鉄道写真、撮りまくり日記1
キヤ191系を激写せよ
(このページは友人O氏が作成した物を管理人が修正htm化した物です)
  チャイム音は、キハ185系です。
「ピピピピッ、ピピピピッ、ピピピピッ、ピピピピッ!」
いつも適度に数分遅れるボケナス目覚ましが、朝も早よから主人を不愉快にさせる。まだ薄暗い。
「ほんまかいなあ、この時計?合っとるんかいな。携帯の時計見よやっと。」
パカッとあけて、目が点!
「いかんがな!合うとる!0500時。出撃準備や!総員起床おーっ!」
ガバッっと、起きて窓の外に目をやれば、・・・雨である。最悪!
ミッドウェー島近海で米艦上爆撃機「ダグラスSBDドーントレス」に急降下された
帝国海軍、第1航空艦隊司令長官南雲中将のごとく、全身が凍りつくのであった。
「くそっ!利根4号の発進が遅れなければ!」と、天を恨んでも仕方がない。
「なんとしても撮らなければ。」使命感に燃える、おいらであった。

 時は遡って、6月15日。かねてから常に情報交換をしていたの友人R氏から、
「今度、6月18日にキハ191系が来るでー。」
「ほんまけー?始めて見るやつや。何時?」
「朝、早いでー。しかも予讃南線(松山−宇和島間)しか走らん。明日でもメール入れとこわい」
「ラジャー」
ってな訳で来たダイヤというのが、北伊予駅着0555時であった。
 作戦発動前夜、この情報を元に、計画立案し、図上演習を行って、細部を詰めていった。

  

北伊予駅での停車時間は、0555時から0614時。
この間、離合する列車は・・・625D(キハ58+キハ65の2連)。
その後、723Dはキハ185系3000番台2連+キハ32じゃ。
試9692Dことキハ191系の到着番線は2番。
ってことは、入線を1番線から撮って、その後1番線に入る
625D、723Dをケツから撮るか?
折り返しの試9793Dは北伊予駅0936時から1000時じゃなあ。
任務中やなあ。困ったぞ、と。・・・んー。よし!途中で抜けて行こう!
と、ズルを決め込んで更に作戦司令部では無責任な戦術を練るのであった。
上り試9793Dが離合するのは・・・726D、これはキハ32やけん無視。
おっ、その後1056Dがあるやんけー!しかもアンパンマンやんかあ!
これは連写で撮ーろおっと!あとは630D、キハ58+65や。
朝、撮れんかったら狙おか。てなことで、ダイヤを睨みながら構図を描くおいらであった。

その時である!JR四国の車内放送メロディーが作戦司令部に鳴り響いた。
「O隊員、健闘を祈る!成功の暗号はトラ、トラ、ねこじゃ!」
高松に出撃している、R氏からのメールである。すかさずおいらは、
「不肖、O隊員、北伊予駅に出撃す!トラ1号作戦発動せり!トラ、トラ、ねこじゃあー!
アホと言う輩は天に代わってお仕置きよ!」と、返伝したのであった。が、
冷静に判断すれば、アホである。この会話は、サルにも劣るただのアホである。
アホ以外何者でもない会話をしながら夜はふけて行くのであった。

 そして、任務当日!雨である。何度も言うようだが、カメラは全くの素人である。
はっきり言って、この状態でうまく撮る自信はない。
撮影モードを"M"にして、ホワイトバランスを"オート"と"曇り"にして外の風景を撮ってみる。
が、ともに変化なし?では、ってことで、モードを"P"に戻し、更に窓から外を取るが、
ななな、なんと、両手を頬に当てて口を空けているようなマークが出るではないか!
「なんや、これは!」
素人とは、おとろしい者である。何も分からない!
しかし、すかさず取説に手が行くところは、ただ者ではない。
そのマークは"手ぶれ警告"であった。
この警告が出た場合は「ストロボを、ONにするか、三脚などで固定してください」と、ある。
走行中の列車に向かってストロボをたくことは最低!であり、ファンとしては許しがたい行為だ。
しかし、三脚は無い。これならばバッタもん買っておけばよかった。・・・とホホ。
ここで、オツムの回転の速いおいらは、すかさずISO感度に注目した。
ISO感度"オート"では、その数値は50〜150の間で自動設定されていること。
更に、シャッタースピードは感度に応じて自動で決まり、その速度はこの暗さでは
1/30を切っているだろう。だから手ぶれ警告が出る。などなど・・・・・。
と、言うことはISO感度を上げてやれば良いのでは?
しかし、ISO感度を上げれば画質が悪くなると書いているため最大の400から順に下げたが、
やはり400でなければダメであった。もっと、もっと、賢い方には常識だろうが、
何度も繰り返すが、カメラは素人のおいらであることを、再度認識してほしい。
さて、バタバタしているうちに出撃時刻となり、おっとり刀で任務遂行に向け移動する。

 車で僅か5分の北伊予駅には、一番乗りであったが、しばらくすると御同輩が2名現れ、
そこに場所取りの冷たい戦いが始まった。
「ここ、私が入ります?」なんて見え透いた言葉をかけながら、各々、橋頭堡を築くのであった。
幸い、一番乗りの特権として、1番線で2番線に入線するキヤを狙える場所を確保していたため、
おいらには何も不満は無い。してやったりだ。

