結婚式


 何故か私の回りでは今が結婚ラッシュである。来年も2月と3月に結婚式が

決まっている。3月の分はどうか解らないが、2月の分は呼ばれることがもう

決まっているのだ。

 結婚式に呼ばれるのは非常に嬉しいのであるが、出費のことを考えると、

手放しで喜べないのも事実である。

 私が結婚式を挙げたのは、もう14年以上も前のことであるが、その頃は回

りの友達も若く、1万円のご祝儀でたらふく飲み食いし、引き出物まで持って

帰るという奴も居たことを今でも覚えている。

 ジューンブライド・・・6月の結婚式はそう呼ばれて、もてはやされているが、

日本ではちょうど梅雨時に重なるので、結婚式に呼ばれる方もたまったもの

ではない。私の結婚式も6月に挙げたので例外に漏れず午前中は大雨

だった。

『かしこみ〜かしこみ〜』

 神式の結婚式はそんな言葉から始まった。リハーサルなどほとんどなく、

概略をチョイチョイと教えられるだけでぶっつけ本番である。

 もちろん神式の結婚式でも「指輪の交換」はある。こんなものリハーサルな

んぞいらんやろ!と思う人が居るかも知れないが、「指輪の交換」を侮っては

いけない。もちろん緊張もあったのだろうが、嫁の指に指輪が入らないのであ

る。モタモタしていると、

「あ〜も〜どんくさいな〜」

と言う態度で、嫁が自分で指輪をはめているのが、しっかりビデオに映っていた

見栄はらんと簡単に入る号数にしろっちゅうねん)。

 ぷぁ〜でおなじみの神式の結婚式が終わり、次は披露宴である。

 新郎新婦の入場が終わり、最初は仲人の挨拶である。そうそう、新郎新婦の

入場で毎回思うことがある。出席したみんなで拍手で迎えるのであるが、あまり

にも行進が遅いため、いつも拍手の中だるみが起きてしまうのだ。一組くらい

ダッシュで行進する新郎新婦があってもいいのにな〜と思うのは私だけなのだ

ろうか?

 私たちの仲人は会社の社長である。

「え〜トンヌラ君は、優秀な成績で長尾高校を卒業され、近代希に見る

好青年で・・・・・」

 大嘘も言いトコなのである。毎回赤点に追われ、追試マニアとまで言われ

た私が、優秀な成績の訳が無いのだ。しかし、仲人たる者本当のことは言えな

いのであろう(ストレス溜まるぞ

 その後主賓の挨拶も終わり、乾杯の挨拶の後、ようやく食事が許されるので

ある。司会の人の

「では、しばらくの間ご歓談下さいませ・・・・」

 の言葉が出るやいなや、1万円祝儀の友達は黙々と料理を食べだした。

電動でゆっくり動く中華テーブルだったのだが、遠慮という言葉を知らない友達

は、主賓と同じテーブルにもかかわらず、ただひたすら食いまくっているのだ。

そのテーブルは1周回る間に料理がほとんど無くなるという無法地帯と化して

いたのである。

 私の家族のテーブルに至っては、バチバチと言う音と共に電動テーブル

が固定テーブルに変化してしまい、いろんな種類の料理が食べられへんかった

で!と後で聞かされた(しらんがな・・・・

 お色直しで会場を出、戻ってくるときにはキャンドルサービスである。しかもドラ

イアイスに包まれての、ゴンドラである。ゴンドラがある会場はもちろん天井が高

く、その会館で一番広い式場なのだ。しかし、予算の都合上呼べる人数は限られ

ている。200人以上は収容できるであろう会場で100人にも満たない人数でやっ

たものだから、会場自体スカスカなのだ。

 実はゴンドラに関して私は乗り気ではなかったのであるが、

「キャンペーン期間中で他の会場と同じ値段ですよ・・・・」

 と、会場の人の言葉に嫁が乗ってしまってのゴンドラ登場になってしまったので

ある。

 今でも(派手な結婚式)=(ゴンドラ)と言う言葉を聞く度に汗が

出てくるのである。

 つつがなく?披露宴も進み、いよいよ私の父の挨拶で終わりである。数日も前

から本と格闘し、行きの車の中でも練習を重ねていた父であるが、どうもうまく喋

られない。

「そんなに緊張せんでも、いざとなったら感激で言葉が出ませんって言うたらええ

やん」

 とアドバイスしたのであるが、父は何も言わず最初からその言葉で誤魔化して

しまった。そんなこっちゃったら、本なんていらんやん!

 今ではその反動が出てきたのか、名古屋の姉のところでしゃべりまくっている

らしい。

 

 余談ではあるが、もちろん我がクラブの女王様も私たちの結婚式に出席し

てくれた。なんと余興で手品までしてくれたのだ。ステッキを花に変えたり、レコー

ドの色を変えたりといろいろしてくれた。最後に帽子からご結婚おめでとうと言う

紙を出してくれたのであるが、見事にその紙は真ん中から破れてしまった。

う・・・・ウーム・・・・

 女王様・・・・未だ独身貴族である。