何がなんでも一眼レフ 

[撮影機材のお話し Vol.05, 2000年03月31日UP]

 おやじは事あるごとに「一眼レフ」と言っていますが、それなりの理由があります。 本格的に写真を撮ろうと思ったら、やはりコンパクトカメラだけでは限界があるからなんです。 前に書いたように、カメラはタイプによって向き不向きがあるもので、 これを無視するのは「スクーターに乗ってバイクのレースに出る」ようなものでしょう。 ということで、まずカメラの種類について解説をしてみたいと思います。(^_^)

・カメラの種類 (もちろん、これに当てはまらないものもありますが、大まかに分類しました)
コンパクト
カメラ
最初に書くのもなんですが、昔は「コンパクト」なるカメラの種類はありませんでした。 (一時期は35mmカメラ全体がそう呼ばれていました。) でも、最近では「1.オートフォーカス」「2.自動露出」「3.ストロボ内蔵」の3条件を満たし、 レンズ交換はできない初心者向けお手軽カメラとして使われています。 分類的には、後述するレンジファインダーの「簡易版」と言ったとこですが、 一部には10万円を越える「高級コンパクト」なるカメラもあるので、AF化した「レンジ」と区別するのがややこしいです。 おやじに言わせると「初心者だまし使い捨てカメラ高級バージョンズーム付(9万円未満)」と「プロ・上級者お遊びカメラ(9万円以上)」の2つに分かれます。
一眼レフ
カメラ
今回の話で説明するカメラです。一般の方からプロまで幅広く使います。 撮影レンズがファインダーのレンズを兼ねるので、外見上レンズは一つしか付いてません。 このタイプの特徴は「見たまま」を正確に写せるファインダーや自由に「交換できる」豊富なレンズにあります。 カメラのサイズは種類が多く、通常の35mm判から中判まであります。 (変わったところではポケットやミニカメラなどもあります)
フルオートなどのコンパクトより「とっつきにくい」部分もありますが、 最近はオート化の進んだ小型の35mm判カメラもありますので、 初心者の方のステップアップにぜひ進めたいですね。
レンジ
ファインダー
一見するとコンパクトカメラに形は似てますが、まったくの別物です。 レンジ(Range - 照準を合わせる)ファインダーは三角測距を使った距離計を内蔵し、 交換レンズと連動して変わる倍率や撮影枠の機能を持っています。 初心者が扱うのは難しいですが、かなり正確に写せるため一眼レフの苦手な用途(報道やスナップ等)に使うプロもいます。 カメラサイズは35mm判〜中判まで色々あり、一眼レフの同サイズに比べると軽量コンパクトです。 欠点としては一眼レフに比べると望遠や接写が苦手で、交換レンズの種類もやや制限されます。 あまりオート化されておらず、一眼レフと組合わせて使うことも多いので「上級者」向きでしょうか..。
二眼レフ
カメラ
一眼レフと違い、撮影レンズとファインダーのレンズが別々になっているタイプです。 縦に二つ並んでいるので、立方体のような縦長の形をしています。 一般人の中にはこれを全てクラシックカメラと勘違いしているようですが、現在も生産されている機種があります。 カメラサイズは一部を除き、ほとんどが中判の6×6になります。 特徴としては中判の中では「軽量」なため、持ち歩いてスナップなどに使うことができます。 ただしカメラの構造上、望遠や接写などは苦手です。 また、ファインダーが上から覗かないといけないし、左右が逆像のため慣れないと使い辛いと思います。 どちらかといえば「上級者」や「中判カメラ入門」向きでしょうか..。
ビューカメラ
結婚式場でご覧になったことがあるかもしれませんが、いわゆるピンホールカメラのような構造のカメラです。 一眼レフに近いものなんですが、画像をみるためのファインダーを別に持ってないので若干違うと言えます。 カメラサイズは、ほとんどの場合大判(4×5inch)以上になり、 レンズの付いた「前板」とフィルムを固定する「後板」を蛇腹でつないだ単純な仕組みです。 通常はレンズを開放にして光を入れ、後板に付いてる「擦りガラス」をルーペで覗いてファインダーとします。 もちろん撮影には相当の技術が要りますし、ほとんどの場合業務用ですから「プロ専用」と言っても差し支えないでしょう。


 さて、初めて買う方は上の「コンパクトカメラ」を選ぶ人が多いのではないでしょうか?。 確かに押せば写る安心感と便利さがあります。でも「失敗しない写真」を続けてもあまり写真は上達しないようです。 触ったこともない人がいきなり一眼レフを使ったら、最初は失敗するかも知れません。 なぜなら一眼レフは、使う人にある程度の技術を要求しますから。 でも、腕が上れば結果もはっきり出ます。だからうまくなるし、上達するのが「楽しく」なるんです(^_^)。

 では、なぜ一眼レフは他のカメラと違うんでしょう?。それはファインダーで見たのとほぼ同じに写るからです。 皆さんの中には「うまく写したつもり」が、出来上がってみると「思ったように写ってなくてがっかりした」人はいませんか?。 その原因の1つに「入れたつもりがフレームから切れてた」とか、「真ん中のつもりが端によってた」とかの失敗があると思います。 これはファインダーにも原因があります。では、一眼レフの違いをファインダーの構造で説明したいと思います。

