100円ラジオ改造再生検波式2球スーパ
2002年11月完成

・裏蓋を外したところ。2.54mmPのICソケットを切った物を球のソケットに使っています。

大きさ:100円ラジオと同一 (90mmx55mmx23mmつまみ部除く)

特徴:1、真空管式でありながら100円ラジオと全く同一の外観。――100円ラジオの              
  ケースをそのまま使用。                                                                          
  
2、オリジナルの100円ラジオの部品を、半導体、基板以外大半を活用し、               
           真空管と基板、CR類以外の追加部品はチョークトランスST−30のみ。                               
3、周波数変換+再生検波というちょっと変わった構成によりスーパとも普通の       
   再生検波式とも異なる独特の操作感。                                                      

 
・オリジナル100円ラジオとの比較。

   使用球   :周波数変換 1AG4
           再生検波  533AX

   回路構成:周波数変換+再生検波

     回路図
             ※回路図はあくまで参考です。利用は自由としますが利用により生じるいかなる結果にも責任を負いません。

    回路について:
                 周波数変換回路は5極管コンバータとなっています。1V6等でもよいと思いますが
       低電圧での動作に適した球等、色々な種類の球が使えるので便利です。
           1AG4は本来出力管なので、Ipが流れやすく、低電圧での動作に有利ですが、5678
              でも使用できます。1AG4のG1に接続された3pFのCは局部発振の周波数がアンテナ
              側の同調周波数に引き込まれるのを防止するための中和用です。このタイプの周波数
              変換回路では必ずしも必要ではないようです。オリジナルの100円ラジオのバーアンテナ
              は同調コイルの巻数が多目のようで10T程度ほといて使用しています。また、もともと
              あるベース用の巻線も取り除き空いたスペースにL2を巻いています。L2はΦ0.06線を
              4本束ねたものを60T巻いています。
               再生の調整は、VRの抵抗値が50Kと比較的低いのとB電池をON−OFFするSW
              がないので図のような回路を使っています。VRを絞りきった状態では再生コイルを
       ショートしてIFTのQを下げることになるのでもう1工夫必要です。
                 検波管の負荷はTrラジオ用のチョークトランスST-30(の相当品)を使用しています。
             かつてのクリスタルイヤホンはインピーダンスが100kΩ程度と高く、出力インピーダン
              スの低いトランジスタとのマッチングを取るのにこのトランスが1〜2石のトランジスタ
              ラジオによく使用されました。現在、このインピーダンスの高いかつてのクリスタルイヤ
              ホンはほとんど市販されていないようです。形がこれとそっくりなイヤホンは売られている
              のですが大抵の場合これはセラミック振動子を使用したイヤホンでクリスタルイヤホン
              と比べインピーダンスがかなり低く(10kΩ以下?)、クリスタルイヤホンとは似て非なる
              ものです。これが「クリスタルイヤホン」と表示されて売られている場合も多いので要注意
              です。いずれにしても現在では事実上このセラミックタイプのイヤホンしか入手できませ
              んし、結構能率もよく、また、音質もクリスタルイヤホンより良好なのでこのイヤホンを
             使用することにしました。クリスタルイヤホンの場合、インピーダンスが高いので検波管
              の負荷に(Cカットして)直接接続できたのですが、このイヤホンの場合インピーダンスの
              マッチングを取った方が良い結果が得られます。このためST-30のタップを利用し、イヤ
              ホンはここに接続するようにしています。これは本来のST-30の使い方とちょうど逆で、
              何とも皮肉です。 
                 533AXは本来補聴器用の球ですが低電圧動作に適しているので使用しています。
              こちらも5678でも使用できます。
        周波数変換の後、レフレックスでIFとAF増幅を行う構成も検討し、この方が高性能
       だったのですが、外観が100円ラジオと同一で、やや面白みに欠けるので、いろいろ
       遊べる再生検波としました。 

   電池: A電池:単4 1個 1.5V
         B電池:アルカリボタン電池 LR−1130 14個 21V

   使用部品:
     ・S付きVR    :100円ラジオのものをそのまま使用。電源SWはA電池のみをON−OFF。
                  VRは再生の調整に使用。

     ・電池ホルダ   :A電池 :100円ラジオのものの片側をそのまま使用。
                :B電池 :LR−1130 14個をプラスチックの筒に重ねて入れ、
                          これを100円ラジオのもう一方の電池ホルダに入れる。
     ・IFT、OSC 他 :100円ラジオのものを使用、但しコイルは巻き直し。
     ・検波管の負荷:イヤホンとのインピーダンスマッチングを兼ねST−30(の同等品)を使用。
     ・イヤホン    :セラミックタイプのイヤホンを使用。

     ・外装、      :100円ラジオのケースをそのまま使用。

     外装、構造 :
       オリジナルの100円ラジオ用と同じ外形の1.6mm厚のガラエポユニバーサル基板に、
        電池ボックス以外の全ての部品が取り付けられて、これがケースにねじ止めされた構造に
         なっています。このあたりの基本的な構造はオリジナルの100円ラジオと同じです。
            電池ボックスは前述のようにオリジナルのものをほとんどそのまま流用しています。アル
         カリボタン電池 LR−1130は単4よりも直径が大きいのですがケースの寸法に余裕がある
         ので、裏蓋側にモールドされている電池押さえのリブを若干削るだけで入ります。
      球はICソケット改造のソケットに挿入されています。これは写真で大体わかると思いますが
         2.54mmピッチ14PのICソケットを横に切って10Pにしたものです。このようにSMT管を2本
        重ねて入れるのにちょうど良い幅です。 変周管と検波管の間にはシールド板があります。
            ケースが決まっている上、バリコン、VR、イヤホンジャックの位置は動かせないので部品の
         配置にはちょっと悩みましたが出来上がってみると自分としては意外ときれいに配置できて、
         ちょっと気に入っています。

       性能、他 :
               100円ショップでラジオが売られていて、それが例の3端子ラジオのICを使ったものでは
            なく昔なつかしい6石スーパーの出力回路を省略したような構成になっていると知ったとき
            は正直驚き、これを利用して何か作ってやろうと思いました。同じ思いを持たれた方も多い
           と思います。私は以前、100円ラジオのバリコンやIFT等の部品のみを利用してイヤホン式
            の2球スーパーを作ったこともあるのですが、どうせならケースや電池ホルダも最大限活用
            し、かつ最小限の追加部品でどんなものができるかやってみたいと思いこのラジオを作り
            ました。
           
感度はそこそこ十分で、内蔵のバーアンテナのみで鉄筋の室内で当地(大阪寝屋川
      市)の地元の局は全て受信でき、夜間は遠距離局も結構受信できます。但し、検波出
      力で直接イヤホンを動作させるのであまり大きな音量は得られず、通常の使用には
十分
             ですが電車の中とか周囲がうるさい環境で使用するには音量不足です。
          検波管への入力が455KHzで一定なので受信周波数にかかわらず再生のかかり方
             がほとんど一定で、このため、発振ぎりぎりに再生をかけた状態でもバリコンを廻す度に
             再生の調整をしなおす必要がなく、バリコンを回してゆくだけで遠距離局も受信できます。
             この辺りは普通の再生式ともスーパーとも異なる独特の操作感です。
       電池はA電池が0.95V、B電池が計13Vになった状態でも一応使用できる(局発が
            停止せず、再生で発振がおきる)ことを確認しています。B電流は実測0.3mA位でLR
            −1130の容量は44mAh(但し0.1mA放電、終止電圧1.2V)なのでB電池は100
            時間以上使用できると目論んでいます。

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