USO/9001(1994j)
Second edition 1994-07-01
品質システム−設計、開発、製造、据付け及び付帯サ−ビス
における品質保証モデル
この規格は、外部品質保証に用いることができる品質システム要求事項を扱う三つの規格の中の一つである.
次に示す三つの規格に設定した品質保証(quality assurance)モデルは、供給者がその能力を実証するため、及び外部関係者が供給者の能力を評価するために適した品質システム要求事項の異なる三つの形式を示す.
a)ISO9001品質システム−設計、開発、製造、据付け及び付帯サ−ビスにおける品質保証モデル
−設計、開発、製造、据付け及び付帯サ−ビスにおいて規定要求事項に適合していることを供給者が保証する必要のある場合に用いる.
b)ISO9002品質システム−製造、据付け及び付帯サ−ビスにおける品質保証モデル
−製造、据付け及び付帯サ−ビスにおいて規定要求事項に適合していることを供給者が保証する必要のある場合に用いる.
c)ISO9003品質システム−最終検査・試験における品質保証モデル
−最終検査・試験だけで規定要求事項に適合していることを、供給者が保証する必要のある場合に用いる.
ISO9001、ISO9002及びISO9003の規格で規定する品質システム要求事項は、技術的な(すなわち、製品に関する)規定要求事項にとって代わるものではなくこれを補うものであることを強調しておく.
品質システムの要求事項は、どのような要素を品質システムに含めるべきかを規定しているが、画一的な品質システムを強要することがこれらの規格の目的ではない.
これらの要求事項は普遍的なもので、特定の産業分野又は経済分野に限られるものではない.
品質システムの設計と実施は、組織の多様化したニ−ズ、組織の目標、供給される製品及びサ−ビス、用いられるプロセスや手段によって影響を受けることになる.
これらの規格は、このままの形で用いることを意図しているが、ときには、契約によって品質システム要求事項の一部を追加又は削除して修正(tailoring)することが必要になることもある.
ISO9000-1は、ISO9001、ISO9002及びISO9003の中から適切な品質保証モデルを選択する場合のほか、このような修正を行う場合の指針を提供する.
この規格は、要求事項に適合する製品を設計し、供給する供給者の能力を実証することが必要な場合に用いる品質システム要求事項を規定する.
規定する要求事項は、設計から付帯サ−ビスまでのすべての段階での不適合を防止することによって、顧客の満足を得ることを第一のねらいとしている.
この規格は、次の場合に適用することができる.
a)設計が要求されており、製品に関する要求事項が主として性能として記述されている場合、又は、それを確定する必要がある場合、及び、
b)供給者の設計、開発、製造、据付け及び付帯サ−ビスの能力を適切に実証することによって、製品が要求事項に適合しているとの信頼感が得られる場合.
参考1)参考資料については、附属書Aを参照.
次に掲げる規格は、この規格の本文で引用されることによって、この規格の規定の一部となる.この国際規格の発行の時点では、引用規格はここに示す年度の版が有効であった.
すべての規格は改正されるものであり、この規格に基づくことに合意した関係者は、この引用規格の最新版が適用できるよう調べるとよい.
IEC及びISOの加盟機関は、国際規格の最新版の登録簿を維持している
ISO8402:1994-品質管理及び品質保証−用語.
この規格では、ISO8402で規定する定義及び以下の定義を適用する.
3.1 製品 :活動又はプロセスの結果.
参考2)製品には、サ−ビス、ハ−ドウェア、プロセス製品、ソフトウエア、又はこれらの組合わせがある.
参考3)製品には、有形のもの(例えば、組立製品又はプロセス製品)又は無形のもの(例えば、知識又は概念)、若しくはこれらの組合せがある.
参考4)この規格においては、"製品"は提供することを意図した製品を意味する.
環境に影響する、意図しない副産物には適用しない.
これは、ISO8402で規定する定義とは異なる.
3.2 見積仕様書 :製品提供契約の引合いに応じて、これを満足するよう供給者が作成する提案書.
