SMT管3球ポケットラジオの製作

フレーム

 真空管ポケットラジオとして何か適当なものはないかと電気屋さんのラジオコーナーを
漁っていたところ、ちょうど手ごろなものが\1,000であったので買ってみました。

 帰って早速バラしてみると、当然ながらICラジオなのですが、ポリバリコンやバーアンテナ
は当然として、OSCコイルとIFTも3つも付いている貴重なラジオだということが判りました。
これはもう流用するしかありません。ということで製作に取り掛かりました。


元のラジオ
 アイワのラジオで、今も売ってるんじゃないかな。後で調べたら、縦型のものもあるよう
です。今度電気屋さんに行ったときに探してみようと思います。

http://www.jp.aiwa.com/products/portableaudio/radio/CR-AS10.html

 内部は下1/3が電池ボックスで、上2/3がラジオの回路で占められている構成です。
電池は単3が2本直列接続ですが、折り返して配置されていず縦に繋がった構成ですので、
片方をA電池、もう片方をB電池にしようとすると、間に仕切り板が必要になります。


構成
 周波数変換 − 中間周波増幅 − 検波・電圧増幅 − 電力増幅
   5678      5678      5678(レフレックス)  CK526AX
 バーアンテナ 元のラジオから取り外し品をそのまま利用
 バリコン 元のラジオから取り外し品をそのまま利用
 OSCコイル 元のラジオから取り外し品を巻線変更
 IFT 元のラジオから取り外し品を巻線変更
 出力トランス ST30に2次コイルを50回巻いた物
 ボリューム 最初は元のラジオから取り外し品だったが、後に50KΩのものに交換
 イヤホンジャック 元のラジオから取り外し品
 A電池 単3電池 1本
 B電池 LR923 16個 24V
(市販の単5サイズ12V電池をバラした中身)
  抵抗・コンデンサ類は全てトランジスタ用を使用。
  回路図(参考程度にしてください。再現性は未確認です)


 真空管は以前に購入したものの残りで、真空管ソケットは例によって2.54mmピッチの
丸ピンICソケットを切って使っています。
 電力増幅管には最初1AG4でチャレンジし、バイアスにAVC電圧を利用する回路で
試してみました。しかしどうしてもバイアス不足で音が歪っぽくなってしまい、結局虎の子
のCK526AXに入れ替えました。AVCバイアスは無くてもいいのでしょうが、回路は
別の球に入れ替えた時用にそのまま残してあります。
 ボリュームは最初もとのラジオのもの(10KΩ)を使っていたのですが、どうも音量が
不足気味になったので、別のラジオから50KΩのものを移植しました。


内部構造
 元のラジオの基板はこのようになっていましたので、これと全く同じサイズにユニバー
サル基板をカットしました。たまたま手持ちのガラエポ両面スルーホール基板を使い
ましたが、調整のため部品を取り替えるのはとても面倒でした。やはり片面基板の方が
楽です。
 部品配置は手持ちの2D-CADを使って検討しました。本当は1V6や1AJ5を使った
標準的な4球スーパーにしたかったのですが、部品の高さをバリコンの高さ以内に抑え
ないとケースに収まらないし、横置きにするとバリコンの位置が邪魔になったりトランスを
配置するスペースが取れなかったりしてどうしてもうまく配置できず、結局諦めて今の
構成になりました。
  部品実装後の基板写真1  部品実装後の基板写真2
 球は下から 5678(周波数変換)−5678(IF・AF増幅)−CK526AX(電力増幅)
です。2つの5678は形状が違いますが、たまたま手元にあった異なるメーカーのものを
使っただけです。

 B電池は例によって単5サイズの12V電池2本をバラして取り出したボタン電池を16個
直列にしたものです。A電池との間に金属板で仕切りを入れて共通グランドにしましたが、
電池を入れるときに仕切り板が邪魔になって入れにくくなりました。
  電池部分写真

 スピーカーは元のものそのままで良かったのですが、別のラジオに移植してしまった
ため、適当に買ってきた2連スピーカーを直列にして取り付けました。基板をケースに
取り付けると こんな感じ になりました。
 これだと、ケースを空けても真空管ラジオだと誰も気付いてもらえないので、思い切って
内部の真空管などが見えるようにケースに大穴を空けてしまいました。
  ケース背面1  ケース背面2


調整
 ポケットラジオも3作目となり大分慣れてきたこともあり、今回は余り苦労も無く調整
できました。バーアンテナとバリコン・パディングコンデンサなどをそのまま流用したことも
トラッキング調整が楽に済んだ要因かもしれません。
 B電池に使い古しの電池を使ったためにB電圧が20V程度にしかなりませんでしたが、
感度は低くなるものの結構安定して動作しています。


その後の改良

 しばらく使っていると、どうしても音が歪みっぽいのが気になってきました。そこで、譲って
頂いたオシロで辿っていくと、明らかに電力増幅管のバイアス不足でした(オシロの有り
難さが身にしみます。さっしさん有り難うございました)。虎の子のCK526AXでもバイアス
不足となると、A電池とB電池のアースが共通のこのラジオでは対策が思いつきません。
 あるときジャンク箱を漁っていると、以前子供のおもちゃから取り外しておいたリチウム
電池が目に止まり、これだ!とひらめきました。C電池として直接給電してやればいいんだ
どうせ電流は流れないんだし、ということで早速実装してみました。
  改造後の回路図  C電池を実装した部品面
 見事にバイアス不足は解消し、きれいな音で鳴ってくれるようになりました。これでまた
一歩実用的なラジオに近づき満足しています。


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