フィルムの種類(カラー編) 

[撮影機材のお話し Vol.04, 1999年10月10日UP]

 さて「フィルムの選び方」の続きなんですが、モノクロに続きまして「カラーフィルム」に行きたいと思います。 一般の方はカラーフィルムを使う方がほとんどだと思いますが、カラーにも皆さんの知らないフィルムも沢山あります。 別に全部覚える必要もありませんが、知っておいた方がよさそうなものをご紹介させていただきます。

 モノクロと違ってカラーは、現像を写真屋さんに頼むことがほとんどと思います。それだけに、われわれが気を使うことが出来るのが「フィルムの選択」 だけになってしまいます。だから、モノクロ以上にフィルム選びにこだわる人もいるんじゃないでしょうか..。

 大きく分けると、カラーフィルムも「ネガ」と「リバーサル」の2つに分かれます。みなさんが普通使ってるのはネガタイプだと思います。 ここではあらためて両タイプの特徴を説明して、種類わけをしたいと思います。「目的に合ったフィルムはどれ?」といったことについては、 モノクロ同様「☆現像のお話し☆」でやりますので、よろしくお願いします。

 ネガにもプロ用があるんで、専門的な話しもしたいんですが、今回の話しも「ビギナー」以外が対象になっちゃいますので、 一般的な話しにまとめさせて頂きます。 また、リバーサルの話しは書き始めるときりがないので、概略だけです。(^_^)

(詳しいことが聞きたい方は「写真相談室」で質問してくださいね)


(2)−1 カラーネガフィルム

 このフィルムの特徴は、一般の方にとって「写しやすい」ことがあります。1番の理由は、露出(フィルムにあてる光の量)に許容範囲が広いためです。 つまり、ある程度の光があたってくれれば、写ってくれるんです。このことを利用して、使い捨てカメラは簡単なシャッターと絞りでもきれいに写るわけです。 (もちろん正確な露出で写したほうがもっときれいに写りますが...)

 そして、2番目の特徴として、色のきれいなプリントを作れます。最初からカラープリントを作るのが目的であれば、 無理せずネガフィルムを使うのが賢明だと思います。 (プリントしない人がネガ使っても、あんまり意味ないですしね。濃いオレンジ色で何が写ってるのか良くわかりませんから...。)

○カラーネガフィルムの紹介
【種類】
【目的および説明】
一般撮影用こちらが皆さんおなじみの一般的なカラーフィルムです。 アマチュア用なんて言う方もいらっしゃいますが、正確にはコンシューマー用が正しいと思います。 通常の撮影を考慮した使いやすくて万能なフィルムです。感度はISO25〜400までありますが、良く使われるのは100とか400ではないでしょうか。 もともと400は高感度フィルムだったんですが、技術の進歩で100と変わらない発色や画質が得られ、最近では一般フィルムになりました。 むしろ、100を使う理由がないほど万能なフィルムですね。ストロボが遠くまで届くとか、手ブレが防げるといったいいことばかりです。 値段があまり変わらないのなら、400をお奨めします。ちなみに、25や125といったフィルムは、35mmカメラで画質にこだわる方が使ってるようです。
高感度これも場合によっては一般的になったのかもしれませんが高感度タイプのものです。 屋内のスポーツや野球のナイターを撮る方は、一般の人でも使うことがあるんじゃないでしょうか。感度としては、400から3200以上まであるようです。 (400は一般的に使いますので、実際使う場合は1600以上がほとんどでしょうね) この高感度カラーネガもモノクロと同じで、400のフィルムをベースに作られているようです。カラーネガの現像は、現像時間を増やして感度を上げる「増感」 が出来ませんので、現像スピードを上げることで感度を上げてます。今の400を見慣れた目には画質としてはちょっとがっくりしますね。 (ただ、昔より発色は良くなったようです)
プロ用これは皆さんにはあまり縁がないフィルムかもしれません。 (大きな写真屋さんには置いてありますが...)「プロ」と聞くと腕の良い人が自慢げに使うものと思い込んでる日本人が多いんですが、 「プロフェッショナル=業務用」です。(日本では「プロ」と「エキスパート」をごっちゃにしている人が多いみたいですね)
写真で業務用といえばわかると思いますが、写真館で使う「人物撮影用」とか、コマーシャルで使う「商品撮影用」みたいに 「用途」を限定して設計されているフィルムです。 もし、違う用途に使うと「色が悪い」とか「メリハリがない」なんて事になりますので、一般の人が無理に使うフィルムではありません。 (ただ、一般フィルムが鮮やか過ぎて雰囲気が出ないからと、こちらをお使いの方も中にはいるようです)
タングステン用プロ用に入るフィルムなんで分ける必要はないんですが、一応説明いたします。 普通のフィルムは太陽光線やフラッシュで撮影するように出来ていてデーライトタイプ(昼光用)といわれてます。 タングステン用は名前の通り「タングステンランプ」の光で撮影するようにカラーバランスが調整されています。 タングステンは白熱灯に良く使われていて、この光をデーライトで写すとオレンジっぽくなるんですが、これを補正してくれます。 用途としては、タングステン照明の建築写真や夜景、大判カメラの商品撮影などに使われます。 中には普通に使って「青っぽい」写真を撮る方もいらっしゃるんですが、そのまま現像に出すと補正されて普通の色で返ってくるでしょう...(笑)。

