義が如何に不道徳で狡猾な詐欺まがいの商法であるかが明らかになった。 過剰流動に陥ったお金が、甘みのある投機先を探して世界中を駆け巡っている。 規制緩和によって新しい金融商品が生み出され、詐欺まがいの証券が莫大な富を稼ぎ、そのバブルが弾けて多大な損害を世界経済に与えている。 投機マネーは集団で暴力を振るう。 誰かが石油の先物を買うと将来石油の値段が高騰すると言う思惑が世界中に一気に広まり、投機資金が急速に石油市場に集中し値段を吊り上げる。 需要と供給の均衡によって決まるべき物の値段が、投機の思惑だけで上昇し、ピークを迎えると一気に下落する。 トウモロコシや大豆など、本来食料に供するべきものもエコ燃料として投機の対象とされ、世界中の貧乏人が食費の高騰に苦しんでいる。

    世界中の投機資金が集まる所に人為的にバブルが発生し、バブルが支えきれなくなると急激に崩壊するという現象が今世界中に起きている。 投機のリスクが巧妙に分散された証券を世界中にばら撒き、投機資金を誘引してバブルを発生させる。 アメリカでは金融自由化を悪用して、巧妙に仕組まれたサブプライムなど詐欺まがいの証券を売り、人工的にバブルを発生させて莫大な利益を稼ぐ悪徳商法が横行した。 いずれバブルが崩壊するのは分かっているのだが、早めに撤退して損失を回避するものと、バブルの崩壊について行けず大きな損失を出すものが発生し、敗者は奈落の底に突き落とされる。

    金融資本主義は、真面目に働くものが利益を得る社会からマネーゲームに強い賭博師が幅を利かせる社会風潮に拍車を掛けた。  投機で稼いだ金で消費が増大し、実質経済も恩恵を受けたように見えたが、バブルが崩壊すると全世界の実質経済は不況のどん底に突き落とされ、会社の倒産、赤字転落、派遣社員の大量解雇など予想をはるかに超えた損失を蒙っている。   

  4. 新しい社会への変革

    地球上に先進国と発展途上国が並存する限り、先進国でのウワーキングプアの問題は解決できない。 先進国の産業は人件費の安い発展途上国に進出し、国内でも人件費の節減競争に晒される。 生産は高度に自動化されており、人手を要する工程では先進国の労働者も発展途上国の労働者も高度の技術レベルを要求されない。 従って、賃金は途上国での賃金に引きずられて出来るだけ低く抑えられる。 高度な技術を要する職種に就かない限り高い賃金は貰えない。 世界的な競争に晒されている現在の環境では、先進国の労働者と言えども高賃金に見合う高い技術レベルを持たない限り、ウワーキングプアの呪縛から抜け出す事は出来ない。 高い技術レベルを持った人材の養成が肝要である。

    また、金融資本主義の暴挙をコントロールするには、今回のG20国際会議で打ち出された様に、金融商品の自由化、信用の格付け、マネーの過剰流動性などについて、規制と統制を強化しなければならない。 また、IMFの機能を強化し、バブルの発生を事前に抑制する処置をグローバルに俊敏に取る必要がある。 米国を初めとする金融大国の暴挙により世界中の経済活動が鈍化し不景気に陥る様な経済システムを改め、安定した経済発展が実現する新しい経済システムの構築が急務である。 

    地球温暖化を防止する技術を推進し、出来るだけ早く新しい産業を興して投機資金を有効に活用し、低炭素社会への社会構造変革を実現する必要がある。 アメリカの新大統領オバマ氏に期待する所、大である。