3.3 契約 :供給者と顧客の間で、何らかの方法で伝達され合意された要求事項.
4.1.1 品質方針
執行責任をもつ供給側の経営者は、品質方針を定め、文書にすること.
品質方針には、品質に関する目標及び品質についての責務を含むこと.
品質方針は供給側の組織の到達目標及び顧客の期待・ニ−ズに対応するものであること.
供給者はこの方針が組織のすべての階層によって理解され、実行され、維持されることを確実にすること.
4.1.2 組織
4.1.2.1 責任及び権限
品質に影響する業務を管理し、実行し、検証するすべての人々、特に次の事項に関して組織上の自由及び権限を必要とする人々の責任、権限及び相互関係を明確にし、文書化すること.
a)製品、プロセス及び品質システムに関するすべての不適合が発生することを予防する行動を始める、
b)製品、プロセス及び品質システムに関するすべての問題を明確にし、記録する、
c)所定の経路を通じて、解決策を開始し、勧告し、又は提供する、
d)解決策の実施を検証する、
e)不具合又は不満足な状態が是正されるまで、不適合品の後工程への進行、引渡し、又は据付けを管理する.
4.1.2.2 経営資源
供給者は、管理、業務の実行及び内部品質監査を含む検証活動に対して、訓練された要員(4.18参照)の割当てなど、必要な経営資源を明確にし、それを提供すること.
4.1.2.3 管理責任者
執行責任をもつ供給側の経営者は、自己の組織内の管理者の中から責任者を選任し、他の責任と関係なく、次の事項について明確な権限をもたせること.
a)品質システムをこの規格に従って確立し、実行し、維持することを確実にすること、及び、
b)品質システムの見直し及び改善の根拠とするため、品質システムの実施状況を経営者に報告すること.
参考5)管理責任者の責任に、供給者の品質システムに関する事項について、外部関係者と連絡を取ることを含めることもある.
4.1.3 マネ−ジメント・レビュ−(経営者による見直し)
執行責任を持つ供給側の経営者は、この規格の要求事項及び供給者が定めた品質方針及び品質目標を満足するために、品質システムが引き続き適切、かつ、効果的に運営されることを確実にするのに十分な、あらかじめ定められた間隔で品質システムの見直しを行なうこと(4.1.1参照).
この見直しの記録は、保管すること(4.16参照).
4.2.1 一般
供給者は、製品が規定要求事項に適合することを確実にするための手段として品質システムを確立し、文書化し、維持すること.
供給者は、この規格の要求事項をカバ−する品質マニュア
ルを作成すること.品質マニュアルには品質システムの手順を含めるか、又はその手順を引用し、品質システムで使用する文書の体系の概要を記述すること.
参考6)品質マニュアルについての指針は、ISO10013に示されている.
4.2.2 品質システムの手順
供給者は、次の事項を行うこと.
a)この規格の要求事項及び供給者の定めた品質方針に合致した手順書を作成すること、及び、
b)品質システム及びその文書化した手順を効果的に実行すること.
品質システムの構成部分となる手順の範囲及び詳しさは、業務の複雑さ、適用される方法、業務の遂行に関係する人々に必要とされる技能及び訓練によって異なる.
参考7)手順書は、どのように業務が遂行されるかを規定した業務指示書を引用する形でもよい.
4.2.3 品質計画
供給者は、品質要求事項をどのように満たすのかを定め、文書化すること.
品質計画は、供給者の品質システムの他のすべての要求事項と整合し、供給者の運営の方法に合った書式で文書化すること.