 まあ、普通の撮影には「一般フィルム」以外使う必要ないですね。 フィルムを選ぶコツは「☆現像のお話し☆」のカラーネガの現像の話しでするつもりですので、そちらもよろしく。


(2)−2 カラーリバーサルフィルム

 一般の方は「スライド用」とか「ポジ」とか呼ぶことの多いフィルムですね。確かに撮影した後はきれいなスライドのフィルムになります。 写真の世界では「反転現像」をすることから、通常「リバーサル」といいます。

 このフィルムの特徴を一言でいうと「高画質」になります。 色の鮮やかさとピントのシャープさは、ネガフィルムの比ではありません。その反面、使うのが非常に難しいフィルムでもあります。 正確な露出を与えないと、すぐに露出オーバーで「真っ白」になったり、露出アンダーで「真っ黒」になったりします。
 また、一般的には感度が低いフィルムがほとんどなので、手ブレやピンぼけにも注意しなければなりません。 さらに稀ですが、フィルムの製造ロットによって、撮影のときにフィルターで色補正したり、感度補正しないといけない場合があります。 (補正フィルターなどの情報は、店頭や現像所で表示されています。ほとんどの場合「必要なし」ですが...。)

 以上のように使うのは非常に難しいんですが、印刷原稿に向いてるためプロカメラマン(スポーツ新聞などは除く)はリバーサルで仕事をする方がほとんどだと思います。

 個人的意見になりますが、画質の良さには感動しますので、一般の方も腕が上達された方は1度使って欲しいフィルムですね。 また、プロラボや大きな写真屋さんに持ちこめば、プリントも可能です。

○リバーサルフィルムの紹介
【種類】
【目的および説明】
一般撮影用一般用といってもリバーサルですから撮影は難しいと思います。 それでもプロ用に比べれば、使いやすいフィルムが多いです。ネガとの1番の違いは「感度」の低さでしょうか。 一般用でもISO25〜100しかありません。まあ、きっちりとブレないように撮る工夫が必要ですね。
実はリバーサルの場合一般用と同じフィルムがプロ用にもある場合が多いです。 「プロ用」のところにも書いてありますが、使い方をきちんと守るならプロ用を使う方をお奨めします。 一般撮影用は保管などの管理が少し楽なだけで、ネガに比べて「使うのが難しい」ことに変わりありませんからね...。
高感度これはスポーツなどの用途が限定された目的で使うことが多いと思います。 感度はISO200〜3200まであります。ただ、ネガの高感度と比べると、200や400でも使うのを考えるような画質です。 せっかくリバーサル使うのに画質の悪いフィルムを使うのは、ちょっともったいないですね。(^_^;) 雑誌に載せる原稿とか、プロのスポーツカメラマンでもなければあまり使わないと思います。 (高感度より発色がマシなので、100を+2増感で400にしているプロが多いです) ちなみに、超高感度はモノクロと同じ400ベースを増感することで実現した1600や3200です。それ以上の高感度は無理と思ってください。
プロ用これはプロ用だから業務用だという気がしますが、一般用でも使えるフィルムが多いです。 本当に特殊なフィルムもありますが、一般フィルムと同じフィルムのプロ用であれば、問題ないと思います。 一般用との具体的な違いは、印刷時のスキャナ適正を良くするグレーベースフィルムの使用や、メーカーでの品質の管理基準、 工場出荷時のカラーバランス管理などがあります。
フィルムの使用上の注意(未使用は冷蔵庫に保存,撮影の数時間前には常温に戻す,撮影後はすぐに現像に出すなど)をきちんと出来るなら、 むしろプロ用を使うことをお奨めします。(個人的にはプロ用ばっかり使ってます...値段そんなに変わんないし)
タングステン用このフィルムの説明はネガのタングステンと同じです。 ただし色についても、感度についても、リバーサルはよりシビアになります。 また、タングステン光源で撮らなくてもこれを使わないといけない場合も出てきます。 たとえば、リバーサルは使用できるシャッターの範囲がネガに比べると狭く(同梱されている説明書に書いてあります。) デーライトタイプほとんど高速シャッターで使うことが前提になってます。 従って、夜景などでスローシャッター(数秒以上)を切る場合は、タングステンを使うことになります。 (逆にタングステンで高速シャッターを使うのは苦手です。このことは箱に「Lタイプ」「Sタイプ」と表示してあります。)

 以上のように、使いこなすのが大変そうなフィルムですが、逆に使えると「喜び」にもなります。 その苦労に見合う結果も得られますので、ネガだけの人も1度は使ってみてはいかがでしょうか?。


店内に戻る

TOPに戻る