人間の価値は遺伝子で決まるか(02/12/7)

  1. 酒飲みの戯言

    一升酒が飲める事を自慢する酒飲みは今でもあとを絶たない。私は子供の頃、甘酒を飲んでも顔が赤くなる程アルコールに弱かった。
    サラリーマンになって酒席で鍛えられ、少しは飲める様になったが、未だに酒が好きになれない。

    私が役員を遣っている自治会の会長は酒好きで、何かと言うと宴会をしたがり、すぐ酒にまつわる自慢話が始まる。 夜遅くまで付き合わされて皆困っている。

    さて、酒の強弱は遺伝子で決定する事は皆さんもご存知だと思う。
    アルコールを分解する酵素を肝臓で沢山作る遺伝子を持って生れた人は酒豪になり、その遺伝子の無い人は下戸になる。 それだけの事である。

    酒に強い事を自慢し、弱い人を軽蔑する人は、人種差別と同じ過ちを犯している。 黒人を軽蔑してはいけない。 彼らは人類発祥のルーツであり、ちゃんとした教育を受ければ白人と何の優劣も無い。 運動神経など、白人よりは数段優れている。要するに、遺伝子で運命付けられた事を自分の才能として自慢してはならない。

  2. 人間の価値

    それでは人間の価値は何で評価したら良いか。生まれ出た時に持っていた初期条件(国、時代、両親、環境、遺伝子など)を評価の基準に含めるのは不公平である。

    裸一貫で生れた子供が天賦の才能を伸ばし、如何に真摯に生き、社会に貢献したかで評価すべきか。 社会の一般常識は多分そうであろう。

    私は、その上に、如何に立派な子供を生み育てたかを、出来れば最上位に追加したい。 「動物的人生論」(ホームページ参照)に書いた様に、人生の真の目的は「子孫を残す事」だと確信するからである。

  3. 社会システムの改革

    人間は自分の欲望を満たし、自由に生きたいと思っている。 それらがぶつかり合って利害関係を生み、その調整の為に法律、宗教、社会的慣習などの社会システムが必要になる。

    一方、表現欲、探求欲、名誉欲、征服欲などは各種芸術、学問、スポーツを振興させ、また快適に生きる為に新技術を利用した便利な道具が作られる。 皆が広く利用出来る様にコストダウンも図られる。ここまでは良い事なのだが、問題は社会システムにある。

    自由・平等・博愛は人間の永遠のテーマであるが、今の社会システムはその理想から程遠い。 この狭い地球に人口数十億の人を快適に生活させるのは並大抵ではない。 膨大な人口を抱える人類に付き付けられた課題(自然破壊、温暖化、資源浪費、民族紛争など)はどれも解決困難であり、今我々は人類最大の岐路に立たされている。金が万能の資本主義の矛盾も解決しなければならない。

    細かい事を言ったら限が無いが、目先の問題では「既得権益の解消」「税金の無駄使い」「貧富の差」「世襲制」など「不平等社会の悪弊」を早く解消し、皆が平等な条件で楽しい人生を送れる環境を整備しなければならない。

  4. 蛇足

    遺伝子理論によると、ゴルフや囲碁の様にハンディキャップを付けて競うのがまともな競技である。また、頭が悪いとか、運動が出来ないと言って子供や同僚を馬鹿にしてはいけない。

    その人が自分の優れた能力を何処まで伸ばせるか、その努力を評価すべきである。 人それぞれ欠点と長所を持って生れており、その長所を伸ばす生き方を評価するしかない。

    金持ちの息子を貶したり、羨んではいけない。 世襲制の現行社会制度を変えないと根本的な改革にはならない。 体にハンディキャップを持って生れた人にも出来るだけ快適な生活を保障しなければならないが、妊娠初期の遺伝子診断により、不良遺伝子がこの世に発生しない様予防処置を取るのが賢明な方法である。