 右の図を見てください。 一眼レフではないカメラは、基本的に写真を撮る「撮影レンズ」と、写る範囲を確認するための「ファインダー」が別々になっています。 そのため赤い線で示すようにそれぞれの中心点がズレているため、「写る範囲」と「見ている範囲」が違ってしまうのです。 この現象を「視差(パララックス)」と呼び、遠くの山などを撮っているときなどはあまり問題になりませんが、 「人物のアップ」や「花の接写」など、近くのものを撮ると誤差がどんどん大きくなってしまいます。 この現象を補正するのは結構大変で、一眼レフでない限り完璧になくすことは出来ません。(^_^;)
 ましてコンパクトカメラは、オートフォーカスに頼っているので、性能のいいファインダーが付いてないことが多いです (ズームするときも倍率変えているだけとかね..)。 中には接写機能を自慢するカメラもありますが、ファインダーに関してはズレて写るようです。
 次に一眼レフですが、右のような構造をしています。 こちらは撮影するレンズとファインダー用のレンズが同じなんです。レンズから入った画像は、途中にあるミラーで方向を上に変え、 ペンタプリズムが上下左右に反転させて目の方に送ります。 (シャッターを切ると、ミラーは上に上がり、レンズからの画像はフィルムの方に行きます。)
 この画期的とも言える仕組みのおかげで、撮影する画像を「そのまま」目で確認することが出来ます。 そのため、レンズを自由に換えたりすることも、思い切った接写を撮ることもいろいろ出来るんですね(^_^)。 つまり「こんな写真が撮りたい」と考えたときに、それに応えてくれる。それが一眼レフです。 そしてコンパクトカメラと違うのは、安いカメラを買っても大丈夫なことです。 最近は安くするために、ペンタプリズムを使わずミラーで代用しているものがありますが「一眼レフに変わりはない」ですからね(^_^)V。

 さて、ちょっと技術的な話が続いたので、ここで具体的な「使い勝手」で一眼レフのメリットとデメリットを説明したいと思います。

メリット写す画像が正確にわかる → これって結構重要 (見えてるものは写るけど、見えないものは写らない!。いいよねぇ)
思いっきり近づける → これが出来なきゃ意味がない (レンズのピントさえ合えば撮れます。ネコも猛獣に!)
ピントがわかる → どこまでシャープに、どこがボケるか良くわかる! (最近のAF機ではあてになりませんが..)
デメリットやっぱりデカい → 昔に比べればかなり小さくなったんですが、それでもコンパクトより大きいのは止むを得ないか..。
少しだけ重い → 標準レンズ付きで1kg以上あった頃から比べれば、軽くなったもんよ!。ワインダーも付いてるし..。
写る瞬間が見えない → 少し気になるとこですが、変なデジカメよりナンボもマシです。スポーツ写真でも何とかなるし..。

 他のデメリットとして「使い方が難しい」こともあったんですが今じゃ過去の話です。 カメラ屋の店頭には「オートフォーカス」「自動露出」「ストロボ内蔵」「自動巻き上げ」「自動装填」の一眼レフはザラですし、 これを難しいと言ったらコンパクトカメラさえ使えないでしょう(-_-)。
(※ただしコンパクトと一眼レフは、同じ機能でも「精度」に関しては大きく違い、一眼レフの方が数段「良い」です)

 さらにもう一つ「価格が高い」ということも過去にはあったんですが、最近の定価を調べてみるとそんなことないようです。 「高級ズーム付きコンパクト」なるカタログスペックだけの「インスタント高級フカヒレスープ」のようないかがわしいモノに比べれば、 安くても一眼レフの方がよっぽど「まし」です。高級インスタント食品が結構な値段で売られているのに比べれば、 本格B級グルメの方がおいしいに決まってますし..。 (実際、「高級ズームコンパクト」と「普及機一眼レフ+標準レンズ」は、定価で2千円くらいしか変わらなかったです。)


〔結論〕

 さて、「一眼レフ賛歌」をとなえる‘おやじ’ですが、今まで使ったことがない方には「一度触ってみる」ことをお勧めします。 本当に違いますから。特に今まで撮ったことのない「望遠を必要とする」写真や、「接写」に「アップ」、「背景をぼかしたポートレート」 「広角でディフォルメした風景」など、自分のイメージを「表現する道具」はこれしかないと思います。

おやじの個人的な意見ですが、一眼レフを極めた人が使う「割り切ったコンパクトカメラ」は実にいい写真撮れますね。 多分、一眼レフで写真の「基本」が身に付くからだと思うんですが、 限定した条件ならプロのレーサーが「スクーター」で「素人の乗るスポーツバイク」をカモるような結果が出ます。

余談ですが、買い物袋を両手に下げ、荷物満載で原チャリを乗り回し、我がもの顔で街を走る方がいたりします。 ああいった他人に迷惑をかけるようなヒトにはなりたくないですね。運転も写真を撮る時も、「マナー」が大事です。(^_^)

店内に戻る

TOPに戻る