供給者は、製品、プロジェクト又は契約に対する
規定要求事項を満たすにあたって、適宜次のような活動について配慮すること.
a)品質計画書を作成する、
b)要求品質を達成するのに必要と考えられるすべての管理手段、工程、装置(検査・試験装置を含む)、備品、経営資源及び技能を明確にし、確保する、
c)設計、製造工程、据付け、付帯サ−ビス、検査・試験手順、及び適用文書の相互の整合を図る、
d)品質管理手法、検査・試験の技法は、新しい測定方法の開発も含めて、必要に応じて更新する、
e)必要な測定能力の開発に時間がかかることを考慮して、現在の技術水準を超えた能力を必要とする測定に関する要求事項を明確にする、
f)製品実現化の適当な段階における適切な検証を明確にする、
g)主観的な要素を含めて、すべての特徴及び要求事項に対する合否判定基準を明確にする、
h)品質記録を明確にし、作成する(4.16参照).
参考8)品質計画書[4.2.3a)参照]は、供給者の品質システムの不可欠な部分を構成する適切な手順書を引用する形でもよい.
4.3.1 一般
供給者は、契約内容の確認及びその活動を調整するための手順を文書に定め、維持すること.
4.3.2 内容の確認
供給者は、次の事項を確実にするために、見積仕様書の提出前又は契約及び注文(要求事項を記述したもの)の受諾前にその内容を確認すること.
a)要求事項は適切に定められ、文書化されていること.要求事項を記述した文書がなく、注文を口答で受けた場合、供給者は注文要求事項が受諾前に合意されていることを確実にすること、
b)契約又は注文要求事項と見積仕様書の内容との差異は、すべて解決されること、
c)供給者が契約又は注文要求事項を満たす能力をもっていること.
4.3.3 契約内容の修正
供給者は、どのように契約内容の修正を行い、供給者の組織内の関係部門に正確に伝達するかを明確にすること.
4.3.4 記録
契約内容の確認の記録は維持すること(4.16参照).
参考9)これらの契約事項に関して、顧客の組織との情報伝達の経路及び相互関連事項を処理する窓口を設定しておくことが望ましい.
4.4.1 一般
供給者は、規定要求事項を満たすことを確実にするため、製品の設計を管理し、検証する手順を文書に定め、維持すること.
4.4.2 設計及び開発の計画
供給者は、設計及び開発の各業務に対して計画書を作成すること.
その計画書にはこれらの活動を記述又は引用し、その実行の責任を明確にすること.設計及び開発の活動は、適切な手段を与えられた有資格者に割り当てること.
計画書は、設計の進展に応じて更新すること.
4.4.3 組織上及び技術上のインタフェ−ス
異なったグル−プが設計プロセスにインプットする場合、グル−プ間の組織上及び技術上のインタフェ−スを明確にし、必要な情報は文書にして伝達し、定期的に確認すること.
4.4.4 設計へのインプット
供給者は、製品に関して設計にインプットする要求事項を、適用される法規制上の要求事項も含めて明確にし、文書化し、それらの要求事項の選択の適切性を確認すること.
不完全、不明確又は矛盾する要求事項は、その要求事項を課す責任者の間で解決すること.
設計へのインプットには、契約内容の確認活動の結果を考慮に入れること.
4.4.5 設計からのアウトプット
設計からのアウトプットは文書化し、設計インプットの要求事項に対して検証及び妥当性確認ができるような用語で表現すること.
設計からのアウトプットは、次のとおりとすること.
a)設計インプットの要求事項を満たしている、
b)合否判定基準を含むか又は引用している、
c)製品が安全、かつ、適切に機能するために重要な設計上の特製(例えば、運転、保管、取扱い、保全及び廃棄に関する要求事項)を明確にしている.
設計アウトプット文書は、発行前に確認されること.
4.4.6 デザイン・レビュ−(設計審査)
設計の適切な段階において、設計結果の正式、かつ、文書による審査を計画し、実施すること.
各々のデザイン・レビュ−に
参加するメンバ−には、審査される設計段階に関係するすべての部門の代表者だけでなく、必要に応じて他の部門の専門家も含めること.
これらの審査の記録は維持すること(4.16参照).
4.4.7 設計検証
設計の適切な段階において、その設計段階からのアウトプットがその設計段階にインプットした要求事項を満たすことを確実にするため、設計検証を行うこと.
設計検証の手段は記録すること(4.16参照).
