16 | 立別れ いなばの山の 嶺に生える | 中納言行平 |
まつとし聞かば 今帰り来む | ||
たちわかれ いなばのやまの みねにおうる | ちゅうなごんゆきひら | |
まつとしきかば いまかえりこむ | ||
17 | ちはやぶる 神代も聞かず 竜田川 | 在原業平朝臣 |
からくれないに 水くくるとは | ||
ちはやぶる かみよもきかず たったがわ | ありわらのなりひらあそん | |
からくれないに みずくくるとは | ||
18 | 住の江の 岸による波 よるさへや | 藤原敏行朝臣 |
夢の通い路 人めよくらむ | ||
すみのえの きしによるなみ よるさえや | ふじわらのとしゆきあそん | |
ゆめのかよいじ ひとめよくらむ | ||
19 | 難波潟 みじかき芦の ふしの間も | 伊勢 |
逢はでこの世を 過ぐしてよとや | ||
なにわがた みじかきあしの ふしのまも | いせ | |
あわでこのよを すぐしてよとや | ||
20 | わびぬれば 今はた同じ 難波なる | 元良親王 |
みをつくしても 逢はむとぞ思ふ | ||
わびぬれば いまはたおなじ なにわなる | もとよししんのう | |
みをつくしても あわんとぞおもう | ||