こぼれ話   
  
 
 インタ−ネットと勘違いビジネス  ('98.11.22) 
 インターネット上には様々なビジネスが展開されています。大企 

業のもの、個人のもの。本格的な通販ページや個人商店の紹介等、 

様々です。                          

 ですが、安易なビジネスは考え物です。            


 法に触れるもので安易にビジネスして摘発されている例がありま 

すが、そんなものでなくても、インターネットなら簡単にビジネス 

できると考えて参入してくる例があるようです。         


 そういう輩には無責任だったり社会常識に欠けるものも多いよう 

です。                            

 特に、人の著作物をただ同然で手に入れることができると考えて 

いる人が多いようです。私はイラストレーターの側面がありますの 

で、作品を使いたいという依頼が時々あるのですが、おかしな依頼 

も多いのです。                        

 私が直接出会った中でも次のようなものがありました。     



その1:人の作品で商売する人 1               

 Windowsパソコンの起動画面用の画像集をシェアウエアと 

して販売している人から、あなたのイラストを使いたいという依頼 

がありました。条件は無償。ただし、すでにある画像集をダウンロ 

ードする権利のある会員にしてあげますというもの。       

 ふーん、あなたは人の著作物をただ同然で仕入れて、それを使っ 

てお金儲けをする訳ね……。会員にしてあげると言っても、ダウン 

ロードする費用は私が負担してあなたはなんのコストも支払ってい 

ないし、そんな会員にしてもらっても私にはなんの利益もないので 

すけど……。                         


その2:人の作品で商売する人 2               

 関西の電子工学系専門学校の学生さんらしい人たちの集団が、イ 

ンターネット上にオンラインマガジンをつくりたいと言って、人集 

めをしていました。スポンサーが付けば利益分配もしますと言う甘 

い言葉に誘われたわけではないのですが、すでに日本テレビなどに 

仮契約を取りつけているとのこと。発行方針には不安があるものの、

私を含め多くのオンライン作家たちが面白い試みだと思って参加し 

ました。                           

 創刊号からオンラインマガジンの発行は遅れましたが、発行予告 

から数日以内に発行された最初の数号はまだよかったのです。彼ら 

が開発したという、ダイアルアップ接続ではとても読めないほど重 

い、自己満足のシステムを改善要求にもめげずデザインを変えるこ 

とに腐心し使い続け、そのため読者は増えないままでした。定期発 

行もされず読者も減っていき、スポンサーも付きませんでした。  

 編集部内では次々と方針を変え、発行は遅れ続け、最後はついに 

半年も遅れ、やがてオンラインマガジンは消滅してしまいました。 

発行が大きく遅れ始めた頃から我々はE-mailで編集部と連絡を取ろ 

うとし続けましたが見事に一度の返信もありませんでした。    

 やがて半年ほどたったある日、近くリニューアル創刊するという 

掲示がでていました。ライターには連絡を取って発行の準備中だと 

書いてありましたのでしばらく待っていましたが、私の知る他のラ 

イターの誰にも連絡もありませんでした。やがて、発行は無期延期 

となったと掲示され、それきりです。              

 無償でコンテンツを供給し協力し続けた我々はいったい何だった 

のでしょう?無視され続け、定期発行されないために信用を失いか 

け、さんざんな思いをしました。                

 おそらく彼らは社会での信用の重要さも、編集という仕事の大変 

さも、なにもわかっていないままに甘い夢を見て、安易にビジネス 

を始めてしまったのでしょう。雑誌編集の現場を知っていれば片手 

間に少人数で処理できるわけがないことは分かっていたはずです。 

 彼らはインターネット上では低コストで優秀なコンテンツを集め 

られると考えていました(編集長と称する人物が誇らしげにHPで 

そのように語っていました)。少人数・低コストでそのコンテンツ 

を編集し、スポンサーを集め利益を得ようなどと考えていたようで 

す。なんと無責任で甘い考え方でしょう。            

 迷惑をかけた多くの人々に謝罪もないままに、今もコストをかけ 

ず海外でやっているシステムをそのまま輸入して、一見すごいこと 

をやっているように派手なHPで宣伝して活動を続けているようで 

す。利益は上がっているようには見えませんが。         

 ……今更無責任さを責めはしないけど、せめて謝罪文を出して欲 

しいものです。                        


その3:人の作品で商売をする人?それとも……?        

 小さなグッズの企画・販売会社から、ある商品のプレゼン用にあ 

なたのイラストが使いたいという依頼をもらいました。      

 中小の業者でしたし、商品そのものに使うのではないので無償で 

軽くOKしてしまったのですが、なんとパンフレットに印刷して使 

っているとのこと。確かにプレゼンですけどね。まあ、それはいい 

としても、職場の総意としてお礼に商品を送りたいと言っていたの 

に住所を連絡したらそれきり。                 

 なんだか狐につままれたような気分でした。もしかしたら、私を 

女性と勘違いしていて、フィクションのお話を使って住所を聞き出 

すのが目的だったのかしらん?                 


番外:正しく人の作品で商売する人               

 私はNIFTYSERVEやインターネット上で多くの作品を発 

表しているので、雑誌や書籍等に作品を収めて販売したいという依 

頼が来ます。私としては作品が多くの人の目に触れるメリット、H 

Pを知らしめるメリットがありますので、問題なく許可しています。

 ネット上のデータを集めて売るという、こういう商売には批判も 

あるんですが、だいたいこういう場合、収録書籍等を送ってもらえ 

るんですね。本一冊、CD−ROM1枚を発送するのにもかなりコ 

ストがかかるのですが、責任を知る一般的な企業はそういうことを 

ちゃんとやるんです。                     

 その1にでてきたシェアウエア販売をしている人と似てはいます 

が、ずいぶん違うでしょ?                   

*        *


 一般に、インターネットを使って商売を始めようという個人や小 

集団は、ビジネス経験どころか社会経験も少なく、社会常識もない 

人が結構いるようです。                    

 簡単に始められるからといって、無責任だったり礼儀を失したり 

しないで欲しいものです。                   



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