参考10)設計検証には、デザイン・レビュ−(4.4.6参照)に加えて、次のような活動を含めることができる.
−別法による計算の実施、
−新しい設計に対応する類似の証明された設計があれば、それとの比較評価、
−試験及び実証の実施、及び、
−発行前の設計段階の文書の確認.
4.4.8 設計の妥当性確認
製品が明確にされた使用者のニ−ズ及び/又は要求事項に適合していることを確実にするため、設計の妥当性確認を行うこと.
参考11)設計の妥当性確認は、設計検証で合格した後に行われる(4.4.7参照).
参考12)妥当性確認は、通常定められた使用条件下で実施される.
参考13)妥当性確認は、通常最終製品に対して実施されるが、製品完成前の早い段階で必要になることもある.
参考14)異なる用途が意図されている場合は、複数の妥当性確認を行うこともある.
4.4.9 設計変更
すべての設計変更及び設計修正は、明確にし、文書化し、確認し、権限を与えられた者が実施前に承認すること.
4.5.1 一般
供給者は、この規格の要求事項に関連するすべての文書及びデ−タを管理する手順を文書に定め、維持すること.
これらには、
規格及び顧客の図面のような外部の文書を該当する範囲で含む.
参考15)文書及びデ−タは、ハ−ドコピ−、電子的媒体など、どのような媒体を用いてもよい.
4.5.2 文書及びデ−タの承認及び発行
文書及びデ−タは、その発行に先立ち、権限を与えられた者がその適切性について審査し、承認すること.
文書の最新版の状態を明確にする台帳又はそれと同等の文書の管理手順を定め、無効文書及び/又は廃止された文書の使用を防ぐために常に利用できるようにしておくこと.
この管理によって次のことを確実に行うようにすること.
a)品質システムが効果的に機能するために不可欠な活動を行うすべての部門において、適切な文書の適切な版が利用できること、
b)無効及び/又は廃止文書は、すべての発行部門及び使用部門から速やかに撤去するか、又は意図されない使用がなされないことを確実にすること、
c)法律上及び/又は知識保存の目的のために保持されている廃止文書は、適切に識別されていること.
4.5.3 文書及びデ−タの変更
文書及びデ−タの変更は、特に規定しない限り、最初に確認及び承認を行った同一の機能・組織が確認し承認すること.
指定された機能・組織は、確認及び承認の根拠となる裏付け情報を利用できること.
可能な場合には、変更の性質をその文書中又は適切な添付文書
で明確にすること.
4.6.1 一般
供給者は、購買品(3.1参照)が規定要求事項に適合することを確実にするための手順を文書に定め、維持すること.
4.6.2 下請負契約者の評価
供給者は、次の事項を行うこと.
a)品質システム及び特定の品質保証の要求事項を含む下請負契約要求事項を満たし得る能力に基づいて、下請負契約者を評価し、選定すること、
b)下請負契約者に対して供給者が行う管理の方式及び範囲を明確にすること.これは、製品の種類、最終製品品質に対して下請負契約された製品が及ぼす影響、また、該当する場合には、下請負契約者のこれまでに実証された能力及び実績についての品質監査報告書及び/又は品質記録に基づいて定めること、
c)受入可能な下請負契約者の品質記録を作成し、維持すること(4.16参照)
4.6.3 購買デ−タ
購買文書には、該当する場合には次の事項を含めて、発注物品を明確に記述したデ−タを含めること.
a)形式、種類、等級又はその他の明確な識別、
b)仕様書、図面、工程要求書、検査指示書、その他の関連技術デ−タの標題又はその他の確実に識別できる特徴、並びに適用すべき版.これらには、製品、手順、工程設備及び要員の承認又は認定に関する要求事項を含む、
c)適用される品質システムの規格の名称、番号及び版.
供給者は、購買文書の発行に先立ち、その規定要求事項の適切性について確認し、承認すること.