時は、0555時。北伊予駅の南側踏切が鳴り始めた。
いざ!傘がズリ落ちそうになりながら、カメラを持つ手に力が入る。
来た!モニターに映し出されたライトを煌々と照らしたキヤ191をゲットする。
すかさず再生して、その構図を確認し、ニヤッ!OKである。

キヤ191は珍しい車両のため、あっちこっちなめまわすように観察しながら、625Dの到着を待つ。
今日の主役は松山方面より「キヤ190−3+キヤ191−3」"広クチ"山口鉄道部所属機である。
キヤ191の停車位置から言うと、625Dと頭を揃えては撮影困難なため、ケツから狙う。
今回も連写ではなく、モニターを睨みながらの撮影だ。
きっちり625Dのケツとキヤ191の顔があったところでパチリ!

雨の中、朝も早くから傘をさしながらカメラを構える姿は、
625Dの乗客にとってはさぞかしアホに見えるであろう。
手を振られようが、笑われようが列車の運行に支障なく、たった1枚の写真に命を掛ける、
これぞ、鉄道ファンの正しい姿である。
思い起こせば20数年前に起こった"ブルートレインブーム"にわかカメラマンたちが押しかけ、
はたまた、列車の運行を妨げまでして撮った写真にはいかほどの価値があったのであろうか?
ともに栄えてこそ鉄道と、ファンの関係ではなかろうか。
625Dは何事も無く、着発で伊予市方面へと姿を消す。
次の、723Dは違ったアングルで撮りたくなり、陣地を2番線に移動する。
 残念ながら、723Dとのランデブーは、いまひとつであったが、余は満足である。

センスがあればもっといいアングルで捕らえられていただろうに・・・。
 第1次作戦を終了して我が家にとって帰り、わくわくしながらパソコンで再生してみれば、ななな、なんと!さすがにISO400。
画質は悪く、ガッカリ!うなだれて
「第1次作戦小破なり、第2時作戦発動す」と、暗号に変え、友人R氏にメールするのであった。

時は過ぎ、第2次作戦発動時間の0930時がやってきた。
世を忍ぶ仮の姿での任務時間中であり、無断で抜け出すことは当然出来ない。
従って、おいらは、「私用外出しまーす。」と、所属長に告げ、
なんと!タイムカードまで押して出撃したのである。
理解に苦しむかもしれないが、おいらは至って真面目であり、
人から後ろ指を指されることは間違っても出来ない性分である。
この性格が今日のおいらを築いていると言っても過言ではないのである。

ま、そんなことはさておき、アンパンマンとのランデブーを楽しみにルンルン気分で北伊予駅に向かう。
さすがに御同輩はいない。好きなところで撮りまくり!幸せーな気分でカメラポイントを決める。
2000系の前に726Dとのランデブーを撮影

2000系アンパンマンの傾斜した車体とキヤ191をフレームに入れるのには、
今まで何度か激写した1番線からが今回はベターだ。
この時間には雨はやみ、幾分明るさを取り戻してきた。
ISO感度を"オート"にしても、手ぶれ警告は出ず、ラッキーである。
が、しかし、さすが昼間である。
1056Dアンパンマン通過後の630Dに乗車する客が来るではないか。
それも駅本屋の柱の影に隠れている、おいらの目の前におばはんが二人!のけとも言えず、
黙ってカメラを構えるおいらであったが、さすがに田舎の人は人情がある!
おばはん二人はカメラから避けてくれたのである。
感謝!感謝!気分を良くして再度設定チェックを心置きなく行う。

撮影方法は"連写"、距離は"山(遠距離)"・・・・・。
デジカメは数分すると自動的に電源が切れるため、列車が近づく時間になると、
常に操作してなければならない。
これが苦痛でもあり、また楽しみでもある。
 やがて、お馴染みの南側の踏切が鳴り出す。
来た!モニターをOFFにして、ファインダーを覗き込む、
その瞬間1056D宇和海6号アンパンマンが現れた。いつもながら速い!
一瞬シャッターを押すのが一瞬遅れた!
あれよあれよと言う間に通過し、顔面蒼白になる。
ヤバイ!すかさず再生してみると、2号車あたりだろうか、側面が写っている。
その前は3号車当たりか・・・・・。最悪!
そっと、その前の映像を写してみると、
ななな、なんと、顔ピタではないにしろ、ちやーんと写ってるではないか!

ラッキー!ほっと胸をなでおろし、任務の終了を告げるのであった。
 成功の暗号は、「トラ、トラ、ねこ!」
今から60数年前の1941年12月8日、ハワイオハフ島上空で97艦攻機上より
淵田中佐が発した「我、奇襲に成功せり!トラトラトラ」の心境であった。

その後、入線した630Dを狙って待機していたが、なんとケツにキハ185系が着いているではないか。
これはおいしいが、付いてるとは知らなんだ。おいらの作戦ミス。
すかさず、後ろに回り、パチリと、決めて凱旋する。

 データはその後、友人R氏にメールで送り、任務終了。
天気が悪く、ほんに疲れた一日だ。
後日、1056D宇和海6号アンパンマンとのランデブーは
友人R氏のホームページの1段目を飾る運命にあった。


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