Live Depot
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FM HALL
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Vol.112 2003/07/02 ON AIR (guest:桑山哲也)
「こんばんは!大江千里です。みなさん、ようこそ。ラジオをお聴きのみなさんも一週間のご無沙汰でした!先週は番組初、海外からのお客さまをお迎えしましたが、今夜も初めてって人がきっと多いと思います。アコーディオンの演奏をお送りします」
(桑山哲也登場)
千「アコーディオンをかけて桑山さん、登場してくださいました。こんばんは」
桑山「こんばんは。よろしくお願いします」
千「まずはこのアコーディオンにもご挨拶をお願いしましょう。(桑山さんのアコーディオン演奏)ありがとうございます!桑山さんは1972年、札幌生まれ、六歳からアコーディオンを始められて、10代の頃にプロとして既に活動されていたという」
桑山「長いですねー」
千「シャンソンやミゼットといった既存のレパートリーだけではなくてジャズをベースに様々なオリジナルを作りながら、これまで三枚のアルバムをリリースされているという。七月は忙しいそうですね」
桑山「七月はパリ祭っていうのがありまして、シャンソンのコンサートがめじろ押しなんです。全国行ってきまーす」
千「かなり年齢の幅のある…」
桑山「比較的高いかたが多いですね」
千「(笑)、今ちょっと言葉を選んでしまいました。これ、今見たところデカイじゃないですか。体力は今月はいっぱい使ってる感じですか」
桑山「いっぱい食べて体力貯えないといけないですね」
千「食べて演奏して。で、また食べると。さて、今日のステージの編成を紹介してもらえますでしょうか」
桑山「今日はピアノ、そしてウッドベース、そしてパーカッション、それに僕、アコーディオンの四人でカルテットで」
千「楽しみです。じゃ、初めて桑山さんのライブを聴くというかたに一言」
桑山「アコーディオンっていうと、ちょっと民族的なイメージをお持ちのかた多いかもしれませんけど、比較的ポピュラーな曲もいっぱい出来ますので、今日はそういう新しいアコーディオンを聴いていただきたいと思ってます」
-CM-
(桑山哲也ライブ)
『タンゴ・プア・クロード』『ディスバレイトル』
-CM-
千「セッションタイム!(ピアノ演奏)シャツが鮮やかですね!楽器の黒とだいだい色のシャツとが(笑)。非常にピカーッて」
桑山「半袖にすれば良かったですね。暑いんですよ。太ってるから。楽器が重いからなんですよ。太ってるからじゃないんですけど」
千「相当重いですよね」
桑山「重い!みなさん、知らないでしょ?アコーディオン持ったことないでしょ?ビックリしますよ。80キロもあるんですよ。あ、僕の体重がね、楽器は13キロ」
(セッション)
大江千里『ぼくだけを置いていく!』
千「『12ヶ月』というピアノのアルバムの中の『ぼくだけを置いていく!』、三月のちょっと淋しい切ない曲なんですけど」
桑山「ぼく、これ聴いたときに、これだ!と思ったんですよ。アコーディオンは淋しい曲合うんですよ、そう思いません?アコーディオンっていうと淋しい感じしますよね(アコーディオンの音)」
千「なんかマロニエにたたずんで枯れ葉を踏み締めながら」
桑山「恋人達が別れるって感じじゃないですか。アコーディオンって、そういう曲が合ってるんです」
千「これから入学して新歓コンパにいくって感じではない?」
桑山「感じではないですね。なんか学校を留年して彼女と別れたって感じですね」
千「なるほどね。最後にブルブルブルって」
桑山「あれがアコーディオン弾きの汚いとこなんですよ(笑)」
千「ボタン式アコーディオンっていうのは正式名称は」
桑山「正式にはボタン鍵盤式クロマティックアコーディオン、ベルギー式配列、ハーッ、疲れた、と言います」
千「ボタン式…」
桑山「違います。頭から違いますね」