4.6.4 購買品の検証
4.6.4.1 下請負契約者先での供給者による検証
供給者が下請負契約者先で購買品を検証する場合、供給者は検証の要領と製品の出荷許可の方法を、購買文書に規定すること.
4.6.4.2 下請負契約された製品の顧客による検証
契約に定められている場合、供給者の顧客又はその代理人は、下請負契約者先及び供給者のもとで、下請負契約された製品が規定要求事項に適合していることを検証する権利を与えられること.
供給者はこのような検証の結果を、その下請負契約者が効果的な品質の管理を行っている証拠として用いないこと.
顧客による検証は、受入れ可能な製品を提供しなければならないという供給者の責任を免除するものでなく、また顧客が事後に不合格にしないということでもない.
供給者は、納入製品に組み込むためまた関連業務のために、顧客から支給される物品の検証・保管及び維持の管理についての手順を文書に定め、維持すること.
紛失、損傷又はその他使用
に適さない支給品については、記録し、顧客に報告すること(4.16参照).
供給者が行う検証は、受入れ可能な製品を支給するという顧客の責任を免除するものではない.
適切な場合には、供給者は受け入れから、製造、引渡し及び据付けの全段階において、適切な手段によって製品を識別する手順を文書に定め、維持すること.
トレ−サビリティが規定要求事項に含まれる場合、供給者はその要求事項の範囲内で、個々の製品又はロットの固有の識別をするための手順を文書に定め、維持すること.
この識別は、記録すること(4.16参照).
供給者は、品質に直接影響する製造、据付け及び付帯サ−ビスの工程を明確にし、計画すること.
また、供給者は、これらの
工程を管理された状態のもとで稼働することを確実にすること.
この管理された状態には、次の事項を含むこと.
a)手順書がなければ品質に有害な影響を及ぼす可能性のあるものについて、製造、据付け及び付帯サ−ビスの方法を明確にした手順書、
b)製造、据付け及び付帯サ−ビスのための適切な設備の使用、並びに適切な作業環境、
c)引用された規格・基準、品質計画書及び/又は手順書への適合、
d)適切な工程パラメ−タ及び製品特製の監視、並びにこれらの管理、
e)必要に応じて、工程及び設備の承認、
f)作業のできばえの基準.これは、できるだけ明確で実際的な方法で規定すること(例えば、規格書、標準見本又は図解)、
g)工程能力を継続的に維持するための、設備の適切な保全.
事後の製品の検査・試験では工程の結果が十分に検証できない場合、また、例えば工程の欠陥が製品の使用段階でしか現れないような場合、規定要求事項を満たすことを確実にするために、その工程は認定された者が作業を実行すること、及び/又は工程パラメ−タの連続的な監視及び管理を行うこと.
関連する設備及び要員(4.18参照)を含む工程作業の認定に対する要求事項を規定すること.
参考16)工程能力の事前認定を必要とするこのような工程は、しばしば特殊工程と呼ばれる.
認定された工程、設備及び要員については、適宜、記録を維持すること(4.16参照).
4.10.1 一般
供給者は、製品に対する規定要求事項が満たされていることを検証するために、検査・試験業務の手順を文書に定め、維持すること.
必要な検査・試験及び作成すべき記録は、品質計画書又は手順書に規定すること.
4.10.2 購入検査・試験
4.10.2.1 供給者は、搬入製品が規定要求事項に適合していることを検査するまで、又は、他の方法によって検証するまでは、使用又は加工を行わないことを確実にすること(4.10.2.3に示す場合を除く).
規定要求事項に対する適合性の検証は、品質計画書及び/又は手順書に従って実施すること.
4.10.2.2 購入検査の量及び内容を決めるにあたっては、下請負契約者先での管理の程度及び提供された適合の証拠を示す記録を考慮すること.
4.10.2.3 緊急に製造するために検証前に搬入製品を使用する場合には、その製品が規定要求事項に対して不適合であると判明したときに早急に回収及び交換が可能なように、確実に識別して記録すること(4.16参照).
