CD


 今でこそ1列に並んで、空いたところから使っていくシステムの、銀行に鎮座

しているCD(キャッシュディスペンサー・・・らしい)機。数年前迄はここ大阪では、

CD機の真後ろに列が出来ていた。どのCD機の後ろに並ぶかは個人の自由

なのである。

えと・・・1号機のCD機には通帳の束を持ったOLが居るからパス・・・・

えと・・・2号機はいかにもトロ臭そうなおばちゃんが2人も混じっている。

えと・・・3号機は、ん?ありゃあ振込だな(機械の振込は時間がかかる)。

えと・・・4号機は・・・外国人が居るじゃね~か!日本語大丈夫なのかな?

えと・・・5号機は・・・おっ!あそこは早そうだぞ!!

 結局は、ミニのOLおねいちゃんの後ろに並ぶのだが・・・(オイオイ・・・)

 自分が選んだ列が素早く進むのは気持ちが良いが、違うCD機の列が早く進

むと、精神衛生上よろしくない。高速道路の渋滞に巻き込まれて横の車線ばか

り進み、こちら側が一向に進まないアレと似ている。以前など、どうも進まないと

思ったら、前のトラックの運転手が熟睡していた(オイオイ・・・)。高速道路であれば

車線変更をすれば良いが、CD機の列は変更出来ないのだ。

 私の思惑通り、5号機は順調に進んでいる(長年培った観察力がものを言う)。

「あら~よっちゃんじゃないの?こんな所で何してんの?」

「あ?さっちゃん!!ちょっと引き出しにね・・・・」

 引き出すだけだったら、引き出し専用に並べばいいのに(心の叫び)・・・

「ちょうどよかったわ~!!これもついでにつけこみ(記帳)しといて!」

 そう言って、突然現われた化粧の濃いOLは、よっちゃんに通帳の束を渡して

椅子にすわっている。

 当然、私の思惑はハズレ、私の前に並んでいるそのよっちゃんとやらのせい

で他のCD機よりも大幅に遅れた。

 さすがの私も、後から通帳の束が割り込む事までは予想できなかったのだ。

 やっとこさ自分の番が回ってきた頃には、足など棒状態である。

 えと・・・入金だから・・・通帳を入れて・・・お金を入れて・・・スイッチをポン!!

 何回もやっているので慣れたのもである。

ウィーーーーン・・・・ガタガタ!!

 ん?ガタガタ

 なんにも悪いことをしていないのに【使用中止】になってしまった。

 係員が来て、「しばらくお待ち下さい」って言った後、後ろでガタガタと作業を

しているが、私の背中には、ため息と共に冷たい視線が投げかけられている

のがわかる。

 お・お・俺は悪くないんだ~!!なんも不正な処理はしてないんだ~!!

と、心で叫ぶものの、決して後ろは振り返れない(小心者やねん)

 やっぱり今の並び方が、精神衛生上ベストであろう。

 

 余談ではあるが、嫁の作る料理は生焼けが多い(うーん・・唐突な話だ)。

「おひ!この鳥のモモ・・・血が滴ってるぜ」

「あら?ずいぶん焼いたんやけどな~・・・・」

 こんな会話は日常茶飯事である。

「しゃ~ないな~・・・私が焼いたるわ」

 などと偉そうなことを言った私の料理も生焼けだった。

 結局、電子レンジで仕上げをするのである。