古曲に現れた宗清
平家琵琶の古い典型である荒神琵琶の語り物『くずれ』の一曲『宗清
屋形之段』の一節に、弥平兵衛宗清が常盤御前母子を六波羅へ引き立て連れて行くとき、宗清の妻白妙が源氏は三代相恩の主であると言って嘆くくだりがある。この白妙は『平仮名盛衰記 四段目』にも出てくる源義淳の娘で、宗清の先祖が源氏に仕えたいということもあり妻白妙が源氏の娘であれば尚更 宗清が頼朝に好意をもっていたことも肯(うなず)ける。また この琵琶から採ったと思われる常盤津に『恩愛磧(かわら)関守宗清』という一曲がある。