進化の木(2009419)

  1. 進化の表現法

    現在地球上には数千万種の種類の生物が確認されている。 まだ見つかっていない新種を含めると数億種の生物が存在すると推定される。 これらの生物は35億年以上昔、生命体の誕生時には多分1−2種類の不完全な生命体であっただろう。

    それらが、時間とともに周りの環境変化と呼応して、多様化の道を歩み始める。

    それらすべての道程を書き表すには系統樹を模すやり方が便利である。 

    (ここで断っておくが、種とは、生まれた子供が生殖機能を持つ場合、その両親は同一の種に属すると定義する。)

    太い幹があってそれが枝分かれして行く普通の木の系統樹よりは、最近は球の中心に共通祖先を置き、それより四方八方に球状に枝分かれする系統樹が描かれている。 球の表面にいる無数の生物は現存する全ての生物群を表しており、先端から球の中心部に向かって枝を辿れば、個々の生物種共通の祖先が枝分かれした時代が読み取れ、何回も枝分かれして遂に中央にある太い幹に到達する。 そこには3つの幹があり、真核生物群、バクテリア、古細菌の分離している。

  2. 共通の祖先を求めて

    生物種の分類は5段階表示でなされる。 例えば人間は、動物界−哺乳網−霊長目−ホモ属−サピエンス種に分類される。 界、網、目、属、類と細かく分類して行く。

    今から六百万年遡ると、人間はチンパンジーやボノボとの共通祖先に到達する。すなわち、その時代から人間はチンパンジーなどと異なる種として進化の別の道を歩み始めた。

    700万年遡ると、マウンテンゴリラ、オランウータンとの共通祖先に到達する。

    6300万年遡ると、霊長類全体の祖先に到達し、キツネザルなど188種の大集団の一員となる。 さらに時代を遡ること、1億3000年前、胎児を包む羊膜を獲得して胎生出産する哺乳類と合流しライオン、馬、鯨、犀、モグラなどのグループに入る。 1億4000万年前には獣類となり、オーストラリアの有袋類と袂を分かっている。

    その頃、動く肩硬骨を獲得して歩行機能が進化し、恒温動物として体温を獲得している。

    3億4000万年には4足動物として4足で動ける様になり、4億2000万年前には肉鰭類として手足の鰭が手足に原型となった。 5億8000万年前には、脊椎動物として背骨を持った。また左右対称動物となり、7億年前には後生動物として、御尻が先にでき、後から口腔が出来る発生過程を取る種となった。 また多細胞生物として自由に動けるようになった。 10億年前には植物と共通の真核生物に進化し、この時点で植物と別に道を歩み始めた。 究極は真核細胞、原核細胞(バクテリア)、古細菌(高温で生きる細菌で、数百万種いる)が合体して進化の木の中心を構成する。 全ての生物の出発点である。

    それは今から36億年前と推定されている。 その頃、シアノバクテリアが発生し、光合成によって沢山の酸素を発生し、酸素吸入生物の大繁殖を起こしたと言われている。

    系統樹の中には長い時間幹だけあって分岐した枝のない部分がある。 これは一度出来た枝にいた生物が絶滅したことを意味する。 この種の絶滅は丸い系統樹の中で頻繁に起こっている事は注意を要する。