最近の社会風潮(07/01/23)

  1. 情報の改ざん

    現代は情報化社会である。 物事の処理はすべて文書を通して行われる。

    例えば、何か事件が起きる度に、政府は新しい規制を作ったり、現行規制の改訂を行う。

    これらの規制が遵守されているかどうかは、文書のやり取りで行われ、現場での抜き打ち検査などは殆ど実施されない。

    規制を真面目に守るとどうしてもコストアップを伴う。 また、米国産牛肉の輸入規制のように、規制そのものが必要以上に厳し過ぎる場合が相当ある。 政府は、コスト意識よりも安全第1主義を主眼にして規制を作成するので、規制を守らされる立場から見ると、厳し過ぎる場合が多々見受けられる。 ここに、報告書のデータ改ざんが跡を絶たない原因が潜んでいる。 

    耐震強度偽装原子力発電所、電力会社のデータ改ざん、東京都排ガス規制での某商社のデータ改ざんなど、この種の事件が新聞を賑わせない日は殆どない。

    最近は、学術論文にも情報の改ざんが横行している。 韓国では、ノーベル賞ものの発見を記述した論文が、データの改ざんだった事が判明し、世間を騒がせた。 科学論文を改ざんしても、発表後の追試験で世界中がチェックするので、真偽の程は直ぐ分かる。

    改ざんしてでも論文を発表するのは、競争の激しいバイオテクノロジーの分野などで多い。 研究が思う様に進展しないと、政府の研究助成金が貰えなくなると言うあせりがそうさせる。 東京大学でも論文の改ざんが発覚した。 この様な傾向は今、世界中に蔓延している。 嘘をついても競争に勝ちたい、競争社会のなせる業である。

    最近の「納豆事件」も、テレビ業界の視聴率競争がその引き金になった。 限られた時間の中で、番組を安く制作しなければならないと、どうしてもこんな粉飾事件が起きる。 私は、新聞などに毎日掲載されている健康薬品の宣伝など、半数は信用できないと疑っている。 本当は自分の自然治癒力で治っているのに、薬のお陰で治ったと錯覚している人が多い世界である。 健康志向ブームに乗って一儲けしようとする業界の競争が、どうしても粉飾を生む。

    (注:最近の医学では、ある新薬が効く人と効かない人、酷い時には激しい副作用に襲われる人と、その効果にばらつきが出る事が分かっている。 それは人間の遺伝子に関係しており、特定の遺伝子が効果を左右する。 この問題は、テーラーメイドで薬品が処方される時代にならないと解決しない難問である。 それまでは、多少粉飾した誇大宣伝がまかり通っても仕方ない面もある

    もう一つ見逃せないのは、使途不明な政治献金報告隠蔽の問題である。 阿部内閣の閣僚はこの問題で一人辞職したが、まだ2−3人の大臣が同様な疑惑を持たれている。 国会が始まれば、野党の追及で一波乱ありそうである。 しかし、民主党の小沢党首にも政治献金規正法に抵触する疑惑があり、どこまで野党の足並みがそろうか疑問である。

    この他、三菱自動車のトラック・ハブ破損・リコール問題、不二家の期限切れ材料使用問題など、不利な条件を避ける為の情報操作・隠蔽があった疑いがある。

    (追記:世界に目をやれば、イラク大量兵器隠蔽疑惑の情報操作をして、先制攻撃を始めた米英の情報操作ほど、悪質なものはない。)

  2. 税金の無駄使い

    工事の談合事件が跡を立たない。 どうして、日本人は「談合」が好きなのか。

    世間では、政官業の癒着の構造が談合の温室であると言われ、高級官僚の天下り先を規制したり、指名入札を止めたり、発覚後の罰則を強化する策などが取られているが、根絶は至難の業である。

    私は、一番簡単で効果ある防止策は、積算金額に対する受注金額の比率を、入札直後直ちに公表し、それが90%を超えたものは、談合の怖れありとして、その段階で徹底的に入札過程をチェックする事だと思う。談合が発覚すると、新聞は、その時になって初めて受注金額の比率が100%に近かった事を公表する。 そんな事は入札締め切りに時点で、とっくに分かっていた事であり、当事者同士が隠していたに過ぎない。

    談合以外にも税金の無駄使いは数え切れないほど発生している。

    小は役所のカラ出張による裏金つくりから、大は不要な道路の建設、不要なダムの建設、有明海干拓事業、膨大な防衛費の支出まで枚挙に暇がない。

    なぜ、税金の無駄使いが頻発するのか。

    それは、「他人から集めた金」だからである。 自分が苦労して稼いだ金なら、こんな無駄使いは出来ない。 税金で払われる工事だから、出来るだけ積算価格一杯で落札したいと業者は考える 役人も予算を消化する事だけ考え、有効に税金を使おうと言う意欲が出ない。 民間会社が発注する工事や設備購入などには「談合」は殆どない。 自分達で稼いだ金だから、強いコスト意識が働く。 

    我々納税者の血税がどの様に使われているか、NPOや「オンブズマン」が精査できるような、情報公開制度、納税者による支出の監査制度でも作って、厳格にチェックしない限り、血税の無駄使いは根絶出来ないと考える。