私の好きな映画(03/5/7)

これまでに数百本以上映画を見て来たが、最も印象に残っているのは、スタンレイ・キュービック監督の「2001年 宇宙の旅」である。

もともと、SF物を好む傾向は有る。 昔の西部劇も好きだったが、最近のアメリカ映画のSF系やアクション系は過激すぎて好きになれない。

見ていて心の休まる、温かみのある映画が見たいのに、最近の映画は、CGを駆使してやたらと奇を衒ったものが多く、表現がどぎつ過ぎる。

その点、「2001年 宇宙の旅」は、「a space odyssey 」のタイトルが示す様に全編詩情に満ちている。 台詞も殆ど無く、画面の美しさは格別である。 原作は確か、1968年に書かれたが、原作者のアーサー・C・クラークの未来を予想する才能は素晴らしく、2003年の現在見ても、ほぼ彼の予想通りに世の中は進歩しているのが分かる。

彼の作品には「3001年 宇宙の終局」と言う「2001年 宇宙の旅」の続編もある。 これはまだ映画化されていないと思うが、あと1000年先に彼の予言が当たるかどうかはともかく、非常に示唆に富んだ物語になっている。

「2001年 宇宙の旅」のあらすじは次の通りである。

300万年前、類人猿が目覚めると、そこに「モノリス」(特殊金属の方形の板、巾1m、高さ2m位)が急遽出現していた。 類人猿達が不思議がってそれに触るたびに高度な知能がダウンロードされ、遺伝子が操作されて、彼らは人類への進化の第一歩を踏み出した。

時代は一気に現代の宇宙時代にタイムスリップする。

木星探索に向かう宇宙船にはコンピュータ「ハル」が搭載され、乗務員と自由に会話しながら全てをコントロールしている。 

一方、地球では月のスペース基地付近で人工物の「モノリス」が発見され、300万年前に誰かが設置したものと判明し、その探索が始まっていた。

宇宙船は順調に航行していたが、パラボラアンテナの故障判定を「ハル」が誤った事がきっかけで、乗務員との間に不信を醸し、「ハル」の反乱で1人の乗務員が宇宙に破棄される。 そこで主人公が緊急処置を取り、「ハル」の機能を全面停止し、地上からの制御に切り替える。

しかし、木星探索に向かった主人公は途中沢山の「モノリス」に取り囲まれ、「光の回廊」に吸い込まれて土星の衛星「ヤペタス」に軟着陸する。 「モノリス」は彼に不思議な作用を及ぼし、人類は新しい生命体へと進化して行く。 300万年前、類人猿が人類に進化した様に。

以上が物語のあらすじであるが、その中で「モノリス」が重要な進化の鍵を握っている。 「モノリス」は一体何者なのか、その説明は映画には無いが原作にはちゃんと記載されている。

それによると、「モノリス」は進化の階段を登りつめた高等動物であり、その身体は一つに纏まらず、宇宙に「モノリス」の形で分散して存在し、相互間でコミュニケーションを取って一つの生体システムを構成している。 

かれらは宇宙の彼方からやって来て、地球に生命が誕生し進化している事を発見し、それらの進化をコントロールする実験をしていると言う設定である。

この原作を読む前は、映画を見て、この『モノリス』は進化を司る神を象徴したものではないかと、私は考えていた。 個人個人、自由に解釈して良いと思うが、原作者のアイディアは非常に卓越している。

確かに、地球上の生命は宇宙のどこかから流星に乗って飛んで来たと言う生命外来説がある。  高度に発達した宇宙人が生命の原型をロケットで地球に植え付けたと主張する人も居る。 真相は誰も知らないので、自然発生説が正しいのか、外来説が正しいのかは未だ分からない。

 

今年から有料TV放送の「スターチャンネル」に加入し、殆ど毎日、映画を録画して楽しんでいる。 最近印象に残った映画がこれである。 映画のタイトルがやたらと長いが、内容はこのタイトル通りである。

宇宙人の一種族として人類を捉え、種族維持の為に人類が如何に複雑怪奇なプロセスを経て生殖をしているか、他の宇宙人の目を通してコミカルに描いている。  確かに人類の生殖行動は単純で無さ過ぎる。

この外にも「クローン」とか「恋する遺伝子」など、DNA遺伝子に関連した映画がある事を知った。 しかし、一番面白いのは上記の映画である。

私の「動物的人生論」をコメディ映画にするとこうなる。

誰か是非この映画を見たい人があれば、DVDに録画した物をお貸しします。 遠慮なく申し出て下さい。