Live Depot
Every Thursday, PM8:00~ from TOKYO
FM HALL
http://www.tfm.co.jp/senri/
Vol.115 2003/07/24 ON AIR (guest:木村弓)
「こんばんは、大江千里です。ようこそ。夏休みになりまして、ご家族でいらしてるかたもいらっしゃるみたいですけど、楽しんでいってください!」
(木村弓登場)
木村「こんばんは。よろしくお願いします」
千「こんばんは、お初にお目にかかります。生成りの、なんていうんでしょうか、素敵な。やっぱり雰囲気ありますね。木村さんを簡単に紹介させてください。大阪生まれでカリフォルニア州立大学でピアノを専攻されて、88年にライアーという竪琴に出会い、独自のスタイルで演奏活動始められて、一昨年はみなさんもご存知だと思いますけど『千と千尋の神隠し』の主題歌『いつも何度でも』作曲されて歌われて。もうみんなも歌ってるかた、たくさんいらっしゃるんじゃないかと思いますけど」
木村「ありがとうございます」
千「先日、新曲『水の三拍子』もリリースされて。今は全国をコンサート中ですか」
木村「そうですね(笑)。こないだも、二日前には郡山に行きまして、その前は名古屋だったり北海道だったり。あちこち行かせて頂いております」
千「木村さんはライブはお好きですか」
木村「やっぱり、お客さんと交流できるっていうのはホント楽しい素敵な体験だと思います」
千「今日も素敵な夜になることだと思いますけど、このライアーっていう楽器ですけど、大体、大きさは赤ちゃん抱っこするぐらいの…」
木村「膝の上に簡単に乗って抱きかかえるようにして演奏するんですけど、40cmX60cmぐらいでしょうか」
千「あとで、このライアーのことも詳しく教えてください。普段は家族でコンサートいらしてるかたとか多いですか」
木村「幼稚園のかたから80歳のご高齢のかたまで結構幅広い年齢層のかたがいらしてくださっています。嬉しいです」
千「ミュージシャンにとって、いろんなかたがコンサートに来てくれるっていうのはやりがいありますよね」
木村「いつも最後に大きな声で歌ってくれるときは感動します」
-CM-
(木村弓ライブ)
『空も海も風も』『花』
-CM-
千「セッションタイム!(千里さんのピアノ演奏)僕、大江千里もステージ中央のグランドピアノに向かって、これから二人でセッションタイムです」
(セッション)
木村弓『いつも何度でも』(演奏はライアーとピアノのみ。最後は千里さんもコーラス入れてました)
千「このライアーっていう楽器はホントに不思議な楽器ですね。さっき赤ちゃんを抱いてるような大きさっていう表現を使ったんですけど、すごい心臓に近いところに、ま、演奏中もそこにお持ちだっていうのもあるかもしれないけど、すごく歌に近いというか」
木村「自己主張は強くないんですけど、心にスーッと入ってきやすい音だと思います」
千「ピアノとかバイオリンとか個性ありますもんね。ライアーってそういう個性個性してないんだけど」
木村「でも、なんかスーッと入ってくるというか」
千「存在感があるっていうね。今日セッションした『いつも何度でも』、これはどういういきさつであの映画の主題歌に選ばれたんですか」
木村「これは何回か、いろんなところでしてるんですけど、まず私が宮崎駿監督の『もののけ姫』を観たあと、とても感動しまして。それからしばらく経ったときに、私も宮崎監督の映画に歌で参加したいなぁっていう思いがドッて出てきたことがありまして。それで、お手紙を書くことにしまして、自分のCDを添えてお送りしたんですね。そうしましたら、その当時進めてらした『煙突描きのリン』という企画があったんです。ボツになってしまったんですけど、結果的には」
千「そんな暴露話もありがとうございます(笑)」
木村「(笑)。そのお話について、お手紙に書いてくださってあって。東京に地震が来るんですけど、そこにお風呂やさんがありまして、やっぱり(笑)。そのお風呂屋さんは地震にも倒れず、再開発計画に動ぜずにガンと残ってるんですけど、その煙突に絵を描くっていうお話なんですが、その煙突に昇って歌を口ずさむはずだって書かれてあったんですね。そのときは、もうそのために作ろうなんて全然思っていなくて、お返事頂けたってことだけで嬉しくしてたんですが、そのあと何度も浮かんでくるメロディがあって。もしかして『煙突描きのリン』に合う曲かなって思って、友人で詩作朗読家というか、作詞を随分なさっていたかたですけど覚和歌子さんに詞を作って頂いて出来たんですけど、曲が。とってもいい曲になったと思ったんで宮崎さんにお送りしたんです。そしたらそのとき、とても気に入りましたって言ってくださったんですけど、肝心の『煙突描きのリン』がボツになってしまったので残念ですと、でもいい曲なんで大切に育ててくださいっていうお返事だったんです。それから一年半ぐらい経った2001年春だったと思うんですが突然ご連絡頂きまして、今進めてる『千と千尋の神隠し』という映画の最後に使わせて欲しいってことで、みなさん、そのあとはご存知のような運びになったんです」
千「ラーラララっていうのわかるんだけど、ホホホホホっていう、あれはやられましたね」
木村「(笑)、そうですか」
千「こびり付いちゃいますよね」
