<top
−
[book top]
−[book science/snowflake]
雪または雪の結晶にまつわる、お気に入り本を集めてみました。私は大学でも一時結晶科学を専攻していたこともあり、結晶と聞くだけで結構嬉しくなってしまいます。
雪の結晶を顕微鏡で実際に見た人は多くないかもしれませんが、写真や絵は色々なところで見ることが出来ます。それらは決まって、六角形から枝が伸びたような形をしています。細かく見れば実際は色々な形の雪の結晶があるのですが、六角形を基本としていることだけは共通しています。六角形になるのは水の分子の並び方に関係があり、要は水の結晶(氷)が六角形(六方晶系)だということ。ちなみに、初めて雪の結晶が必ず六角形になることを発見し、これを科学的に論じたのは、天文学者で有名なケプラーです。かれは、実際色々な分野に業績を残しています。
雪の結晶が六角形なのは、顕微鏡を使わなくても肉眼や虫眼鏡でなんとなく分かります。実際ケプラーは、顕微鏡がまだない頃に観察していたはずです。しかし、顕微鏡により、複雑な雪の結晶の形を細かく観察できるようになりました。日本では、古河の藩主という恵まれた身分にもかかわらず(いや、恵まれた身分だからこそ、か)、「雪花図説(1832)」(土井利位)が有名です。この本の解説書は、入手困難なものが多いのですが、彼の描いた雪の図はインターネットで見ることが出来ます。また、雪に関する日本の本には、必ずといって良いほど紹介されています。
タイトルなどの一覧です。ここからは同ページ下部の「本別感想など」にリンクしています。
処分 | メディア | 書名 | 著者 | 発行 | 発行日 | ISBN | 定価 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
文庫 | 北越雪譜 | 岡田 武松 他 | 岩波書店 | 1978/01 | 4003022610 | \735 | |
文庫 | 雪 | 中谷 宇吉郎 | 岩波書店 | 1994/10 | 4003112423 | \525 | |
単行本 | 雪の結晶―冬のエフェメラル | 小林 禎作 | 北海道大学図書刊行会 | 1988/10 | 4832912615 | \1,575 | |
単行本 | 雪の文様 | 高橋 喜平 他 | 北海道大学図書刊行会 | 1989/03 | 4832913115 | \2,520 | |
ペーパーバック | Snow Crystals (Dover Photography Collections) | W. A. Bentley | Dover Pubns | 1931/01 | 0486202879 | \2,477 | |
ハードカバー | The Snowflake: Winter's Secret Beauty | Kenneth Libbrecht 他 | Voyageur Pr | 2003/11 | 0896586308 | \2,483 |
本別に詳しい感想などを書いています。本のタイトル及び表紙画像はAMAZONにリンクしています。
文庫;「北越雪譜」;岡田 武松 他;岩波書店;(1978/01);ISBN:4003022610;\735
「北越雪譜(1835?)」は、「雪花図説」より3,4年後に書かれたもので、「雪花図説」のいくつかの図を描き写している。この本は、雪そのものではなく、雪国に伝わる色々な話をまとめた本である。雪の中の虫や熊が人を助けた話など、面白い話が多い。
文庫;「雪」;中谷 宇吉郎;岩波書店;(1994/10);ISBN:4003112423;\525
雪(の結晶)そのものの話をまとめた本。人工雪の研究で有名な中谷宇吉郎の著。岩波文庫に入って、新字体・仮名遣いになったのでだいぶ読みやすくなった。研究の苦労なども書かれていて、興味深く読める。
単行本;「雪の結晶―冬のエフェメラル」;小林 禎作;北海道大学図書刊行会;(1988/10);ISBN:4832912615;\1,575
雪の結晶に興味を持ったときに、まず最初に読むと良さそうな本。40ページの薄い本だが、雪の結晶の写真も多く掲載されており、基本的なことは一応すべて触れている感じの本。
単行本;「雪の文様」;高橋 喜平 他;北海道大学図書刊行会;(1989/03);ISBN:4832913115;\2,520
特に日本は、家紋を始めとして、優れた文様の文化を持っている。色々なところに使われている雪の文様を集めた本。浮世絵の女性の着物の文様から、北大の学生寮まで。そういうものに興味のある人は是非。
ペーパーバック;「Snow Crystals (Dover Photography Collections)」;W. A. Bentley;Dover Pubns;(1931/01);ISBN:0486202879;\2,477
中谷宇吉郎をはじめとして、その後の雪を研究するすべての人に影響を与えた古典的名著。当時の撮影技術による平板な画像、写真の加工(あきらかに結晶の周りを切り抜いてある)、細かい撮影時のデータがないこと、きれいな形のもののみ選んだことなどが学術的には批判されるところだが、形状を楽しむだけなら充分だ。雪の結晶の話をしたいなら、持っていなくてはいけない本。写真集なので、英語が読めなくても大丈夫。
ハードカバー;「The Snowflake: Winter's Secret Beauty」;Kenneth Libbrecht 他;Voyageur Pr;(2003/11);ISBN:0896586308;\2,483
私は、もし雪の結晶の本を1冊だけ選べといわれたら、迷わずこれにする。この本が美しさは一番だと思う。現在標準となっている2箇所から光を当てたライティングにより、立体的な美しさも良く出ている。文句なくオススメ。 Kenneth Libbrechtはカリフォルニア工科大学物理学コースの責任者だそうで、物理学的な話のみならず、雪にまつわる神話や、どのようにして雪の結晶ができるのかについて論じている。また、Patricia Rasmussenは写真の専門家。写真だけを集めた小さな本も出ている。