それは予告もなく突然起こった。

 日曜日の昼下がり、一家でダイエーのコーンフロストを大量に買い占めに行った。

 ダイエーの食料品売場を徘徊していると、ご多分に漏れず「試食コーナー」が設置

されていた。今回はウインナーである(ちょっとニンマリ)。

 子供の頃は、なんとなく照れて試食出来なかったが、今はおやぢだからいいのだと

開き直って試食している。息子も娘も私が手を着けると便乗して試食するのだ。

 ダイエーブランドのコーンフロストを大量に買い占めた後、ふと見ると牛乳の試飲ま

でしていた。

「おっ・・・北海道牛乳か・・・」

 そんな事をつぶやきながらグイッと飲む(注:腰には手を当てていない・・・)

 しかし、これがいけなかった。なんだかお腹がゴロゴロ言い出したのである。

 その後、娘の眼鏡をあつらえるべく、眼鏡屋へと行ったのであるが、店員が知らん

顔していたので、帰る途中にある大型眼鏡店に寄ることにした。

 私は2人乗りのバイクで来ていたので、私と息子の組と嫁と娘の組に分かれて大型

眼鏡店へと向かった。このときお腹に小さな波を感じた。

「ん?あの時の牛乳か?」

 しかし、小さな波だったので何事も無いようにバイクにまたがり、眼鏡店へと向かった

のである。

 大型眼鏡店では、さっきの店と違って愛想が良かった。おねいさんの笑顔に負けて、

私も眼鏡を作ることにしたのだ。

 今までの眼鏡はガラスだったのでキケンを感じていたのである。目の前でラケットと

接触して血をダラダラと流しながら救急車に運ばれる人を見ているからだ。

 フレームを選ぶのに手間取った為、娘の方が早く終わった。嫁は娘を連れてさっさと

帰ってしまったのである。支払を済ませようと店のおねいさんと話をしているとき、2回

目の波が襲ってきた。

「ん?やばいやんか・・・」

 しかし、今度の波も大波には至らなかった。

 支払を終え、息子を連れてバイクで家路についたのだ。

 家に帰り着くと、嫁が玄関先でなにやら叫んでいる。

「ねえねえ!!うちのファックス・・・A4やった?」

「何言うてんねん!!B4やんか!!」

「うわ〜文房具屋のおねいさんの言う通りに買って来たのに〜!!」

 自分の家のファックス用紙のサイズを知らない方が悪い・・・・

 嫁は息子からヘルメットをひったくると、バイクの後ろに乗ってきて、交換しに行くと言

っている。本当はトイレに行きたかったのだが、波もおさまっているので文房具屋さんま

で乗せていくことにした。

 ファックス用紙を交換して、帰る途中お腹の波は次第に大きくなってきた。

「う・・・う〜む・・・こりゃやばいで・・・」

 しかし、道ばたでするわけにもいかず、自然とアクセルに力が入る。

 無事家まで帰り着き、私はトイレに駆け込んだ。

ここで気を抜いてはいけないのだ。パンツを下ろし、しゃがむまでは緊張していないと・・・・

こう自分に言い聞かせてトイレにしゃがむ。

 固いものが出た後、ビチビチの物が容赦なく流れ出た。固いものが栓をしていてくれた

のだ。

「ふぅ〜〜〜!!」

 冷たい汗を流しながらも、この安堵した気持ちは捨てがたい物がある。

 それから5分くらい後に入った娘から「トイレくさいやん!!」って言われたのは言うまで

もない。

 

 余談ではあるが、以前書いた「トイレの戸のリース」であるが、いまだに健在である。我が

家では、リースの飾りはクリスマスではなく、年中の装飾品としてとけ込んでいるのである。