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電子メールを授業で活かそう

この文章は【日本文教出版 教科「情報」メール】第37号に掲載されたものを整形したものです

便利な電子メール
自宅のパソコンの電源を入れたら、最初に何をされますか?メールマガジンを取っている方なら、おそらくメールチェックではないでしょうか。

電子メールは、個人だけでなくグループに対しても利用できる、便利なコミュニケーションツールです。もしかすると、一番利用頻度の高いインターネットのサービスかもしれません。

この便利な電子メールを授業で体験させたい。そこが出発点です。

メール環境の構築
電子メールを授業で活用する方法については、ICT・Education No.17などさまざまなメディアで公開してきました。技術的な部分はそちらを見ていただくとして、簡単に概要をご紹介します。

メールサーバはフリーウエアのBlackJumboDogを利用しています。普通のパソコンにインストールしてメールサーバとして利用できるので、古いPC室でもLANさえあれば利用できます。最近ではフリーウエアのExecSvcを使い、メールサーバ機の電源さえ入れれば使えるようにしています。

生徒用メールソフトはOutlookExpressでも良いのですが、学校で使うには不都合な面が多いと思います。フロッピィディスクに入るフリーのメールソフトKDUmailnPOP-Qなどが便利です。

先生用メールソフトはOutlookExpressなど何でもかまわないのですが、件名や本文で自動振り分けや返信ができるものを使って自動返信をおこないます。また、冒頭に送信するメールはフリーウエアのまとメーラーを使い、本文中に受信する生徒の名前を個々に入れるなど、マナーに配慮したメールを送るよう心がけています。

教具としての電子メール
電子メールのマナー定着をねらい、毎回授業の冒頭に授業の内容のメールを送信することにしました。生徒は読み終わると返信し、メールに書かれた内容に沿って授業が始まります。

毎回使い始めるようになって気づいたことなのですが、電子メールは黒板やプリントを超える教具としてのメリットがあるのです。

メリットの一つは電子メールのマルチメディア性です。メール自体はテキスト形式でも、リンクを利用することで参考資料や図版を見せることができます。インターネット・イントラネットでも、画像・文章・音声でもシームレスに利用できます。場合によっては「教科書の○○ページを参照」などと、今までのような紙ベースのものとリンクした使い方もしています。

もう一つ大きなメリットは個々の生徒に応じた授業展開が容易にできることです。生徒はメールの説明や、リンク先の説明を読み、作業を進めます。2人の教員で授業をしていますが、全体への指示はメールでしてあるので、2人とも机間巡視をすることができます。そのため、教員は時間のかかる生徒へのフォローに集中できます。

副次的なメリットとして、授業への意識が変わるようです。こちらからの指示を待っている生徒が減り、メールの指示に従って自発的に取り組むような生徒が増えてきます。また、その授業の全体像がメールで示されているので、興味のあるところに時間を多くかけるなど、授業の時間配分を工夫する生徒も現れました。

また、当初のねらいのメールのマナー向上については、効果は上がってきているものの、短くまとめるのが良いとされる携帯メールのマナーが抜けきらない生徒も多数います。ただし、返信は確実に早くなり、当初メールの返信に15分程度かけていましたが、5分程度ですむようになりました。


このようにメールを活用して授業を進めていくことは、事前の「仕込み勝負」といった面もありますが、一斉授業という今までの授業の概念を(少しだけ)変えるものになるのではないでしょうか。
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