偽善的な地震対策(2007718日)

 

  1. 後手後手な地震対策

    また信越地方で震度6強の地震が起き、お年寄りが10名死亡、けが人は千人を超えた。

    安部総理は早速被災地に飛び、お見舞いをしたが、前回の同地域の地震で、今回の被害は十分予想されていた。 行政機関も耐震対策に補助金を出す対策を打った。 しかし、古い人家の耐震対策には多額の費用が掛かるので、耐震対策を実際にする人は極めて少ない。

    そんな事は十分承知で、表向き如何にも対策を打っておりますと言うジェスチャーをして、県民を誤魔化しているのが行政府や政府のやり方である。 本心から有効な耐震対策を打っている機関は何処にもない。 補助率を大幅にアップしない今のやり方は欺瞞に過ぎない。 総理が急遽ヘリで飛ぶのも単なるジェスチャーに過ぎない。 なぜ事前に分かっている被害に根本的な対策を打たないのか。

  2. 予算が無いと言うには口実

    野党も真剣に追及しないが、与党も野党も行政府も、追求すれば「予算が無い。 自己解決が原則だ」と言い訳するに決まっている。 誰も自然災害に遭遇した人が不運だったと簡単に諦めている。 もし本当に本気で考えれば、予算なんか何処からでも捻り出せる。やる気が無いだけだ。

    私がホームページで書いた「災害対策」で述べている様に、予算には聖域があって、そこの予算には手を付けてはいけないと言う硬直した慣習が昔からある。

    エイズとか鳥インフルエンザなどには緊急の予算を付けるが、耐震性の無い家屋に住んでいる人は無視されている。 自己解決するのが原則であると言う言訳自体が間違っているのに誰も文句を言わない。 泣き寝入りである。 被災を受ける庶民の方も騙されている事に気付いていない。

    対策とは、予算の聖域に手を付ける事である。 まず、防衛費を削減する。 次に公共事業費を削減する。 公務員の給料を削減する。 医療保険料を増額する。

    などなど、地震国の人的被害を、より優先度・緊急度の高い次元の事態と考えるコンセンサスを醸成しなければならない。 

  3. 耐震対策費用の削減

    23の建築業者が割安な耐震対策の開発に努力しているが、なぜコストの安い耐震対策を国を挙げて研究しないのか。 地震の予報技術には多くの予算と頭脳を注ぎ込んでいるが、そんなものより、少ない費用で実現可能な耐震対策に金を注ぎ込むべきである。

    我々素人が考えても、家が倒れにくくして避難する時間を確保するとか、倒れても完全に倒壊しないで救済されるのを待てる様な対策は幾らでも考えられる。

    専門家が考えれば、安い予算で、例え倒壊しても人命だけは助けられる対策など、直ぐにでも開発できる。 そう云う事もやらないで、自然災害だから仕方ないと簡単に諦めてもらっては困る。 

    家屋の火事も、火災報知器を全世帯に無料配布する対策を何故実行しないのか。 多分耐震対策と同じ間違った意識が皆に働いているに違いない。

    要は、本当に国民の安全を考えているかどうかの意識が行政府に本当に有るかどうかの問題である。今もテレビは高い金を掛けて今回の新潟中越沖地震のニュースを流しているが、誰も真剣な対策を考える人はいない。 世の中には「正論」は通用しないのか。