雑誌社からの質問と回答内容


扶桑社、「新しい住まいの設計」6月号の取材を受けたわけだが、ライタは関東在住、こちらは福岡在住ということもあり直接会っての取材は難しかった。そこでメールで質問・回答+電話取材という形を取った。住宅雑誌の観点からの取材と記事のため、パソコンマニアとは違った視点からの記事となっていると思う。また、限られた誌面のため回答内容が全て載せられているわけではない。回答作成に2晩程度をかけているので公開しないのはもったいない(^^;ので以下に回答文書を載せることにする。なお、公開に関して出版社側の了解はとってある。
しかし、考えてみると(編集者側にとって)実に便利な時代になったものだ。出張することなしに記事材料を揃えることができる時代なのだ。つまりこちらもむこうもお互いに会ったことは一度もないのだ。信頼関係が存在するかどうか疑問だがビジネス的には便利には違いない。だが、取材を受けるこちらは回答文書作成、資料図面作成、掲載写真撮影(アナログカメラをもっていないので”写るんです+セルフタイマ”を購入)をこなす羽目になった。しかし、領収書とりわすれた。。この分の経費はもらうの難しいみたい。DPEは領収とったのでこの分を含めて”規定の謝礼”なるものを頂きました。どうもです>扶桑社さん


情報化住宅を建てたことについて


1999/5/4
用語解説

LAN=Local Area Network
 ある閉じた場所でパソコン機器などの資源(ファイルやプリンタなど)を共有で
 きるようにしたネットワークのこと。お互いが有線または無銭により結ばれている。
ISDN=Integrated Service Digital Network
 デジタル電送方式による高度なサービスを提供する電話通信規格
 NTT-電柱‐家屋までは通常の電話線と同じ2線ケーブルを使用する。
 宅内はDSUを介した後は4線式ケーブルを使用して通信機器を接続する。
 接続方法は同一線上にぶら下がった形で接続する。同時に接続できる機器は6個ま
 で。 1契約で2回線を同時につかうことができるため、インターネット接続中でも
 電話を使うことができる。
 1回線での通信速度は最大64Kbps。2回線同時に使えば128Kbpsである。
DSU=Digital Service Unit
 宅内のデジタル機器と外部の通信の調整を行う機器
TA=Terminal Adapter
 ISDNをひいた場合、ISDN回線には対応のディジタル機器しか接続できない。
 従来のアナログ電話を使う場合は、このTAを介して繋ぐことになる。
 またパソコンも直接つなぐことができる。
ダイヤルアップルータ
 数年前から家庭内LANとインターネットを繋ぐのに最適といわれて人気の機器。
 LAN上の複数のパソコンと同時に使用する。
 ルータはLANの代表としてインターネットと接続して、複数のパソコンのインター
 ネット接続を中継する。
 従って、TAが接続された1台のパソコンでしか通信できないのに対して、
 ルータは複数のパソコンで同時にインターネット接続することが可能。
 家族で同時に別々のパソコンでインターネットする場合に便利。
NCC=New Common Carrier
 第2種電話サービス会社、DDIや日本テレコムなどを指す
CD管=??? 何の略語なんでしょう ??
 住宅やビル工事で後から配線を通すための配管用に使用される蛇腹の形をしたプラ
 スチック製のパイプ。自由に曲げることができる。口径は小から大までさまざまで
 ある。
以下、ご質問についての解答です。

>>1.動機(どういうライフスタイルを送ろうと思い、住宅の情報化に配慮したのか
>>例:将来、パソコンライフを楽しみたい、ホームバンキングをしたい、デジタルCS
>>を全室で・・・など)

私が家を建てたのはほとんど勢いであり、思い描いていた姿というものはあまりあり
ませんでした。従って、本音をいえばこれといったライフスタイルは考えていません
でした。ただ、生まれ育ったのが田舎なので田園風景の中でパソコンをたたいて家か
ら世界と繋がってるというのもいいなと思ってました。進歩の早い情報通信分野です
ので今後の情報機器の主流が何になるか、どんな魅力的な機器がでてくるか予想する
ことは不可能です。けどその時にそれを使いたい部屋で使えないというのは、きっと
悔しいに違いないので現段階で行える最小限の投資で最大限の対応力を持った設備を
入れておこうと思ったのが我が家の情報化の第一歩です。単なる心配症な奴かもしれ
ません。


>>2.これからどういう新しい情報技術を家に導入していきたいか。あるいは注目し
>>ていること(多少、上の質問と重なるかもしれませんが。例・光ファイバー、デジ
>>タルCS、壁掛けテレビなど)

