Live Depot
Every Thursday, PM8:00〜 from
TOKYO FM HALL
http://www.tfm.co.jp/senri/
Vol.121 2003/09/04 ON AIR (guest:崎谷健次郎)
「こんばんは、大江千里です。ようこそ。ラジオ聴いてるみなさんも一週間のご無沙汰でした。あ、鳴り止まぬ拍手、ありがとうございます。なんか強引に(笑)。さぁ9月に入りましたけども、今夜はしっとり、ゆったり、アダルティな時間をみなさんとシェア、お届けしたいなと思いますけど。早速ゲストを呼びましょう、崎谷健次郎さんでーす!」
(崎谷健次郎登場)
千「はじめまして」
崎谷「どうもはじめまして」
千「崎谷さん、かっこいいですね、登場も。今、手を振る感じが決まってしました」
崎谷「いやいや。みなさんギッシリ入ってくださって本当に嬉しいな。ありがとう」
千「満杯です、今日。そして鮮やかな、この斜め線の(崎谷さんの衣装についてコメントしてるらしい)」
崎谷「ちょっと、いらっしゃいませ、って感じですかね」
千「いらっしゃいませ、ってそんな(笑)。おしゃれだなと思って見てたんですけど。春にベストアルバム『Love Ballads』をリリースして、7月に東京、名古屋、大阪、札幌でツアーが終わったばかりということで。ツアーの中でMCが意外に長いという話を…」
崎谷「長いんですよ。コンサートに来てくださったかたはご存知なんですけど意外に喋るんで。今日は大江さんとの掛け合いで楽しくやりたいなと思っております」
千「先制ジャブ来ましたね。楽しい夜になりそうだ(笑)。今日のステージはストリングスカルテット、バイオリン二人、ビオラ、チェロ、そしてアコースティックギターをフィーチャリングした編成ということですね。このスタイルでよくやるんですか」
崎谷「アコースティックの編成ではたまにやるんですけど、今日はせっかくのこういう公開放送ということで、これに合わせて最高のメンバーを集めてまいりました」
千「嬉しいですね、崎谷さん!贅沢ですね。今日の意気込みをラジオ聴いてるみなさんに一言お願いします」
崎谷「とびっきり贅沢なバラードの世界、お楽しみください」
-CM-
(崎谷健次郎ライブ)
『Till the end of time』『Because of love』
-CM-
千「セッションタイム!(千里さんのピアノ演奏)大江千里のLive Depot、今夜のゲストは崎谷健次郎ー!1曲目、2曲目、特に『Because
of you』、(会場の妙な沈黙に)あ…『Because of love』ですよね、すいません(笑)。MC失格ですね。ラジオ聴いてる人は是非インターネットで開けて頂きたいですね。歌の世界と、そして今日はこのホールの壁がそのまま照明が当たってて模様が…、外にいるようなね。うまく説明できてませんけども(笑)。今日はポップスの名曲を…」
崎谷「僕ね、この曲を持って来たんですけども、大江さんというと非常にフレンドリーなイメージがあって。持って来た曲というのは友達、俺がいりゃ大丈夫じゃんっていうポジティブな歌のなので、是非こういう温かい曲を大江さんと歌いたいと思って持って来たんですよ」
千「光栄ですね。僕のピアノは今崎谷さんを向いてます」
崎谷「(笑)、だって90度になっちゃってるもんね」
千「そうです。崎谷さんはお客さんのほうを向いてる、僕は崎谷さんのほうを向いてるわけですよね(笑)。心を込めて二人で歌わせて頂きたいと思います(笑)」
(セッション)
キャロル・キング『You've got a friend』
(1番を崎谷さん、2番を千里さんがそれぞれボーカルとキーボード演奏をとり、最後は二人でハモるというかなりステキな曲になりました)
千「崎谷さんはもう20年近く…18年でしたっけ?そんな経ってないですか」
崎谷「はい、4年先輩だそうです、大江さんは」
千「じゃ16年ですね。この『You've got a friend』、いろんな人が歌ってるポップスのスタンダードですけど。いかがでしたか」
崎谷「僕はこうやってキーボードのかたとセッションするのは初めてで、かつお互いに歌も歌えるので、お互いのキャラを活かした、この名曲を歌えたってことですごく楽しかったですね」
千「二人でハモったりなんかしつつ。ありがとうございました」
崎谷「こちらこそ」