千「(笑)」
桑山「もう一度正確に言いますね。ボタン鍵盤式クロマティックアコーディオン、ベルギー式配列」
千「ボタンの数がもう」
桑山「右手側は92個のボタンが付いてます」
千「その上を指が斜めに」
桑山「パソコン打たせたら早いですよ」
千「(笑)、コギャルのブラインドタッチどころじゃないっていう」
桑山「右手側より大変なのは左手側なんです。こっちは120個付いてます」
千「ゲッ」
桑山「あれ?みなさん驚かないですね、会場のみなさん。ぼくのコンサートのとき120個って言ったら、えーっ。もう一回言ってみましょうか」
千「みなさん、もしかしたらもうご存じなのかもしれないですね」
桑山「右手側は120個付いてます。(会場から、「えーっ」の声)いいお客さんだぁ。来て、僕のコンサート」
千「(笑)。これは非常に珍しいですよね」
桑山「日本一って言われてるんですよ。僕しか弾く人いないので日本一です(笑)」
千「そうですよね。じゃ、弟子ができたら日本二に」
桑山「ナンバー2ですね。弾けなくてもナンバー2です」
千「弟子入りさせてください(笑)。これはイタリアですか?フランス?」
桑山「僕が使ってる楽器はフランスのメーカーなんですけど元々はオーストリアで発明された楽器なんです。足踏みオルガンって昔、小学校にありましたでしょ?あれを携帯用として作り替えたのがアコーディオンなんですよ」
千「これ、音色も変わるし」
桑山「曲調によって、例えばシャンソンのときの音って(アコーディオンの音)ビヨンて感じですね。あとロシア民謡だと(アコーディオンの音)、あとボサノバ(アコーディオンの音)、あと日本の演歌の音ってのもあるんですよ。ちょっと低い音出して」
千「(桑山さんのアコーディオンの音に合わせてピアノを演奏)なんで俺、弾くんだろうって(笑)。反応してしまいましたね、演歌で。何台ぐらいお持ちなんですか」
桑山「今、四台ありますね」
千「気分に応じて、曲調に応じて?」
桑山「それが面白いんですけど全く同じ楽器が二台あるんですよ。これと同じのが。それは微妙にチューニングが違うんですね。これはピッチ442っていうやつで、もうひとつは441っていう。これはスタジオに寄って切り替えるんですけど」
千「今日は442になってますか。桑山さんはアコーディオン始めたきっかけっていうのは?」
桑山「父親が演歌のアコーディオン弾きだったんですよ。ホントに毎日演歌聴いてました」
千「家で流れてて練習してるわけですよね。(再び桑山さんの演歌調アコーディオンの音に千里さんのピアノ演奏)反応しちゃいますよね、やっぱり(笑)」
桑山「姉もアコーディオンやってたんです。だからアコーディオンやるしかなかったんですね」
千「反発みたいなものはなかったんですか」
桑山「最初はなかったですけど途中でアコーディオンやめて。アコーディオンより僕の生き甲斐を見つけたんですけど、それは暴走族でした」
千「(笑)、アコーディオンから暴走族に?」
桑山「でもリズム感って大事ですよ、バイクをふかすんでも。他の人よりテンポがいいんですよ、ブンブンブブンブン。他の人ができないようなこと、出来ちゃうんです。ウパッパウパッパウパッパパンパンパン。みんなが、お、すげーよ、桑山、さすがアコーディオン弾きだよって」
千「(笑)」
桑山「ラッパでよくゴッドファーザー鳴らしますね。僕はアコーディオン弾いてましたから(アコーディオンでゴッドファーザー弾きながら)ブンブンブーン。これ、冗談です。本気にしないように」
千「(笑)。一回アコーディオンを離れた時期があったんだ。それでまた戻ってきて」
桑山「今、もう暴走族はやめました」
千「(笑)、いや、それはよく分かってんですけど。先生に、モンマルトル?」
桑山「モンマルトル先生っていうフランス人の先生に弟子入りしてボタン式のアコーディオン習ったんですけど、家に住み込みということで。僕、フランス語できないんですよ」
千「先生は日本語しゃべるんですか」
