恐怖の回転寿司


その事件は突然起こった。

我が一家は口が肥えている(体も・・・)ので、その事件まで「回転寿司」なる物を

食したことがなかった。

しかし、世間で言う「回転寿司」を一度食べてみないと、四の五の言えないので、

友達に聞いて出かけた。

その店は車で15分位の所にポツンとあった。

外見はどう見ても「普通のお寿司屋さん」なのであるが、店の中では寿司が移動

していた。

しかもミニチュアの機関車が引っ張っているのである。

おおっこれが回転寿司か・・・」

友達には、その店は混んでるから・・・・と聞いていたのだが、お客さんは我が一家

だけである。私たちが入るまで、ひたすら回転し続けていた寿司は、何となく鮮度

に疑問を感じた(サバなど尚更である)

仕方がないので、回転していないネタを注文する事にした。

(それだったら最初から普通の寿司屋に行けっちゅうの・・・)

「エート・・・イカのサビ抜きと、etc・・・・」矢継ぎ早に注文して、落ち着いていると、

今、乗せますから!!」と職人さんの声!!

私たちしか居ないんだから、目の前に置きゃ〜良いものを、わざわざ反対側に

さしかかった機関車の荷台に置いている。

私たちと職人さんの絡みは延々続いた。その間、誰一人お客が来ないのである。

本当にこの店で良かったのか?と疑問を抱き始めた頃、長男が体の不調を訴えた。

「何か、気持ちが悪い・・・」そう訴える息子の顔は蒼白だった。

ど、ど、どうしたんだ?・・・・ネタに当たったのか?

しかし、間もなく全員が車に酔った状態に陥った。原因は勢い良く走りまわる機関車

を見ていて目が回ったらしい・・・・

もうちょっとで、「ポケモン事件」の様に、新聞に載る所だった。

後でわかったのだが、普通の回転寿司はも〜ちょっとゆっくり回るのである。

これはいけないと思った私は、そうそうにお勘定をして退散した。

店を出る前にアンケートを書かされたので、「汽車のスピードが早い」と、一言だけ書

いて出てきた。

その後、その店には行ってないので、現在も汽車が走り続けているかどうかは知る

よしもない。

今現在は、近所の回転寿司の常連になっている。

その店は、いつも混んでいるので古いネタが回転していないし、安いのである。

そして何よりも、ゆっくり回転している。

 

余談ではあるが、行きつけの回転寿司のお茶はセルフサービスである。

お茶の袋を湯飲みに入れて、テーブルに備え付けの熱湯を注ぐと、お茶の出来上

がりである。

最初に行ったとき、直接お茶が出てくる物だと思い、「薄いよ〜このお茶は〜」と散々

文句を言いながら白湯を飲んでいた。

2度目に行ったとき、ようやくお茶の袋の存在に気が付いたおまぬけ一家である。