アコピか?デジピか? それが問題だ!!


 デジピかアコピかを迷われるのでしたら、私はまずこう言います。
「はっきり言って、デジピはアコピのニセモノです!!」

 ピアノは鍵盤を弾きハンマーを打ちだし弦を振動させることでフレームやボディ全体を共振させ、奏でる楽器です。これを高速な演算ユニットを組み込んですべての要素を正確にシミュレートするデジピができたとしても、結局はまねているに過ぎません。
 少なくとも現状のデジピはアコピがもつ奥深い多様な表情のほんの一部分だけしか再現できていないのです。

 もし、お子様がはじめてピアノに触られるのでしたら、可能な限りアコピに触れる機会をつくってあげて下さい。ご本人にその差がわからなくとも、感覚として残っていくはずです。ピアノという楽器の感覚はピアノそのものでしか身につけることはできません。一番大切な時期にデジピで不自然な感覚を身につけさせてしまうのはいかがなものかと思います。

 もし、クラッシックの演奏家をめざされるのでしたら、絶対にアコピが必要。できる限りグランドピアノにふれる機会も必要です。

 アコピのデメリットは……

  • 調律が面倒(特に最初の1〜2年は調律を頻繁にやらねばなりませんし、調整も必要です。安定するのに時間がかかります)。
  • 場所をとる。
  • 重い。
  • 音で近所に迷惑がかかりそう。
 アコピにはいろいろな問題がありますが、一方でアコピは寿命が長く、置き場所さえ適切なら、3〜40年は充分もちます。部品を取り替えながら手を入れていけばそれ以上長く持たせることもできるはずです。
 一方、デジピは調律不要ですが、あくまで家電ですので、8年もすれば補修部品がなくなる可能性があります。そもそもそう長く使えるものではありません。中古で売ることも難しいです。

 中古でもかまいませんから、可能な限りアコピを購入されることをおすすめします。

 アコピと比較してデジピのメリットは……

  • 比較的安い
  • 軽い。
  • 調律不要。
  • ポータブルタイプならあまり場所をとらない(据え置きタイプではアコピとさほど変わらない)。
  • 簡単に録音・再生ができる。
  • 音色が多い。
  • (機種によっては)買ってきたデータで自動演奏させたり自分の演奏を保存できる。
  • (機種によっては)自動伴奏やアレンジ機能を持っている。
  • 他の楽器やコンピューターにつなげてさらに電子楽器の世界を楽しむことができる。
と言ったところです。
 最近ではデジピを使い、インターネットを通じて、またはフロッピーディスクでピアノの指導を受けることができる場合もあります。

 これらのメリットを生かすためならデジピはもちろんおすすめできます。
 また、手軽にピアノを楽しみたい、これまでアコピに慣れ親しんでいてデジピの欠点を知った上で弾くということであれば、十分におすすめできます。
 最近の機種はタッチもよくなってきたので、ピアノに近い電子楽器として活用し楽しんでいただきたいと思います。
 
 

それでも迷う場合……

 もし、今アコピをお持ちでしたら、そのピアノに消音装置を組み込む方法もあります。消音装置は昼間は弦の音で楽しめますが、夜間などにはアコピの音を出さないようにして、かわりにデジピ同様の音源でヘッドホンで音を聞くことができます。これなら、騒音の問題はクリアできますし、音色が多くなったり、コンピューターと接続することもできます。
 はじめから、消音ピアノを買うか、中古ピアノに消音装置を組み込んでもらう方法もあります。

 消音ピアノは若干タッチ感が悪い傾向がありますが、よい調律師さんならかなりタッチを追い込むこともできるはずです。がんばってもらってください。