擬態の驚異(06/12/14

  1. サバイバル・ゲーム

    食物連鎖の中に組み込まれ、捕食者の餌食になりながら、種の絶滅を避ける為に、生物は、進化の過程でいろいろな防御手段を編み出して来た。

    その中の一つが「擬態」である。 木の葉蝶は枯葉そっくりな羽を持ち、カメレオンは周囲の環境に合わせて体の色を変える。 忍者も舌を巻く変身の術を持っている。

    擬態は防御手段として有効なだけでなく、攻撃手段としても役立つ。 蘭の花そっくりなカマキリは、花の蜜に群がって来る蝶を待ち伏せ、簡単に捕獲してしまう。

  2. 擬態は進化の偶然か

    進化論によれば、擬態も偶然の突然変異と自然淘汰が生み出した産物である。

    しかし、そんな単純な偶然の積み重ねでは到底説明できない様な精巧な擬態が多数存在する。 木の葉蝶の羽には、植物の葉が持つ葉脈までちゃんと付いている。 この葉脈も偶然の産物であろうか。 私にはどうしても納得が行かない。

  3. 一つの仮説

    そこで思い当たるのが、ウイルス進化論仮説である。

    これは、日本人の遺伝学者が唱えている仮説である。 ウイルスは細菌の様に自己増殖できず、自分の遺伝子を生きた細胞の遺伝子と融合させ、その細胞が分裂増殖する時に一緒に自分の遺伝子も増殖してもらう。 つまり、生きた生物の細胞内に寄生して、他力本願で増殖する。 増殖するから生物の一種とも言えるが、厳密な意味では独立した生物ではない。 

    増殖したウイルス遺伝子が宿主の細胞遺伝子から分離する時、細胞の持つ遺伝子の一部を引き連れて分離する事がある。 そのウイルスが他の生物の細胞に寄生すると、最初の宿主の遺伝子の一部を新しい宿主の生物に感染させる可能性は十分に考えられる。 この様に、ウイルスを通して異なる生物間に一部の遺伝子が移動し、突然変異が起きると言うのが、ウイルス進化論である。

    例えば、植物の葉を作る遺伝子がウイルスを通して蝶の羽を作る遺伝子に転移すると植物の葉とそっくりな羽を持った蝶が出来る可能性はある。

    このプロセスを借りて擬態の酷似性を説明すると、ランダムな突然変異論よりも幾らか説得力があるのではなかろうか。

  4. 擬態の実例

    NHKの「自然の驚異」シリーズや「ダーウインが来た」シリーズを見ていると、精巧な擬態の実例が紹介される事が多い。 以下、これらのテレビ番組からピックアップした擬態の実例を写真で示す。