家を建てるということはお金がかかります。個人の趣味にかけるお金も制限が生まれ
ます。興味あるものすべてを導入していければいいでしょうが独身時代のようにいき
ません。というわけで、最近のポリシーは、導入コスト,運用コストが安価な機器で
なければならない。当然、環境にもやさしくなければいけません。というわけで当面
、新技術の導入は見送っております。業界用語でいうところの”枯れた技術”=長年
使われて不具合も解決され安定動作するものに目が行きます。但し、職業がら最新技
術動向は追いかけてます。
  インフラの面で注目しているのは、市内通信料金の価格破壊です。日本における通
信料金は高すぎます。米国は行き過ぎの感もありますが利用者の面からすれば市内通
話フリーといった通信制度がインターネットを使いやすくしています。従って、市内
通話のNCCの登場に注目しています。ここ福岡(九州)でも電力会社系が九州電話
なる3分9円の市内通話をサービス開始する予定です、電柱資産をもった電力会社の
これからに期待しています。しかぁしです。ISDN回線はサポートしていません。
将来するともしないとも言っていません。多分、できない事情があるのでしょう。P
HSの移動しながら通話ができるようにNTT側工事が行われるまで3年かかりまし
たからね。
# 個人的にはNTTの分割案には賛成です。あの体質は壊さないと変わらない。
 余談ですが、夜間しか使えないテレホーダイは回線混雑いよるインターネットの通
信速度低下、睡眠不足による労働生産性低下(^^)を招くインターネットの世界、
現実の世界両方に悪いものと思っています。よって、使っていません。
  運用面で注目しているのは、無線LANです。作り売りがほとんどのマンションで
のインターネット・LAN構築を目的とした製品が出始めています。けど、一戸建て
の場合そこまで高機能である必要はありません。各部屋に現状の有線ケーブルを差し
込むハブの代りにパソコンと無線通信、壁から有線通信をするための中継機器が安価
に発売されるのを待っています。壁による電波の減衰があるため無線LANは実用が
難しいのであり同一室内に限定した機器なら安くでてくるのではと思ってます。

>>3.情報収集の方法

特定分野、技術にかんしてはインターネットで検索すればほとんど必要な情報が入手
できます。しかし、知らないことは知らないままです。自分が知らない技術、製品に
関する知識を入手するには、NIFTYの会議室やインターネットのNetNews
やMailing Listが役にたちます。他の人の知識から新しい技術・製品の名称を知るこ
とができますし、自分が分からない点は質問すれば教えてもらえることもあります。
<--- インターネットはもともとボランティア精神で発展してきました。自分の技術
が低い時に先輩達から教えてもらって成長したことは、後から自分も後輩に教えてあ
げるということが大事です。ブームになってしまうと変な人もでてきて場をかき乱す
人がいますので記事にする時はこの点を含めて書いて欲しいです。 また、製品の批
判だけでなく使えるようにしようという前向きの態度も助言してもらうのに必要です。

>>4.具体的に、どのようなことを行ったか(どんな設備を、どう設置したか、など

Webに記載の配線図でいいでしょうか?
設備リスト
  ダイヤルアップルータ MN128SOHO  NTT‐TE東京
    DSU                INT−DSU      メルコ
    電話配線              CAT5ケーブル    約25mバス配線(一筆書き)
                                             ノード×6箇所
                          ISDN用モジュラ          6個
                          アナログTEL用モジュラ   12個
    LAN配線             CAT5ケーブル    60m用意するが現状1本のみ
    -------------------- 業者に用意してもらい施工してもらう ---------------
    CD管                Φ16mm       バス配線(ノード×6箇所)(*1)
                          Φ16mm       スター型配線×6(従来TEL)
                          Φ16mm       スター型配線×4(LAN用)(*1)


>>5.費用はいくらかかったか。新築全費用のうちの割合は?(細かくわからなけ
>>れば、大体で結構です)

業者工事代金=約2万円
設備代金  =約8万円
ISDN工事代金=約2万円 <-- 通常の電話引き込み工事も含まれてます
配線工事代金= 0   <-- すべて自前工事(免許保持者の友人と一緒)のため
サラウンド装置=3万円  <--  友人の中古と配線工事代(=数千円)です
------------------------
     合計  約15万円

新築費用 約2400万円に対して0.625%
配線工事を専門業者に頼んだ場合でも1%程度で済むのではないでしょうか。

空配管工事は他の方の話を聞くともっと高くなるもののようです。空配管1本=3〜
6千円が相場らしい。私の場合、契約条件にいれて交渉したのと業者が内容をよく理
解してなかった(私も当初は漠然としたイメージしかなかった)ためと思います。


(*1) 当初Φ25mmのCD管を指示していたが業者のミスで16mmになってしまう。
        LAN用配管工事代金  ¥11000
        16-->25mm 変更価格    ¥20000
    追加配線工事      ¥8000 ← 大体
        施工ミス補償金      △¥50000
   −−−−−−−−−−−−−−−−−
                            △1万円 の黒字となってしまいました。


>>6.ご家族の反応は?(例・夫・妻が「余計な出費」と反対したなど)