桑山「全然しゃべれない。でもラッキーだったのは千葉県に住んでるフランス人だったので、千葉県のフランス人の家に住んでました」
千「その先生の家で住み込みで一から?中学生ぐらいのときですか」
桑山「二年と三年のときです」
千「どういうことやるんですか、学校から帰ってきて」
桑山「まず四時間ぐらいレッスンして食事を食べます。食事が終わったら次の朝、学校行くまでに部屋で一晩中レッスンして」
千「夜通しですか」
桑山「そうです。で、学校に行って眠るんですよ。毎日レッスンありますから、今日やってできないことは明日もできないと怒られるので、寝ないで練習するんですよ」
千「学校で寝るしかないですもんね」
桑山「先生も怒りませんでした。成績は悪かったですけど」
千「それで二年間習って。この楽器の一番の魅力ってどこだったんですか」
桑山「そうですね。体にぴったりとくっついてる楽器なので、例えば僕が緊張して震えると音も震えたりするんですよ。そういうとこがかわいいなと思って」
千「なるほどね。自分の体の一部、感情がそのまま音に鳴って出てくるっていう」
(桑山哲也ライブ)
『アカプルコの月』『夕映え』『ブリーザ』
-CM-
千「お疲れさまでした。今日の感想は?」
桑山「楽しかったですよ。緊張するって思ってたんですけど出てきたら、お客さんの雰囲気いいし。千里さんが踊ってたとは知らなかった」
千「(笑)、僕ね、最後の曲踊っちゃいましたね、このつい立ての裏で。汗ばんでますけど」
桑山「でも楽しかったですね」
千「切ない曲だなって、『夕映え』って曲とかすごく好きなんだけど、聴いてると夕焼けに自分が立ってて元気が出るっていうか、力が湧いてくるような感じがありますね」
桑山「『夕映え』は僕、北海道から出てきて、未来を夢見て憧れてるんだけど、淋しいけど、でも頑張ろうって曲なんですよ。メロディは淋しいけど後半、どんどん頑張っていくぞって気になる曲ですね」
千「癒し+もっと元気になりたい、能動的に。そういうのは今、桑山さんのテーマでも」
桑山「ありますね」
千「その『夕映え』『ブリーザ』、後半の二曲が入った最新アルバム『Fiesta』が発売中ですね」
桑山「絶賛!発売中です」
千「絶賛!発売中ですね。どんなふうに曲作りされてるんですか」
桑山「僕はギリギリまでなかなか作業しない人でですね。追いつめられたときに一気に書く人なんですよ」
千「一緒」
桑山「一緒ですか。こないだ徹夜して、朝8時に曲書き上がって。その日のライブでやったんですけど」
千「オーッその日に?出来上がったばっかりほかほかの」
桑山「僕は自分で書いてるから弾けるんですけどメンバーが怒っちゃってね(笑)」
千「そりゃ怒りますよね」
桑山「俺たちには練習する時間は、権利はないのかって。でも、みんな素晴らしかったですけどね」
千「上がったら、すぐやりたいっていう気持ちね。今も続々と上がってると思いますけど、次のリリースというか、次はどういうアルバムにしようって方向性みたいなのは」
桑山「まだ確定ではないんですけど次のアルバムはコラボレーションをちょっとテーマにしたアルバムんしようと思ってるんですよ。アコーディオンだけではなくて。あ!千里さん、なんかやっていただけるんですか?みなさん、見ました?今こうやって」
千「もちろんですよ!みなさんに帰れっていわれてもやりますからね」
桑山「いろんなアーティストのかたとやってみたいなと思ってます」
千「楽しいですね。予測付かないけど、合うって、演奏すると火花散りますからね」
桑山「で、新しいもの生まれるんですよ」
千「今後どういうミュージシャンになっていきたいっていうふうに」
桑山「ジャンル問わず国も問わず世界中行って、いろんなミュージシャンと対応できる、演奏楽しめるミュージシャンになりたいです」
千「タンゴから」
桑山「演歌まで」
千「演歌まで(笑)」
桑山「何でもやりたいですね」
千「喜怒哀楽全部がアクセントで、感情のしわしわが全部感じられるっていうのが」
桑山「音楽の魅力ですね」
エンディングテーマは『He is...』