資源浪費国−日本(2007年7月25日)

 

  1. 読む所の少ない新聞

    最近、新聞を見ながら感じる事は、紙面の半分以上が広告であり、書籍、生活用品に関する記事も宣伝に終始している。 それに、折り込み広告は、昔からの悪い風習で、読者の関心の有無などお構い無しに大量に毎朝届けられる。 私などは全然見もしないで直接ゴミ箱に捨てているが、同じ事をしている人は大勢いると思う。

    リサイクルが定着し、資源の乱用が抑えられているとは聞くが、何時までこの様な無駄なチラシを配るつもりなのだろう。 効率の悪い、資源浪費形の宣伝は直ちに止めるべきだ。

  2. 溢れ返る新刊書籍

    本屋に行くと、一億人総作家時代よろしく、独りよがりな下らない本が山と積まれている。 毎日、数百冊以上が新刊として発行されていると聞くが、本当に売れる書籍の歩留まりは相当低いはずだ。 殆どが、リサイクルに廻るか古本屋で安く売られる運命にある。

    最近、素人が自分史や自分の趣味を本にして出版し、関係者に配る風潮があると言うが、書店を通さない本や冊子も入れると膨大な資源の無駄が横行している事になる。

    情報交換はネットやテレビで

    テレビが多チャンネル時代を向かえ、インターネットが世界中に張り巡らされた現在、情報を省資源で伝達する手段は幾らでもある。 紙に印刷された情報は確かに見やすいが、技術的に進歩した液晶画面も今では遜色は無い情報表示機能を持っている。

    最近、デジカメの写真をハイビジョンテレビでモニターし印刷をしない、省資源な方法が普及し始めている。 印刷紙や印刷用インクに金を掛けないで済む便利なやり方だと感心している。 記録メディアを消しては使う記憶方式のシステム製品が普及し、お札を使わない、切符を買わない、本を買わない、印刷物を作らない(電子本利用)など、情報を紙に印刷しない省資源形の媒体がもっと普及すれば良い。 紙のリサイクルには大変な労力が伴うが、電気的に一瞬に書き込み、読み出し、消去のできる媒体はリサイクル費用が0である。 

    情報の表示装置は初期費用は高いが、ペーパーレスで紙をめくる手間も要らず、数万回消去して再利用できる。 初期費用は結構掛かるが、省資源効果は非常に大きい。

    もう一つの利点は、従来の広告が効率の悪い無差別宣伝であったのに対し、インターネットなどの広告は、それを見たい人だけがアクセスし、アクセス数に応じた広告費用が提供者に払われる、また、その過程を通して、消費者の購買動向や製品に対する好感度などの情報も収集できる。 非常に効率の良い双方向広告媒体になっている。

  3. リサイクル費用の節減

    資源の大量消費を防ぐにはリサイクルしかないが、その費用も出来るだけ抑える必要がある。 その為には、電子化された情報を活用するのが最良の方法である。 

    世の中は次第にその方向に進んでいるが、次の課題は、情報化システムそのものの省資源化、リサイクルし易いシステムの設計などの推進ではなかろうか。

  4. 追伸

    7月23日のNHK「クローズアップ現代」で解説していたが、日本ではもう直ぐ中国産の養殖うなぎが輸入制限される事になったらしい。 欧州産のウナギの稚魚が激減して来たので捕獲禁止処置を取る事になり、欧州産の稚魚を使って養殖している中国の養殖ウナギが日本に輸出できなくなると言うのだ。 もう一つ、日本の鯖の水揚げが近年激減している。 それは総量規制(漁船全体の水揚げ上限を設定する規正法)をしているので、日本の漁船は未だ親になって産卵していない幼魚まで競争で取り尽くし、鯖の資源の枯渇を放置していると言う。 これに対し、北欧では投網の穴を大きくして3年もの以下の鯖は取らない様にし、個々の漁船ごとに漁獲量を規制しているので、漁師も市場で高く売れる成魚を出来るだけ多く取る様にしていると言う。 その結果、北欧の水揚げは年々増加の一途を辿っているそうだ。 

    日本の水産資源保護政策がこれほど貧弱なものとは知らなかった。 これから北欧方式を真似るらしいが、絶滅危惧種を正常なレベルに返すには相当な年月が掛かるだろう。

    日本が浪費しているのは紙資源だけではなく、世界一の技術を誇る漁業でも資源保護の対策は打たれていなかった。 誠に嘆かわしい事である。 持続可能な資源捕獲の重要性が叫ばれてもう何年にもなるが、エコノミックアニマル的な日本人の性格がまだ修正されていないとは、誠に嘆かわしい事である。

    同じく「クローズアップ現代」で「レアメタル」の危機が指摘された。 資源国の中国が自分で

    LSIなど高級な部品を生産する様になり、日本向けの輸出を避ける為値段が高騰していると言う。 石油に始まりレアメタルなどの高度技術製品材料、原子力発電の為のウラン鉱石の確保など、資源獲得の競争は政治的様相を呈して来た。 資源のある国が資源外交で有利に立つ。 非資源国−日本の弱みがこれからの経済成長を妨害すると言う赤信号が点滅している。