木村「ありがとうございます。あれは実は一番と二番の間に間奏があったほうがいいなと思いまして、ちょっとオカリナみたいなのがあればいいなと思ったんですけど、私オカリナ吹けませんし、ライアー弾きながら吹くっていうもの難しいので(笑)」
千「弾き吹きっていうのは、ここらへんから垂らしてですか、こうやって(笑)」
木村「(笑)、口で真似するしかないと思って」
千「あ、それでホホホホホになったわけですか(笑)。じゃカラオケで歌うとき、それをイメージするとね。この竪琴、ゲルトナーライアーっていう楽器について、ちょっと教えて頂きたいんですけど。音をまず単体で聴かせて頂いてよろしいでしょうか」
木村「じゃ弾いてみますね。(ライアーの音)こんな感じの」
千「梅雨明け宣言、って感じですよね(笑)」
木村「で、二段に段差をつけて弦が張られているんですけど、私の右手のほうがピアノの鍵盤でいう白い鍵盤の音なんです。ここからドが始まりまして(ドレミファソラシドと弾いてみる)」
千「ピアノでいう白鍵盤の」
木村「で、私の左のほうの弦が黒鍵盤の音ですので、交互に弾きますと半音階が弾けます。(弾いてみて)こんな感じ、分かりやすいでしょ(笑)?」
千「なるほど。一応ピアノとかと同じ並びになってるんですね。元々この楽器っていうのは…」
木村「これはドイツの思想家で、特に教育の分野で知られているルドルフ・シュタイナーっていうかたがいたんですけど、そのシュタイナーの思想に共感した人たちが、そこから得たインスピレーションを元に作った楽器で、20世紀初頭に初めて出来たものですから、比較的新しい…」
千「ライアーちょうだいって楽器屋で買えるような気軽な感じしないんですけど、日本でも売ってたり手に入ったりするんですか」
木村「普通の楽器店にはないようですけど、この楽器を輸入しているお店が何か所かあるようなので、そこに行けば入手できます」
千「木村さんはこの楽器に88年に出会われて、そのとき楽器の音色を聴かれてどういうふうに感じたんですか」
木村「そのずっと前なんですけど、歌をやりたいなって思ったときに、人間の声って竪琴が合うんじゃないかっていうイメージがあったんですけど、当時はこういう楽器があるってこと知らなくて諦めてたんですね。たまたま、このライアーの合奏が組まれてたプログラムのコンサートに誘って頂いて出会って、イメージしていた楽器に似てると思って始めたんです」
千「音楽ってダーン!って始めるやり方もあるんだけど、ここらへんから風船を膨らますように歌が始まるっていう、そういうニュアンスを感じるんですけど」
木村「これを考案したかたは裸の弦に直接指で触れて出る音っていうのは、とても人間の心に影響を及ぼすって思ってたそうで、文明の起こるところ、どこでも竪琴があったと言っていたそうです」
千「今日はいつもと違って僕は木村さんの側で番記者のように話を聞かせて頂いていて汗びっしょりですけど(笑)」
(木村弓ライブ)
『水の三拍子』『さとうきび畑』『I Believe』
-CM-
千「お疲れさまでした!今日は引き込まれました。木村さんの音楽もさることながら、音楽のあとに、ありがとうございました、って曲へのあったかさというか、思いがすごい伝わってきて感激しました」
木村「ありがとうございます」
千「先日、新曲が出まして、これはゲームの主題歌になって。いいですよね、この曲も。今年いろいろ活動されると思いますけど、なんと早々とクリスマスコンサートが決まっているということなので。12月19日、クリスマスリサイタル2003、晴海の第一生命ホールで。これ、去年やって大成功されて、もう冬の定番と」
木村「そうなんです。定番にしたいなと思ってるんです。是非お時間のあるかたはいらしてください」
千「これから、どんなふうに音楽活動を続けていかれますか」
木村「今は冬に向けて出す予定になっておりますアルバムの準備をしておりまして、九月にレコーディングなので、そのための作曲だとかやっております」
千「作曲はどういうときにメロディが浮かぶんですか」
木村「作ろうと思って一生懸命部屋で粘って作るときもありますし、ちょっと電車に乗ってるときに浮かんだり、いろいろです」
千「あー、一緒ですね」
木村「あ、そうですか」
千「電車とかバスとか、ちょっと揺られているときにフッて」
木村「いいんですよね。ちょっと踏み入れるときとかね」
千「踏み入れるときとか(笑)。1、2、3で始まるような瞬間ありますもんね(笑)。木村さんにとって音楽っていうのはどういう存在なんでしょうね」
木村「私も一時体を悪くしていたこともありまして、本当にエネルギーとして聴いてるかたに作用できるような、エネルギーのある歌を歌えるようになれればなという気持ちはいつもあります。普段忘れてる気持ちでも、それを聴くことで、こんなに素晴らしい気持ちが自分の中にあったんだ、みたいに思い出してもらえるような、そして生きていく勇気が湧いてくるような。そうですよね?」
千「そうですね。九月に、秋から作り始めるアルバム…」
木村「今度、竪琴の弾き語りだけではなくてピアノのかたとご一緒させて頂いたり、あと、詞のほうを谷川俊太郎先生にも一曲書いて頂きまして」
千「あ、いいですね」
木村「とてもいい歌になったので、是非聴いて頂きたいと思います」
エンディングテーマは『もうすぐ梅雨はあけるかな』