最近のトピックス(02/12)


1.「ナノテク」がおもしろい 

次の日本人ノーベル賞候補NO.1と言われるNEC特別主席研究員の飯島澄男さんの話では、「分子が100−1000個集まると、熱や電気の伝わり方など、通常の物理学には当てはまらない特異な現象が発現する。 この性質を制御し、新たな物作りに役立てるのがナノテクの本質です。」

彼が発見した新素材CNT(カーボンナノチューブ)は、6個の炭素原子が構成する六角形の網目が連なって円筒状の丸まった構造をしており、一層膜の場合、直径1ナノ・メーター、数枚の膜が同心円状に重なった多層のものでも直径数十ナノ・メーター、長さ数マイクロ・メーターに過ない。

CNTは様々な興味深い特性を持っている。

強度は鉄の20倍、重さはアルミの半分以下で、筒の巻き方や太さによって電気を通したり、半導体になったりする。 活性炭と同じ様な強い吸着力を持ち、電界を僅か掛けるとチューブの端から大量の電子を放出する。

これらの特性を生かすと、自動車や航空機を大幅に軽量化できる。 宇宙エレベータも理論上は建設可能である。 半導体の性質を利用すれば、今のLSIより数倍優れた特性を実現できる。 さらに、燃料電池のガス吸蔵や電極に用いる研究も進められている。

化粧品メーカ「ロレアル」は90年、ナノテク技術を使って、脂質で作った大きさ200ナノ・メーターの「ナノカプセル」の中に、光や熱に弱いが肌の保湿に有効なビタミン

Aなどの成分を閉じ込める事に成功した。 肌の角質層は硬くて厚いが、ナノカプセルは細胞の間の隙間を通り抜けて角質層の下に達し、細胞に有効成分をゆっくりと放出する事が出来る。

同社の高級ブランド「ランコム」は高価だが、年15%の勢いで売り上げを伸ばしている。

以上は読売新聞のホームページからの抜粋であるが、これらの他にも、半導体、医療・フィルム加工、商社(エコ燃料)、アメリカ(巻き返し)、基礎研究など最新の動向について書かれている。 

参照:http://www.yomiuri.co.jp/atmoney/special/33/hiketsu7_top.htm

極微の世界を制御して生れる新素材の恩恵は計り知れないものが有ると予感できる。

2.石原知事の暴言

「現代文明の最大の失敗は、婆を長生きさせた事だ。」と言う趣旨の発言が問題になり、女性団体から名誉毀損で訴えられている。

どこかの大学教授が言った事の受け売りらしいが、老齢年金、老人医療、介護問題など、世界一長寿国日本の直面するこれら諸問題の根源が長寿命化にある事は間違いない。 昔は人生50年と言われたが、現代、この世代は約30年の余命を持っている。 小生の「動物的人生論」でははっきり書かなかったが、生殖能力を失った老人は生き延びる必要は無いと言うのが自然界の掟である。 生物は、寿命が来ると死滅する様に設計されているが、人間は不老長寿を求め、医学を進歩させてその欲望をある程度達成した。 生存競争の激しい自然界では無益な事である。

多くの老人を抱えて、若い世代の負担増が問題になっている。 自然の掟に反抗する人間に課せられた宿命である。 昔あった「姥捨て山」の習慣を再検討する−寝たきり老人の尊厳死など−事も必要なのではなかろうか。

3.レイプされたマリア

最近、イギリスで、聖母マリアはレイプされてキリストを身籠ったと言うTVドラマが放映され、信心深いキリスト教信者の猛反発を受けたと、ニュースが報じていた。また、聖職者の25%は処女懐妊を否定しているとも言っていた。

裸の王様ではないが、こんな宗教の嘘を見抜けない人が、科学の発達した現代に未だ沢山いるのに驚く。 信じる事が宗教であるから、そう思いたい人は勝手にそうすれば良いが、裸の王様を笑った子供を責めるのは間違っている。 宗教には非科学的な嘘の教えが沢山ある。 これらは生物学の知識の無かった時代の人間の想像力、願望などが生み出した遺物であり、「総括」されなければならない事柄である。

宗教とは、迷える子羊(弱い人間)に生きる指針を与えるものであり、神話もどきの過去の遺物は払拭すべきなのに、伝統に阻害されて宗教改革を唱える勇気ある指導者が出ない。

新しい時代には、新しい宗教が必要であり、「動物的人生論」のような、現代生物学に立脚した近代宗教が求められる。アーサー・C・クラークはその著書の中で、3000年代の世界を予測しているが、今の宗教は消滅すると断言している。 未来予測に対する彼の感性は非常に鋭い。

4.内部告発

最近のTVニュースで、「タイムズ」社の選んだ2002年の「時の人」は、ワールドコムとエンロンの不正を内部告発した二人の女性に決定したと報じていた。 これを聞いて、世の中変わったと実感した。

