▼▲▼ 偶成 ▲▼▲
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偶成
少年易老学難成
一寸光陰不可軽
未覚池塘春草夢
階前五葉巳秋声
朱喜
少年老い易く 学成り難し
一寸の光陰 軽んずべからず
池塘の春草の夢 未だ覚めやらずして
階前の五葉 すでに秋声
幼少より学問を志しながら、そろそろ老いを迎える年齢になっても、未だ大きな成果を果たせずにいる。
もはや残り少ない人生だからこそ、ほんの瞬きする刹那ですら、時をおろそかにしてはならないのだ。
春の池の堤に萌えはじめた若草のごとき瑞々しい、大志への夢は今も変わらず覚めていないのに、ふと気がつけば、石段の脇に繁る五葉の葉が秋の訪れでいつしか色づいているように、自分自身が人生の秋ともいうべき初老の時期にさしかかってしまった。
あの葉がやがてはかなく散ってゆくのと同様、自分もこのまま志を遂げることなく、いずれはこの世を去るばかりなのだろうか。
止めるすべもなく、無情にも時間だけが移ろい、ただ過ぎ去ってゆく・・・・。