4.10.3 工程内の検査・試験
供給者は、次の事項を行うこと.
a)品質計画書及び/又は、手順書の規定通りに製品の検査・試験を行うこと、
b)規定された検査・試験を完了するか、又は必要な報告書を受領し検証するまでは製品を保留すること.ただし、確実な回収手順の下、その製品を使用する場合を除く(4.10.2.3参照).確実な回収手順の下に使用する場合でも、4.10.3a)の活動は実施すること.
4.10.4 最終検査・試験
供給者は、最終製品が規定要求事項に適合していることの証拠を完全なものとするため、品質計画書及び/又は手順書に従って、すべての最終検査・試験を実施すること.
最終検査・試験に関する品質計画書及び/又は手順書では、製品の受け入れ時又は工程中に実施することが規定されたものを含めて、規定されたすべての検査・試験を実施し、その結果が規定要求事項を満たしていることを要求すること.
品質計画書及び/又は手順書に規定しているすべての活動を問題なく完了し、関連デ−タ及び文書を作成し、承認するまでは、製品を出荷しないこと.
4.10.5 検査・試験の記録
供給者は、製品が検査・試験を受けた証拠となる記録を作成し、維持すること.
これらの記録は、製品が明確に定められた合否判定基準に従って検査・試験に合格したか又は不合格となったかを明確に示すこと.
製品が検査・試験に合格しない場合には、不適合品の管理に関する手順を適用すること(4.13参照).
記録には次工程への引渡し又は出荷を許可する検査責任者を明確にしておくこと(4.16参照).
4.11.1 一般
供給者は、製品が規定要求事項に適合していることを実証するために、供給者が使用する検査、測定及び試験装置(試験用ソフトウェアを含む)を管理し、校正し、維持する手順を文書に定め、維持すること.
検査、測定及び試験装置は、測定の不確かさが分かっており、必要な測定能力を満たしていることを確実にするような使い方をすること.
試験用ソフトウェア又は試験用ハ−ドウエアのような基準器を検査に適した方式として用いる場合には、それらが、製品が合格品であることを検証する能力をもつことを証明するために、それらを製造、据付け又は付帯サ−ビスで使用する前に点検し、また、規定の期間ごとに再点検すること.
供給者は、これらの点検の範囲及び頻度を定め、管理の証拠としての記録を維持すること(4.16参照).
検査、測定及び試験装置に関係した技術デ−タを利用できることが規定要求事項である場合で、顧客又はその代理人から要求された場合には、検査、測定及び試験装置が機能的に適切なものであることを検証するためのデ−タを提供できること.
参考17)この規格において、”測定装置”という用語には測定の器具を含む.
4.11.2 管理手順
供給者は、次の事項を行うこと.
a)測定項目及び必要な精度を明確にし、必要な正確さと精密さをもつ適切な検査、測定及び試験装置を選定すること、
b)製品の品質に影響を与える測定機器を含むすべての検査、測定及び試験のための装置を識別し、規定の間隔で又は使用前に、国際標準又は国家標準との間に根拠のある関係をもつ認定された装置を用いて校正し、調整すること.このような標準がない場合、校正に用いた基準を文書化しておくこと、
c)装置の形式、固有の識別標識、配置場所、点検頻度、点検方法、判定基準、及び結果が不満足な場合の処置方法の詳細を含めて、検査、測定及び試験装置の校正に用いるプロセスを定めること、
d)校正状態を表示するため、適切な標識又は承認されている識別記録によって、検査、測定及び試験装置を識別すること、
e)検査、測定及び試験装置の校正記録を維持すること(4.16参照)、
f)検査、測定又は試験装置の校正基準からの外れが発見された場合、過去の検査・試験の結果の妥当性を評価し、文書化すること、
g)校正、検査、測定及び試験の実施には、適切な環境条件を確保すること、
h)検査、測定及び試験装置の取扱い、保存及び保管には、精度及び使用適合性が維持されることを確実にすること、
i)試験用ハ−ドウェア及びソフトウェアを含む、検査、測定及び試験装置には、校正によって行った設定を無効にするような調節ができないように保護手段を講じること.
