11 | わたの原 八十島かけて 漕ぎ出でぬと | 参議篁 |
人には告げよ 海女の釣舟 | ||
わたのはら やそしまかけて こぎいでぬと | さんぎたかむら | |
ひとにはつげよ あまのつりぶね | ||
12 | 天つ風 雲の通い路 吹き閉じよ | 僧正遍昭 |
をとめの姿 しばしとどめむ | ||
あまつかぜ くものかよいじ ふきとじよ | そうじょうへんじょう | |
おとめのすがた しばしとどめむ | ||
13 | 筑波嶺の 嶺より落つる 男女川 | 陽成院 |
恋ぞつもりて 淵となりぬる | ||
つくばねの みねよりおつる みなのがわ | ようぜいいん | |
こいぞつもりて ふちとなりぬる | ||
14 | 陸奥の しのぶもぢずり 誰ゆえに | 河原左大臣 |
乱れそめにし われならなくに | ||
みちのくの しのぶもじずり たれゆえに | かわらのさだいじん | |
みだれそめにし われならなくに | ||
15 | 君がため 春の野に出でて 若菜つむ | 光孝天皇 |
わが衣手に 雪は降りつつ | ||
きみがため はるののにいでて わかなつむ | こうこうてんのう | |
わがころもでに ゆきはふりつつ | ||