画像電子学会 第36回VMA研究会    
VMA36-3,  2014-02-07        


各社のiPhoneの利用者視点での比較

Comparison of iPhone of each carrier from the user's point of view


久田 恵実†

    

小町 祐史‡

Megumi HISADA

    

Yushi KOMACHI


†ADAGIO

  

ADAGIO

‡国士舘大学

  

Kokushikan University


1. まえがき

2013年秋にNTTドコモ(docomo)がiPhineの取扱いを開始し,ソフトバンク(SoftBank),KDDI(au)と共に携帯大手3社によるiPhoneの提供が行われている。その結果,iPhineを利用したい者が選択できるキャリアの範囲が広がり,価格,サービス等に対する各自の価値判断のもとにキャリアを選ぶことが可能になった。

価格,LTE対応状況についてはすでに多くの詳細比較が報告されている[1][5]。ここでは,サービスの中で重要性が高い通信速度について,回線仕様や製品仕様の速度ではなく,iPhine5sのスピートテストアプリケーションによるサーバとの通信における通信速度の実測データに基づいて3社の比較を試みる。

備考:

この講演予稿は研究論文ではなく,単に3社のiPhone5をスピートテストアプリケーションを用いて実測した通信速度のテータの紹介・報告である。

多くのデータは,3社のiPhone5を所有する携帯ヘビーユーザである本稿筆頭著者の実測によるものである。なお,その著者はVMA36へのエントリ直後に懐妊して悪阻の症状が悪化したため,2月7日の研究会当日の講演では,当初予定したデータ収集は未だ完了していない状態であり,中間報告として,測定方法,それまでの測定データ,データ整理の方法等を示すに止まった。

VMA研究会は予稿をWebに掲載して,研究会に参加できなかった方による後日の参照を可能にしている。そこで本稿は,筆頭著者の状況が改善された後にデータの追加を行い,研究会での議論を踏まえて記載内容を改訂し,2月16日にWebに再掲載したものである。


2. スピートテストアプリケーション

Speedtest.net MobileのSpeed Test[6][8], ver.3.1.5を用いて(図1参照),指定したサーバ(図2参照)との交信における

を測定し,表示する。表示データには, も示され,図3のように電子メールで送付される。

           

図3 測定結果の表示
図1 DLの測定 図2 サーバの指定


3. 測定条件

Speed TestサーバはTokyo(Alocac)に設定し,iPhone5sのWi-Fiはオフ状態(接続タイプ: 携帯回線)で測定する。測定毎にデータはばらつくので,固定した場所で複数回測定できる場合には,DLが最も速い測定回でのデータを採用する。


4. 実測データ

4.1 各地における実測データ

各地における通信速度の実測データを表1に示す。各測定に際しては,必ずしも3キャリアのデータを取得できているわけではない。キャリアごと(docomo, au, SoftBank)の実測データ(Ping, DL, UL)をそれぞれ図4, 5, 6に地図上の棒グラフで示す。

表1 各地における実測データ




図4 docomoによる各地の通信速度
      

図5 auによる各地の通信速度





図6 SoftBankによる各地の通信速度

4.2 東海道新幹線の中での実測データ

東海道新幹線の中でauを用いて実測した通信速度のデータおよびそれらの棒グラフでの表示をそれぞれ表2図7に示す。測定場所には,人口密集地としての主要駅と,駅の間の人口過疎地とを含む。

表2 東海道新幹線の中でのauによる実測データ



図7 東海道新幹線の中でのauによる通信速度

4.3 地下鉄名城線の停車駅での実測データ

地下鉄名城線の停車駅で各キャリアを用いて実測した通信速度のデータ(測定日は,2014/2/7)およびそれらの棒グラフでの表示をそれぞれ表3および図8a, 8b, 8cに示す。

表3 地下鉄名城線の停車駅での各キャリアによる実測データ

   

図8a 地下鉄名城線の停車駅でのdocomoによる通信速度



図8b 地下鉄名城線の停車駅でのauによる通信速度



図8c 地下鉄名城線の停車駅でのSoftBankによる通信速度


5. 考察と感想

まだ測定場所の数が充分ではなく,しかも各測定場所での3社のデータがすべて揃っているわけではないが,その段階での3社の利用者視点での感想は次のとおりである。

docomoは,Pingが50ms前後に比較的安定している。そのため,通信速度を特に遅いと感じることはほとんどなく,3Gになると少し詰まる感じを受ける程度。

auについては,Pingに40ms台がかなりあり,都心では30ms台も測定されている。LTEのエリアは広いが,たまに3Gエリアにはいるとかなり詰まる。

SoftBankは,Pingの値が大きいため,特定の場所以外,速いと感じることが少なく,(通信障害のためか)スピードテストが機能しない測定場所もあった。都会の地下鉄の駅では,安定している。


文献

[1] ドコモのiPhoneは本当に高いのか?ウソか、ホントか調べてみた!〜機種変更編,http://sp.oshiete.goo.ne.jp/club/view/f4e7abceaa5caa833b442bc2611b9a3f

[2] iPhone 5s/5c,3キャリアの料金プランと月額料金と価格の違いが一目でわかる比較表つくった!,http://wayohoo.com/ios/news/iphone-5s-5c-pricing-comparison-sheet-on-docomo-and-au-kddi-and-softbank.html

[3] iPhone 5s/5c 料金プランを徹底比較、ドコモ・au・SoftBank 全780パターン,http://appllio.com/20130920-4146-docomo-au-softbank-plan-comparison-for-iphone-5s-5c

[4] iPhone 5s/5c 端末価格、料金プラン、ネットワーク 各キャリア比較シート(9/18更新),http://www.gizmodo.jp/2013/09/iphone_5_113.html

[5] auとソフトバンクは割引施策続々!“ドコモiPhone”登場で料金はどう変わった?,http://magazine.kakaku.com/mag/pc/id=1335/

[6] Androviz, ネット回線の通信速度を測定,http://androbiz.com/business/efficiency/1421.html

[7] 回線スピード計測アプリ『Speedtest.net』がメジャーアップデートしてiPhone5に対応等,http://daisukeblog.com/?p=2077

[8] OOKLA, http://www.ookla.com/