良く分かってなかったみたいです。運用面でも使い物になるパソコンを複数所有して
ないのであまり感じてくれてないみたい。私が会社からノートパソコンを持ちかえっ
た時に食堂でExcelのヘルプアシスタントのいるかで子守りしながらインターネット
してる時程度しか実感してもらってないかもしれません。
先日、直さんへメールした時も子供がかぜひいて布団で寝てる横にLANケーブル引っ
張ってきてメールしてました。こういう場合便利ですね。けどケーブルが床をのたく
るのは許せないものがありますのでやはり簡易無線LANが欲しい。
現状は、私一人の設備ですね(^^。子供がもう少し大きくなれば当たり前のように
使う時代となってるからきっと役にたつと信じてます。



>>7.特に気をつけたこと

指示通りの工事をしてくれるかどうか。配管がきちんときてなかったら使い物になり
ませんからね。工事期間は短いので最低限の要求=全部屋への配管=が満たされてる
かどうかに神経使いました。 結果的には、管径が指示と違いましたが間違った配管
経路が予備配管となるのでφ25 --> φ16×2 と収容容量が増えた上にキャッシ
ュバックもあったりでうれしい結末でした。  但し、余裕のない経路はキツイです。



>>8.実施するにあたって苦労したこと。

ISDNが一般化しておらず資料探して自宅へ設計してもそれが本当に正しいのか確
認する手段がない。工事担任者免許もった友人に確認したりしてました。
あとは、工事業者に知識がないので2次元の絵を書いて指示するしかなかったこと。
それでも不安なので3次元の絵を書いて、こういう風に配線したのかと確認したりし
ました。
引き渡し直前まで、居住地周辺を収管するNTT局側がISDN対応していなかった
ので間に合うのかどうかも不安でした。NTT担当者もISDN規格をよく知らなか
ったり、工事の立ち会いのために事前連絡してから家に向かう約束がいきなりやって
きて私は急遽退社して帰る羽目になったりと普通の民間人が業者を使うというのは苦
労します。


>>9.建築中あるいはその前後で、何か面白いエピソードがあれば教えて下さい。

松下電工の電材部品がナショナルショップで入手できたこと。
知り合いを探せば、ケーブル等を新築祝いで流してもらえたこと。
業者は見積もりの時にシビアに価格を出してくるけど、契約終わった後はおまけの部
材をけっこうつけてくれたこと。
買ってきたダイアルアップルータ(ISDNを使うのに必要な機器=TA機能を含む
)が故障しててインターネットはできるのにアナログ電話をかけることができず、初
期不良で新品交換となりました。



>>10.終わってみての感想(例・ここに満足(後悔)している、メーカー・業者へ
>>の不満、情報が十分入らない、など)

・業者を使うのは大変である。コンサル料を請求したくなった。勉強してくれぇ。
で、分かったのは業者のレベルで説明してあげること。ISDNだLANだといって
も分からないので腰が引けてしまい前向きに考えてくれない。 業者の分かるCD管
を こことここを結ぶように引いてくれといえば、使ったことあるものなので理解し
てくれる。
・業者は使い勝手まではあまり考えていない。情報盤を取り付けた後、エアコンをつ
けたら盤の蓋が開かなくなったとか。2Fのエアコン用コンセントはあるけど室外機
は1Fエアコンに重ねるか壁に取り付けるしかないではないかとか、運用面をよく考
えて設計に注文をつける必要がありますね。
・どの部屋からでも電話、インターネットが使えるのは非常に快適です。多少の冗長
設備でもいれててよかったです。が、実際に使う場所と少し離れてて2,3mほどケ
ーブルが床をのたくるのは悲しいです。やはり無線LANの登場をまつしかないでし
ょうね。


>>11.これから建てようとする人に、アドバイスをお願いします。

業者の知識不足はあと数年は変わらないでしょう。施主が十分な知識を持って、業者
が分かる指示をする必要があります。 自分でできる部分は、よく分かっていない業
者に任せるよりは、なにより自分の家ですから自分でやってみてはどうですか? 空
配管さえきちんと配置しておけばやり直しは何度でもできます。DIY感覚で住宅の
情報化、時代の先端をいってみませんか?  分からないことは先輩達が教えてくれま
すよ。

ISDNというのは運用が起動にのるまでトラブルに見回れることが多いです(自分
で用意したTAが壊れてたら当然電話もできません.私も経験しました)。予備の通
信手段(携帯電話など)を用意した上で導入されることをお奨めします。

設計する時は、将来どのように使うか完全にきめることはできないので多少冗長でも
余分に配管をしておくことをお勧めします。使わなくてもいいわけですからね。
あと、きちんと配管図を残しておくこと。1年たつとこのパネルの中はどこに繋がっ
てるのか憶えてなかったりします(^^。

同じ考えを持って、これから情報化しようとしてる人や既にした人は私のWeb(ホ
ームページ)の掲示版に考えや経験を書き込んでくださいね。メール頂ければ投稿ペ
ージに載せていきます。よろしくお願いします。


FAQのページに戻る

やっし (yoko32@hi-ho.ne.jp)

ご意見、ご要望は mailto:yoko32@hi-ho.ne.jp までお願いします。