恐怖の回転寿司U

 数年前、超スピードの汽車で寿司を運ぶ店で回転寿司を経験してから、我が家は回転寿司通になってしまった。回転寿司もドンドン進歩して、今では一律100円なので、遠慮なくホイホイと取れるのも嬉しい。しかし、土日のゴールデンタイムに行くと車を駐車させるのもままならないので、我が家では平日を狙って行くことにしている。先日も平日に急遽近くの人気の回転寿司に行くことになった。
 土日なら10組〜15組もお客さんが順番待ちをしているのだが、さすがに平日だけあって2〜3組しか順番待ちをしていない。車を駐車場に納めて、待合室に行ってみると嫁がちゃんと順番待ちの紙に記入してくれていたのだ。
「おぉ・・これやったらすぐに順番が回ってくるやん」
 しかし、嫁はよっぽどお腹が空いていたらしく、カウンターOKの所に印をしていたのである。カップルならいざ知らず、家族4人のカウンターは会話が進まない。まるでブロイラー場のにわとりである。案の定、待つことなくすぐに呼ばれたのであるが、私の右隣は小太りの知らないおっさんである。

 気を取り直して、セルフのお茶を用意し、流れてくる寿司をドンドン取る。カウンターで横に一列に並ぶって事は、横の者としか会話が進まないので、本来食事に集中してパクパクと食べ過ぎてしまうのであるが、この日は違ったのである。

 右隣からハマチが流れてきた。しかし・・・流れてきたのは一皿だけ・・・もうすこしで私の手元に・・・と思っていると、右隣の小太りのおっさんに取られてしまった。くそ〜もう一息だったのに・・・と、そのハマチを恨めしそうに見ていると、そのおっさん・・・何を考えているのか、ウナギとか穴子に付けるべき甘ダレを、ハマチの姿が見えなくなるまでかけているのである。

うぇっ・・・ハマチに甘ダレをかけるかぁ・・・と思っていると、そのおっさん、甘エビであろうが、イカであろうが、タイであろうが全て甘ダレなのである。極めつけは皿に甘ダレをドクドクと流し込み、カッパ巻の切り口(ご飯が見えている部分)の両面に甘ダレをこすりつけ食べているのである。そして、その甘ダレまみれの寿司を肴にビールを飲んでいるのだ。
 終始、なんのネタかわからなくなってしまった寿司を食べる仕草を見せつけられた私は15皿しか食べることが出来ず、早々に店を出る羽目になってしまったのである。
 ちょいと我慢して、カウンターの席さえ座らなければ、こんな食欲が減退するようなシーンを見ることが無かったのに・・・そう思うと悔しくて仕方がない。
 ある意味、暗黙の境界線を乗り越えて向かいのレーンの寿司を強引に取るおばちゃんよりも始末が悪いのかもしれない。

 余談ではあるが、今年も健康診断がやってきた。今年は便秘気味だったので、二日にまたがって採取する検便には非常に苦労したが、バリュームをパスしたので、大した苦労もなく2時間ほどで殆どの検査が終了した。
 2週間前から急遽実行したダイエットもさほど効果が無く、去年の1キロ増ではあったが、それよりも特筆すべきは、40歳にしてまだ身長が伸び続けていることである。1997年166.2センチ・1998年166.3センチ・1999年166.4センチ、そして2000年の今年は166.9センチなのだ。このぶんではあこがれの170センチ台も夢ではなさそうだ。