つい先日までは、組織防衛は常識であり、内部告発はご法度であった。

戦後50年の日本社会の堕落も、この風習に原因がある。 自己組織化が終局に近付くと、その組織は必ず内部矛盾を包含する。 その時「脱皮」する必要があるが、なかなかそれが出来ない。 自己防衛機能が働くからである。

この閉塞状態を打ち破るには、勇気ある異端者の出現が必要である。 一般に男性より女性の方が勇気がある。 今は男性が威張っている時代だが、生物学的に言うと女性の方が優れている。

今回「時の人」に女性二人が選ばれた事は納得できる。 また、「タイムズ」社の選考も時代の流れを良く掴んでおり、なかなかの慧眼と言える。 日本も見習うべきである。

5.シェアする時代

資源を有効利用するには「タイムシェアリング」(時分割)が最も有効な手段である。 携帯電話を沢山の人が利用出来るのもシェアリング技術(CDMAでは符号分割によるシェアリング)のお陰である。 インターネット、パソコン、デジタル家電などデジタル化が進んだ分野では全てタイムシェアリング技術が利用されている。 そもそもデジタル化が進む理由は、タイムシェアリングがし易いからであり、それによって資源の有効活用が促進されるからである。

最近のニュースで、「タイムシェア車」の導入が試行されていると聞いた。

駅前などに車を配置しておき、会員制で共同使用するシステムらしい。

タクシーより使い勝手が良いだろうと思う。 個人が自家用車を持つのは不経済な事が多い。 稼働率が低く、駐車場に飾っているだけなのに、税金はがっぽり取られる。 レンタル制度が整備されておれば利用者は大勢いるのに、今のレンタル制度は料金が割高に設定されており、高値安定が普及を阻害している。 技術進歩の激しいパソコン、家電製品、自家用車など、個人で買っても直ぐ陳腐化してしまい、消費者は無駄な出費を強いられている。 もっと割安なレンタル制度(例えばレンタルビデオなど)を普及させ、古くなった物は中古品市場で再利用を図るシステムが必要である。 大量消費や個人所有よりも、シェアリングで有効活用を図った方が資源の有効利用になるケースが幾らでもある。 快適な旅行の為、共有リゾートホテル等ももっと普及させるべきであろう。

昔からあるシェアリングシステムに娼婦制度がある。 一夫一婦制度の時代の必需品であったが、今は不倫や援助交際に取って代わっている。

生物学的に言って、男性の浮気は絶対に無くならない。 種の存続のために今の結婚制度が理想的かどうかは議論の余地がある。 女性は良い遺伝子を求めるべきであり、遺伝子の安定供給(結婚制度)に依存するのは間違っている。 そうすると、男性は、女性を求めて闘争を繰り返す動物の世界に戻らざるを得ないので、しんどい事はしんどい。 貴方ならどちらを採りますか。?

6.ソフトLSI−富士通のアプローチ

同じく最近のTVニュースで、富士通がソフトLSIの開発に乗り出したと聞いた。 それはすばらしい開発方針であると思う。

パソコンはソフトを代えれば色々な事が出来る多機能機械であるが、その構成要素である

LSIは固定した機能しか持たず、新しいLSIに代えないとバージョンアップが出来ない。 例えば、CPUのスピードは一年経つと2倍位上がる。 パソコンメーカは毎月生産される新しいCPUや周辺装置を組み入れて新型モデルを作り、売り出す。 考えて見ればこの遣り方は無駄が多い。 消費者は新機能を求めて新しいハードウエアを買わされ、それに合ったバージョンアップ・ソフトも買わされる。 古くなった機械は一部再利用に回されるが、殆ど破棄されているのが現状だ。 技術開発と資源の浪費が両輪となって自転車操業をしている。 このシステム欠陥を直す為、ソフトLSIが必要になる。

LSIそのものの機能をソフトで制御し、ハードを代えないで機能変更を実現し、資源の有効利用を図る。 ソフトも資源の一種ではあるが、情報操作では物を消費しない。 ソフトLSI開発に成功すれば革新的だが、言うは易く実行は難しい。 例えばソフトでLSIの実装密度やスピードは上げられない。 やはり新しいLSIが要る。 メモリー容量もソフトでは増やせない。

ソフトで変更可能なのは、例えば、携帯電話の方式変更に伴い今は新しい機械を買わされているが、ソフトの変更で新システムに対応出来れば買い替えの必要が無くなると言った事である。 それでも、今の使い捨てよりは数段立派だ。 前もって余裕のあるLSI回路を組んでおけば、最初はその一部を使い、必要に応じて使用範囲を拡張する。 これも二度手間を省け資源の節約、有効利用になる。

我々消費者としては、買ったものが安い経費で長持ちする時代が早く来てくれる事を切望している。