人間を被写体に選ぶとどうしてもついて回る問題があります。 そう、「肖像権」というヤツです。しかし、撮る側も撮られる側も、肖像権について本当に理解していない場合が多く、あたかも都市伝説のごときでたらめな話が流布されているようです。 そこで、私なりに肖像権についてまとめてみました。 肖像権って何?そもそも、肖像権とは一体何でしょう?実は、肖像権などと言う権利について、日本の国内法には全く記述がありません。 憲法の基本的人権、民法の不法行為、不正競争防止法・・・その他、現行法の立法趣旨や法解釈等から、判例または実務上認められている権利に過ぎないのです。 それゆえ明確な定義が無く、権利の及ぶ範囲や侵害に対してどのような請求ができるかはその都度判断され、常に争点となります。 以下は現在主流ではないかと思われる解釈ですが、今後の判例次第では覆る事も大いに有り得ます。 そのつもりで読んでください。 定義肖像権とは、プライバシー権の一種であり
権利の及ぶ範囲一般に、「私的な時間」の肖像権はすべて保護されると考えられます。しかし、以下の場合は「私的」とは判断されない可能性もあり、必ずしも肖像権が保てるとは限りません。
また、「公共の利益」に照らして、相当の理由があると認められる場合も肖像権は制限されます。 (犯罪の告発など) 侵害に対して何が請求できるか?国内法で「肖像権」という権利が明文化されていない以上、その侵害は直接には罪となりません。すなわちよほど悪質で、撮影もしくは公開にあたって肖像権侵害以外に何らかの法令違反を犯していない限り、刑事罰に問うことはできないのです。 しかし民法上の「不法行為」には該当するため、民事において法的な救済措置(使用差し止めや損害賠償など)の請求は可能となります。以下に民法の関連条文を抜粋しますので、参考にしてください。
肖像権を侵害しないためにはまず、撮影時には可能な限り事前に撮影の同意を得る事が必要です。(スナップなどで、やむを得ない場合は事後) 文書でも口頭でもかまいませんが、後のトラブルを避けたいならば文書がよりベターですね。 さて、無事同意を得て撮影できたとしましょう。この写真は自由にホームページなどで公開しても良いでしょうか? 答えは「否」です。 写真撮影に同意した側に立って考えてみましょう。 個人が趣味の範囲において撮影した写真の場合であっても、家族や友達に見せたり、焼き増しして(少人数に)配ったりすることなどは当然容易に予測可能ですから、それについても暗黙の同意があると考えてかまいません。 しかし、その写真を何がしかの営利活動に使ったり、不特定多数の目に触れる場所で公開される事まで予測しているでしょうか? 通常はそこまで予測していたとは考え難いとされます。 そのため、公開を前提に撮影するのなら、撮影と同時に写真の公開についてもきちんと公開の目的・方法などを明らかにした上で、別途同意を得ておかなければなりません。 ただし、マスメディアの取材に対して公開されているパレードなどの場合、撮影・公開される事は自明であり、その参加者は全て撮影・公開に関して同意があると考えられます。 また、いかなる場合であっても公開その物は「被写体の名誉・人格を尊重した形」を心がける事が必要なのは言うまでもありません。 |