こぼれ話

 性犯罪とインターネット ('02.2.22)

 世の中にはいろいろな人がいます。性的欲望を満たす違法行為を繰り返す人間がいることも事実です。

 そうした人間は、対象にできそうな子供や女性、あるいは男性を物色し、適当なものがいれば少しずつ情報を集め機会をうかがいます。場合によっては近づいて親しみを持たせ機会をつくります。
 これは知能犯的性犯罪者の定石のような方法ですが、それを簡単に行うことができるのがインターネットの恐ろしいところです。本来親の目のとどくはずの家の中、子供部屋の中に容易に進入できるのです。また、子供でなくても、心の寂しさを抱えている人の部屋へ、物理的な鍵をすり抜けて容易に入り込むのです。
 犯罪社会とつながった密室が、一番安全なはずの家庭の中にあるのです。

 文字や画像だけのやりとりで相手に実体を隠し、年齢を詐称したり、他人の写真を自分と偽り、相手のよりよい理解者であるかのように振る舞い、よいイメージだけを植え付けてやりとりを重ね、心を開かせるのです。親しみを感じさせ、安心感を感じさせます。恋愛感情を持たせたりもします。
 そうして近づき、実際に会う場を設けて犯罪行為に及びます。
 やりとりの中で個人情報などを聞き出し、ある時突然豹変し、その情報を公開するぞ!と脅して言うことをきかせたりもするでしょう。
 

 子供たちにとってはインターネットは好奇心を満たす情報を得る場であります。思春期に特に強まる性的な好奇心も含め。子供たちでなくても、インターネットは寂しさを紛らわすことができる場であり、また親しい人にはできない相談を見知らぬ人だからこそできる場でもあります。
 

 そうしたいろいろな想いを利用し犯罪に及ぶ人間がいる、そうした利用の仕方が情報交換されもするのがインターネットの世界なのです。
 失敗しても、対象はインターネット上には無数にいて簡単に見つけられるので、次を探せばいいだけです。犯罪者にとってきわめて便利な世界がインターネットであるのです。
 

 周囲の人が犯罪に巻き込まれる兆候を知ることはできるでしょうか?それは、難しいと思われます。
 たとえば、見知らぬ相手とやりとりをしていることや、その内容を親や友人に話したりするでしょうか?人に話せないことをやりとりしたいからインターネットを使っているのですから、それは難しいでしょう。
 何かトラブルが生じたとき、親や友人に相談できるでしょうか?その内容が性的な内容になればなるほどほど難しいでしょう。
 何かが進行していることを周りの人が知る機会が少ないのもインターネットの特徴でしょう。
 

 このような状況は子供や寂しさを抱えている人、社会的に未熟な人々にきわめて危険であり、憂慮します。
 
 
 

追補:
 性犯罪でなくても、お金を巻き上げるための詐欺などの犯罪行為に同様な手段は使われます。
 また、犯罪でなくとも、インターネットで知り合った相手に親しみを持ち、感情共有をした末に一緒に自殺に及んでしまったケースなどもあります。
 心の隙間に他人が容易に近づけるのがインターネットであることを広く知っていただきたいです。
 


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