河口湖自動車博物館の零戦

 河口湖自動車博物館へ零戦を見に行ってきました。この零戦は河口湖自動車博物館のオーナーである原田氏の所有物とのこと。驚いたことに原田氏は他に3〜4機の零戦を所有されているそうです。今回はレストア中の零戦を8月限定で公開中とのことで、どんなものか見に行ってきました。
 会場は自動車博物館駐車場横のハンガーです、入口の横に胴体だけのF86Fが置いてあり、これだけでも1日中眺めていたい気がします。中に入ると真っ先に零戦の姿が目に飛び込んできました。さらに周りを見回すと、そこはもう飛行機ファンにとって夢のような空間でした。

展示してある零戦を見た第一印象は「まだ死んでいる」でした。エンジンや主脚の様子が機能停止状態のようです。しかし、すぐ横には運転可能な栄エンジンが展示してあり、この零戦もいずれ飛行可能な状態になるのでしょう。

零戦をしばらく眺めていると大変な発見をしました。零戦の主翼にねじり下げがあるのはよく知られています。そしてそれは翼全体がねじれているものと理解していました。しかしこの零戦は主脚の位置の外側からねじり下げが付いているようです。前縁の上面に主脚の位置ではっきりと折れ曲がりが認められます。極端に言えばガルウイング(逆ガルではない)状態です。後縁は直線のようです。これはモデラーにとっては見逃せない事態です。

会場にいらしたオーナーの原田さんに話を伺いました。零戦の主翼は外板をすべて張り替えたがフレームはオリジナルのままであり、間違いは無いとのことです。もしかしたらこれは新発見? 帰ったら資料を良く調べてみようと思いました。
会場でもう一つ足がくぎ付けになったのがこれです。

零戦の胴体フレームです。模型では良く見る姿ですが、実機のこんな姿は初めて見ました。断面形状や構造が一目瞭然で、見ていて飽きません。判りにくかった風防前の断面形状もとても良くわかります。

そしてまたここでも足が止まってしまいました。排気管の形状で一目で疾風の誉エンジンだと解かりました。しかし原田さんの話では、この誉はキ-106(疾風を木製化した試作機)のものだそうです。残念ながら原田さんの手に入った時点で、既に補器類が失われていたそうです。しかし原田さんは他にも誉を持っていて、そちらの補器類を使えば運転することが出来るだろうとのことです。

ハンガーの外にはブルーインパルス塗装のF-86FやT-33が展示(置いてある?)してありました。他にも貴重な機体が沢山あり、充分に魅力的な航空博物館が開けそうです。原田さんにその点をお聞きしたところ、現在はまだ予定していないとのことです。このハンガーは普段、レストアの作業場として使っていて常設の展示場所には使えない。しかし、年一回程度は今回のように公開するつもりだそうです。
来年は、この零戦に命が吹き込まれているかもしれません。楽しみです。


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