和名: スナメリ
学名: Neophocaena phocaenoides
英名:
千葉に住んでるからにはこいつのことをもっと知っておかないと
いかんのでしょう。千葉沿岸定住のイルカ。
最も日本には全国で5つの遺伝子的な個体群がいるそうで、
たかがスナメリ、されどスナメリといったところだろうか。
ちなみに俺が生まれて初めてストランディング個体を見たのも
こいつが初めて。あれは2年前の9月。九十九里浜で偶然
見つけちゃったのよね。
はっきり言ってかなりグロい。(写真をクリックすると大きな画像になる。)
9月に奥さんのお母さんが1週間大阪からこっちに来てて、 ディズニーランドやらディズニー
シーやらを奥さんが案内してたのだが、 この日曜には大阪に帰るっていうんで、土曜日に
銚子においしい魚でも 食べにいこうって話しになって、銚子に行った。
そのとき、九十九里浜の方からまわって行ったのだが、 「九重久里浜も見とかないとね」って
ことでなんていう海水浴場かは忘れたが、とある小さな海水浴場に立ち寄った。 その日は
晴れてはいたけど風が強くけっこう寒い日で、みんなして 震えながら砂浜に行ったら、そこに
ナニカ得体の知れない魚のような干物が…
そのサイズは長さ1.5mもあり、最初はマグロかと思ったが どうも魚の顔ではない。
じっくり目を凝らして見ると…どうやらスナメリ のようではないか! 観察すると、
  • 頭に墳気穴(息をする穴)がある。
  • ムナビレに手のような骨がある
  • 背中にはヒレらしきものはない
  • 尾鰭が縦についてない(イルカのように横向きについている)
ってので、こりゃ確かにスナメリだァ、って自分の中で結論付けた。 確かに銚子の沿岸には
スナメリが多く、イルカウォッチングの対象にも なってるので、確率は高い。
しかし、こんなのんは生まれてはじめて見た。 これで完全に白骨化してたらそれこそ持って
帰ろうかとも思ったが、 干物状態にはなっていたとはいえ、とってもすごい悪臭でさわるのも
ためらわれるほど。とりあえず写真におさめて引き返した。
(奥さんのお母さんもいたこともあってそんなに長時間見てるわけにも いかなかったので…)
某銚子の水族館にも一応連絡したが、大した反応は 返ってはこなかった。まぁ、土地柄や
死んでしまっている、ってことを 考えれば当然かな、とは思ったが。

一応、イルカクジラに関わっている仕事の人達にも写真をみてもらったところ「多分スナメリ
だろう」ということであった。その際にいろんな情報を頂いたが、特に「ストランディングを
見つけたらどうするか?」について情報を頂いたので、みなさんもストランディングに会う可能性
は十分あるってことで以下にまとめてみた。
=======================================================
1.ストランディングを見つけた
  ・生きている⇒2.へ
  ・死んでいる⇒3.へ
  ・生きているか死んでいるかわからない⇒4.へ
2.ライブストランディング(生きている座礁)を見つけた
 1)体をしめった状態に維持する。
   ひたすら全身に水(海水)をあびせるしかない。
   (注意点:頭の上の鼻腔には水をかけないようにすること。)
   可能であれば、周囲を掘り下げ、体が乾燥しないよう水に浸っている状態 にする。
   また、上部にテントが張られ直射日光が当たらないようにする等も有効。
   その際、尾びれには近づかないこと。尾びれの一撃で大怪我をすることがあるため。
 2)近くの水族館等に連絡する。
   水族館の是非はともかくもおいておいて、ストランディング固体を延命させるためには
   専門知識や施設を持った水族館等の協力が絶対的に必要となるので、まずは近隣の
   水族館に連絡し、指示を仰ぐこと。
   このとき、ストランディングの場所は水族館スタッフに来てもらうにしても後々の資料として
   も必要なので、まず確認すること。
   近隣の水族館はJAZAホームページ
    http://jdbsys.jazga.or.jp/links.html
   で検索できる。
3.ストランディングして既に死んでいる
  下記、財団法人日本鯨類研究所か国立博物館等に連絡すると引き取りに来てくれる。
  (らしい)
  〒104−0055
  東京都中央区豊海4−18 東京水産ビル
   (財)日本鯨類研究所
    tel:03−3536−6521
    fax:03−3536−6522
  可能であれば上記に少しサンプルとして採取し90%アルコールにつけて冷蔵保存後上記
  に送付するとベスト。
  なお、サルプルは少しの表皮でもOK。腐敗したものでも最近はDNA解析が出来るらしい。
  これにより今後の鯨類達の生活や環境を守る手がかりになる。(DNA解析などで過去に
  保存されているデーターと一致させて血縁関係を調べる手がかりになったり等々)
  もちろん、外部計測や種類などを判別してデーターのみ知らせても良いと思うが、なかなか
  それも難しいし、珍しい種類だと「是非とも引き取りたい」となるので、まずは知らせるのが
  一番。
  なお、鯨研から全国で報告のあった「ストランディングデーター記録」というのがあって
  2.3ヶ月周期で発行されるが、それでも年間かなり多くの鯨類が何らかの影響で
  ストランディングしている。そこに送ったデーターなどが記録されて研究所で保存されるのだ。
4.ストランディング固体が生きているか死んでいるかわからない
  鼻腔を15分ほど確認し、呼吸があるかどうか見る。
  15分ほどというのは、鯨類は長時間息をとめることができるためそれだけの時間の確認が
  必要、ということ。
  その際、尾びれには近づかないこと。尾びれの一撃で大怪我をすることがあるため。
   ・生きている⇒2.へ
   ・死んでいる⇒3.へ
=======================================================
ちなみに、日本鯨類研究所に連絡したところストランディング情報を 記述する用紙を送る、
ということなので送ってもらった。 その中にもストランディングを見つけたら、みたいな小冊子
がついてたのだが さすがに量が多いし、著作権の問題もあるだろうのでここでは割愛する。

その後そのスナメリが気になったので、再度ストランディングしていた場所に 11月のとある
金曜の晩に訪れてみた。 場所は九十九里浜の千葉県匝瑳郡野栄町堀川浜海水浴場という、
千葉東金道路の終点で降りて九十九里浜を銚子に向けて数キロ走ったところであった。
で、行ってみると。。。やはりなくなっていた。数日前にどうやら海岸の 清掃をしたらしく、ブル
トーザーのわだちのあとが至るところについていた。 あのスナメリはいったいどうなったんだろ
う…
仕方がないので、ビーチコーミングでもして帰ろうか、と思い貝殻など をひろったあと、ふと
海の方を見ると、海岸から数十mのところに スナメリの背が! この近くにいる、というのは
知ってはいたが、こんなにも海岸、しかも 砂浜の近くを泳いでいるのにびっくりした。 で、その後
数分私の目の前をゆうゆうと泳いでいたスナメリはやがて沖に消えて行った。
いろいろと思いをめぐらさずにはいられない土曜日であった。



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