ナビトラ徹底解説

ナビトラとは?

Navigation Tranceiver

ナビトラ移動中RX433MHz メッセージ

米国国防総省の推進によるGPSはもともと軍事利用が目的ですが、これを一部民間用に開放した事で、カーナビや業務用運行管理など様々な分野で現在利用されています。ナビトラとは、そのGPSによる緯度、経度等の位置データをアマチュア無線機により送受信し、それぞれの無線局が持つ地図上に表示するシステムです。実際には位置データだけでなくメッセージなども送ります。つまり、無線局間の交信が音声だけでなく、データによる視覚的な相互認識を行う新しい運用スタイルです。これは、従来利用されているパケット通信を利用し、あるフォーマットに従ったデータを生成し、そのデータを交換する事で可能になります。当初はKENWOODのカーナビGPR-77で導入されましたが、現在はパソコンを使い簡単に実現できるようになりました。

ナビトラは(株)KENWOODの登録商標です。

ナビトラの起源

ナビトラのルーツはモービルハム誌1994年9月号で発表された”RSVGPSシステム”です。またパソコンとアマチュア無線の研究グループ(NAZCA)によりNIFTYのFGPSで発表されたリモコン亭主システムや、米国TARPによるAPRSなどもルーツと言えるでしょう。このシステムを簡単に実現したKENWOODのカーナビと無線機によるナビトラはこれらNAZCAやFGPSのメンバーの多大な協力があった事は言うまでもなく、現在KENWOODが継続して提案している訳です。

ナビトラシステム

ここでナビトラを構成する要素について簡単にご紹介しましょう。
1.
位置データデータフォーマットはこちら
さてアマチュア無線では、無線局の位置をグリッドスクエアロケーターというもので表現しています。地球上の緯度経度の線を格子状に区分し最大6桁の記号で表わす方法でQSLカードなどには必ずと言って良いほど書かれています。むかしから、QTHの交換を行っていた訳ですが、これは万国共通で使われます。この詳細はJARL発行のアマチュア無線ハンドブックを参照してください。
たとえば横浜あたりはPM95SQとか表現される記号です。これで無線局の位置がおおよそ分かる訳ですがあくまで正確な地図上での位置を特定するものではなく、格子状に区切られた範囲での表現となります。これに対しナビトラでの位置データはGPSレシーバーで受信した生データか地図上から拾った緯度経度データとなりますの正確な位置を表現出来、リアルタイムで確認出来る訳です。カーナビが普及してきた昨今では緯度経度データで地図上に相手の位置を正確に表示することはよりアマチュア無線を面白くする事でしょう。

2.GPS
GPS(
Global Positioning System)という言葉はかなり一般化していますが、簡単に内容をご紹介しましょう。
もともとGPSとは、米国国防省が軍事用に開発したシステムで、これの一部を民間用に無償で開放し、国内ではカーナビゲーションに有効利用されています。一部というのは軍事目的だったために、悪用されない様に民間使用では機能が制限されているのです。そのために位置精度が100m位になっています。ただしカーナビや船舶などではマップマッチングやDGPSという技術を使い精度を向上させています。

●GPS衛星は高度約20000kmで軌道半径約26,000kmの6つの円軌道上に4個づつで合計24個でシステム構成されています。地球上のどの場所からも常時6〜7個の衛星が受信可能な訳です。

●周波数は一般的に使われるものでは1575.42MHzで、占有周波数帯域は2.046MHzとなっています。同一周波数で複数のGPS衛星が電波を出しているためスペクトラム拡散変調方式(SS)が採用されている訳です。周波数からわかるように430MHz帯の送信機の高調波(スプリアス)や1200MHz帯の送信機等の影響でGPSの電波が抑圧を受け正常に受信できない事があるので無線機の設置には注意が必要な場合があります。
●測位原理
GPS衛星から送信された電波を受信して到達した信号が届くのにかかった時間を測定します。この時間を距離に換算し、これを複数の衛星から受信する事でそれぞれの距離を半径とする球面の交点が被測位点となる訳です。実際にはこれらの測位が可能となるような複雑な仕組が衛星やそのデータの中には有る訳です。
●測地系
GPSレシーバーにより求められた緯度経度情報は地球のでこぼこを正確に表わしたものではなく、地球の形を仮定した標準の楕円形を基に計算されたものです。GPSではWGS-84と呼ばれる基準楕円形を使っています。これを各国の地図の基準に変換して地図上に位置をプロットします。日本ではベッセル(Bessel1841)が使われます

3.TNC
アマチュア無線のパケット通信ではデジタルデータを無線機を通して伝送するためにモデムが使われますが、これはTNCと呼ばれる物です。TNC は、Terminal Node Controller の略です。アマチュア無線の場合の通信プロトコルはAX.25というものでナビトラでは、1200bpsの 伝送速度で位置データ等の交換を行っています。ナビトラ専用のTNCとしてはKENWOOD マルチコミュニケーションモデムMU-101があります。

 

これは、GPSレシーバーを直接接続して、ナビトラ用の位置データを内部で生成してくれます。その他のナビトラ用データはPCから設定するだけです。その他にはGPS受信機を内蔵した(株)タスコ電機のTGM-1000があります。

汎用的に売られているアマチュアパケット通信用TNCであれば大抵はナビトラに使えますが各種設定が若干面倒になるため、上記の製品が簡単でこれに対応したソフトもある訳です

4.無線機

アマチュア用のV,UHF帯の無線機があればナビトラの運用が可能ですが、ナビトラはパケット通信ですので、音声交信とデータ通信を行う周波数区分が異なるため、同じ周波数でナビトラと音声交信を同時に行う事はできません。そこでナビトラ用に開発された無線機が、KENWOOD TM-V7とNEW HT TH-D7になります。

これらは2波同時受信機能があり、更にナビトラデータのビーコンの送信専用にデータバンドを音声バンドとは別に設定できますので、ナビトラの運用が快適にできる訳です。特にTH-D7は簡易TNCを内蔵していますので面倒な配線が不要です。

5.GPSレシーバー

GPS衛星のデータを受信し緯度経度データを取得するためには専用の受信機が必要になります。各種販売されていますが種類の豊富さからいくと米国ガーミン社の物が扱いやすくお勧めです。その他、ポケナビと呼ばれるEMPEX社のレシーバーや、SONYのアンテナ、レシーバー一体型のIPSシリーズも良いと思います。いずれにしてもNMEA-0183という規格のデータ出力が可能なレシーバーであればナビトラに使える事になります。またSONYでは独自フォーマット(IPSフォーマット)でも可能です。

 

 

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