参考18)ISO10012に示されている測定装置に対する計量確認システムを指針として用いてもよい.
製品の検査・試験の状態は、実施した検査・試験に関しての製品の適合又は不適合を示す適切な手段によって識別すること.
検査・試験状態の識別は、規定された検査・試験に合格した[又は正式な特別採用手続(4.13.2参照)のもと、次工程への引渡し又は出荷を許可された]製品だけを出荷し、使用し、または据付けることを確実にするために、製造、据付け及び付帯サ−ビスの全過程にわたって、品質計画書及び/又は手順書の規定に従って維持すること.
4.13.1 一般
供給者は、規定要求事項に適合しない製品の意図されない使用又は据付けを防ぐことを確実にするための手順を文書に定め、維持すること.
この手順には、不適合品の識別、文書化、評価、隔離(可能な場合)、処置及び関係部門への通知に対する規定を含むこと.
4.13.2 不適合品の内容確認及び処置
不適合品の内容確認の責任及びその処置の権限は、明確に規定すること.
不適合品は、手順書に従ってその内容を確認すること.
その処置には以下のようなものがある.
a)規定要求事項を満たすように手直しする、
b)修理して、又は修理しないで特別採用とする、
c)用途変更のために再格付する、又は、
d)不採用又は廃棄とする.
契約で要求されている場合、規定要求事項に適合しない製品の使用又は修理の提案[4.13.2b)参照]を特別採用として顧客又はその代理人に申請すること.
受け入れられた不適合及び修理の内容については、実際の状況を示すために記録すること(4.16参照).
修理及び/又は手直しした製品は、品質計画書及び/又は手順書に従って再検査すること.
4.14.1 一般
供給者は、是正処置及び予防処置を実行するための手順を文書に定め、維持すること.
実際に発生した不適合又は潜在的な不適合の原因を除去するために取られる是正処置又は予防処置は、問題の大きさに対して適切な程度とし、遭遇するリスクに釣り合う程度とすること.
供給者は、是正処置及び予防処置に伴う手順書の変更を実施し、記録すること.
4.14.2 是正処置
是正処置の手順には次の事項を含めること.
a)顧客の苦情及び不適合品報告書の効果的な取扱い、
b)製品、工程及び品質システムに関する不適合の原因の調査及び調査結果の記録(4.16参照)、
c)不適合の原因の除去に必要な是正処置の決定、
d)是正処置を行うこと及びそれが効果的であることを確実にするための管理の適用.
4.14.3 予防処置
予防処置の手順には次の事項を含めること.
a)不適合の潜在的原因を検出し、分析し、除去するための、製品の品質に影響を与えるすべての工程及び作業、特別採用、監査結果、品質記録、サ−ビス報告書及び顧客の苦情のような適切な情報源の使用、
b)予防処置を必要とする問題に対処するために必要な手段の決定、
c)予防処置の開始、及び、それが効果的であることを確実にするための管理の適用、
d)取られた処置に関する情報が、マネジメント・レビュ−(4.1.3参照)のために提出されることを確実にすること.
4.15.1 一般
供給者は、製品の取扱い、保管、包装、保存及び引渡しの手順を文書に定め、維持すること.
4.15.2 取扱い
供給者は、損傷又は劣化を防ぐ製品の取扱い方法を設定すること.
4.15.3 保管
供給者は、使用又は出荷待ちの製品の損傷又は劣化を防ぐために指定した保管区域又は貯蔵室を使用すること.
このような区域での搬入、搬出を承認するための適切な方法を規定すること.
劣化を検出するために、保管中の製品の状態を、適切な間隔で評価すること.
4.15.4 包装
供給者は、規定要求事項に確実に適合させるために必要な範囲で、包装、梱包及び表示の工程(使用材料を含めて)を管理すること.
4.15.5 保存
製品が供給者の管理下にある場合、供給者は、製品の保存及び区分けのために適切な方法を講じること.
