31 | 朝ぼらけ 有明の月と みるまでに | 坂上是則 |
吉野の里に ふれる白雪 | ||
あさぼらけ ありあけのつきと みるまでに | さかのうえこれのり | |
よしののさとに ふれるしらゆき | ||
32 | 山川に 風のかけたる しがらみは | 春道列樹 |
流れもあへぬ 紅葉なりけり | ||
やまがわの かぜのかけたる しがらみは | はるみちのつらき | |
ながれもあえぬ もみじなりけり | ||
33 | ひさかたの 光のどけき 春の日に | 紀友則 |
静心なく 花の散るらむ | ||
ひさかたの ひかりのどけき はるのひに | きのとものり | |
しずこころなく はなのちるらむ | ||
34 | 誰をかも 知る人にせむ 高砂の | 藤原與風 |
松も昔も 友ならなくに | ||
たれをかむ しるひとにせむ たかさごの | ふじわらのおきかぜ | |
まつもむかしも ともならなくに | ||
35 | 人はいさ 心も知らず ふるさとは | 紀貫之 |
花ぞ昔の 香ににほひける | ||
ひとはいさ こころもしらず ふるさとは | きのつらゆき | |
はなぞむかしの かににおいける | ||