引っ越し貧乏


しかし、我が家は引っ越し好きである。

家がにっちもさっちも行かなくなる程散らかってしまうと引っ越しを決意する。

新婚当初は4畳半と6畳のアパートの2階だった。

コーポと名が付いていたが、どうひいき目に見ても文化住宅である。

回りが大きな家ばかり建っているので、余計に目立つ。

長男が産まれ、ガサゴソと大きな音ばかりたてるので一軒家の賃貸に引っ越し

た。(隣のおばさんが怖かったのである)

いきなりの一軒家である。

我が家は、文化住宅なのにシャンデリアをしていたので、当然それも一軒家に

移動させた。

(リモコンで消灯が出来たので、ものぐさな一家にはピッタリだったのである)

しかし、事件はすぐに起きた。

一軒家の居間に付け直したシャンデリアが落下したのである。

居間には、手伝いに来ていた義弟が寝ころんでいたが、落下する数秒前に、私が

台所に呼びつけたので、命拾いをした。

そう・・・私は命の恩人なのである。しかし、今だに恩返しはしてもらっていない。

高い家賃を払っているうちに、「家を買って、ローンを組んだ方が安いんじゃね〜か?」

と考え出すようになり、また引っ越した。

今度は駐車場もついている(もちろん大型車はムリ)。

引っ越してすぐに娘が産まれた。

だが平和な暮らしもそう長続きはしなかった。

数年後、隣に実に品のない家族が引っ越してきたのである。

昼間から窓を開け放ち、ガンガン演歌をかけるわ、また追い打ちをかけるように、

大声でケンカするわ・・・・まるで場末の飲み屋の風景そのものである。

家の中も飽和状態になった頃だったので、家族会議ですぐに引っ越しを考えた。

買う家はすぐに見つかったのだが、今度は今住んでいる家を売る作業が残っている。

日曜日毎に家を見に人がやってくる。

土俵のような掃除では、売れる物も売れなくなるので、珍しく気合いを入れて掃除をした。

おおっ・・・綺麗に住んだはるやん!!」などと言われたが、普段の我が家を見れば

びっくりするだろう。

しかし、誉めるだけ誉めて結局買わないのである。

う〜〜〜・・・・なんて奴ら!!

我が家の綺麗な部屋も限界に達した頃、やっと家が売れた。

売れてから出て行くまで、なんと1週間の早業である。

これで思う存分散らかせると思ったら、なんとなくほっとした。

モデルルームのような、すっきりした部屋には真の安らぎは得られないと悟ったのは

この時であった。

でも・・・・寝ころぶスペースくらいは欲しいよな〜(ダンナの心の叫び)

 

余談ではあるが、うちの嫁は家を見にこられた人に「あっら〜・・・・3人目ですか?いつ生まれはんのん?」と聞かれていた。

「いっ・・・いえっ・・・生身のお腹ですっ」と言い訳している嫁を見て私の肩の震えは止まらなかった(ぷぷっ・・・・)