4.15.6 引渡し
供給者は、最終検査・試験の完了後の製品の品質保護の対策を講じること.契約上要求されている場合、この保護は最終納入先への引渡しまで継続すること.
供給者は、品質記録の識別、収集、見出し付け、利用、ファイリング、保管、維持及び廃棄のための手順を文書に定め、維持すること.
品質記録は、規定要求事項に対する適合性及び品質システムの効果的な運用を実証するために維持すること.下請負契約者から提出される関係品質記録は、このデ−タの一要素とすること.
すべての品質記録は読みやすく、劣化又は損傷を防ぎ、また紛失を防ぐのに適した環境を備えた施設内で、容易に検索できるように保管し、維持すること.
品質記録の保管期間を定め、記録すること.
契約上の合意がある場合には、品質記録は、合意された期間、顧客又はその代理人が評価するために利用できるようにしておくこと.
参考19)記録は、ハ−ドコピ−、電子的媒体など、どのような媒体を用いてもよい.
供給者は、品質活動及び関連する結果が計画されたとおりになっているか否かを検証するため、及び品質システムの有効性を判定するために、内部品質監査を計画し実施するための手順を文書に定め、維持すること.
内部品質監査は、監査される活動の状況及び重要性に基づいて予定を立て、監査される活動の直接責任者以外の独立した者が行うこと.
監査の結果は、記録し(4.16参照)、監査された領域の責任者にその内容を知らせること.
その領域の責任者は、監査で明らかになった不備について、時宜を得た是正処置を取ること.
フォロ−アップ監査活動では、取られた是正処置の実施内容とその効果を検証し、記録すること(4.16参照).
参考20)内部品質監査の結果は、マネジメント・レビュ−(4.1.3参照)へのインプットの不可欠な部分となる.
参考21)品質システムの監査に対する指針は、ISO10011に示されている.
供給者は、品質に影響する活動に従事するすべての要員に必要な教育・訓練を明確にする手順を文書に定め、維持するとともに、教育・訓練を行うこと.
特に定められた業務に従事する者については、必要に応じて適切な教育・訓練歴及び/又は経験に基づいて資格認定すること.
教育・訓練の適切な記録を維持すること(4.16参照).
付帯サ−ビスが規定要求事項である場合、供給者は付帯サ−ビスが規定要求事項を満たすように実行する手順、及びこれを検証し報告する手順を、文書に定め維持すること.
4.20.1 必要性の明確化
供給者は、品質工程能力及び製品特製を設定し、管理し、検証するために、統計的手法が必要か否かを明確にすること.
4.20.2 手順
供給者は、4.20.1で明確にされた統計的手法の適用に当たって、その実施及び管理のための手順を文書に定め、維持すること.
附属書A
(参考)
参考文献
[1]ISO9000-1:1994,品質管理及び品質保証の規格−
第1部:選択及び使用の指針
[2]ISO9000-2:1993,品質管理及び品質保証の規格−
第2部:ISO9001,ISO9002及びISO9003を適用する
ための一般的指針
[3]ISO9000-3:1991,品質管理及び品質保証の規格−
第3部:ISO9001のソフトウェアの開発、供給及び
保守への適用のための指針
[4]ISO9002:1994,品質システム−製造、据付け及び付
帯サ−ビスにおける品質保証モデル
[5]ISO9003:1994,品質システム−最終検査・試験にお
ける品質保証モデル
[6]ISO10011-1:1990,品質システム監査の指針−第1
部:監査
[7]ISO10011-2:1991,品質システム監査の指針−第2
部:品質システム監査員の資格基準
[8]ISO10011-3:1991,品質システム監査の指針−第3
部:監査プログラムの管理
[9]ISO10012-1:1992,測定装置の品質保証要求事項−
第1部:測定装置の計量確認システム
[10]ISO10013:−1),品質マニュアル作成の指針
[11]ISO/TR13425:−1),標準化及び規格化における統
計的方法の選択の指針
−1)発行予定