千「崎谷さんというとバラードのベストも出されてますけど、そのバラードのイメージがかなり強い部分でもあると思うんですけど、元々の音楽志向ってどこらへんから来てるんですか」
崎谷「僕は父が昔音楽を志していてピアノが弾けたもんですから、父から音楽を習って。それはまぁどっちかというとジャズとかカントリーとかアメリカンポップスとか、そういうものだったんですが。中学校の頃からクラシックがすごく好きになって。クラシックといっても新しいクラシックというか」
千「イゴール・ストラビンスキーが好きとか書いてましたけど」
崎谷「実はそういうクラシックの音楽でもポップスと共通した部分があったりして、そういうところ発見したりして、だんだん自分の音楽が確立していったのかなぁって思うんですよね、最近は」
千「スティービー・ワンダー的な世界があったりとか、いろいろ、例えばエルトン・ジョンだったりお好きじゃないですか?」
崎谷「もちろん小学校のときからそういうポピュラー音楽に染まっている部分もあるし」
千「バイオ見てるとかつてヘビメタパンクをバンドでやられてたっっていう。そのときは…」
崎谷「髪型の変遷はデビューする前はすごいです、僕は」
千「今はこざっぱり、ね。若干、茶髪で。2、3本ちょっと逆毛立ってるんですけど、後ろ。寝癖ですか」
崎谷「なんかねーこれ(笑)。どっかから電波拾ってるんですかね、頭が」
千「それ、歌ってるときにピッピッて動いて…」
崎谷「なってました?拍を刻んでましたか、これ(笑)。メトロノームのような」
千「(笑)。かつては…」
崎谷「中学、高校の頃はロン毛というんでしょうか、そういうのだったし。それから大学時代はちょっとパンキッシュな髪型のときもあり。しかし自分の根底に流れている音楽はやっぱりメロディ音楽が好きで。いろんな時代の音楽を自分に吸収したりはするんだけど帰っていくのはそういうメロディ音楽で。かつ、みなさんにこうやってデビューして崎谷健次郎という名前で出てからはきちんと髪型をそろえて(笑)」
千「なるほど(笑)」
崎谷「イメージを統一して大人の感じで、はい」
千「今日は大人ですよね」
崎谷「僕はデビューして24歳ぐらいのときに一般のかたには40歳ぐらいですかと思われてたんですよ」
千「あ、老けキャラで。それからずーっとあまり年を取らない?」
崎谷「どうでしょうか。ずんずん離れていってるんでしょうか」
千「離れて(笑)。『普段自宅で聴かれてる音楽もバラードなんでしょうか。バラードを作るときはどんなシチュエーションで作られているんですか。私の想像はアルコールを片手に回しながら白いピアノかなんかに向かってポロリと弾く』。いかがなもんでしょうか」
崎谷「(笑)、まぁどうでしょう。近からずも遠からずと言いたいところなんですけど。曲が出てくるのもいろんなとこで出てくるじゃないですか」
千「ジャージとか絶対はかないでしょ?」
崎谷「ジャージ…どうでしょうかね(笑)」
千「どうでしょうかね(笑)、自分の話でどうでしょうかねって、明日のお天気聞いてるわけちゃいますけどね(笑)」
崎谷「そうですね(笑)。でも、どうでしょう。やっぱり浸れるシチュエーション作るってことはありますよ。例えばダウンライトにするとか匂いを焚いたりして」
千「あーいいですね、アロマ」
崎谷「こう、なんか独特のシチュエーションへ自分を追い込んでいく、みたいなね」
千「失恋直後…」
崎谷「そうですね。そういうのとかね」
千「ハートブレイクで窓全開にして星を見ながら…」
崎谷「うーん、そういうのいろいろ試してやってますよ」
千「コンポーザー、アレンジャーとしても、斉藤由貴さんの、ビックリしました、『夢の中へ』。陽水さんの曲をハウスで。あれ、めちゃヒットしましたもんね。革新的なことをいろいろポップス界でやられてるんだと思うんですけど、20年近くやってらして作る側としての音楽の面白さが変化してきたっていうのは?」
崎谷「僕はバラードというのをただ何となく作ってきたことが若い頃あったんですけど、何年も何年もこうやって歌ってくると、その中の登場人物の想いとか、そのキャラみたいなものがだんだん緻密になってきて」
千「深くなってきた?」
崎谷「そうですね。それはこういう想いじゃないか、こういう想いじゃないか、みたいなものを今だから表現できるみたいな歌の深さというか。そういうことをできるジャンルだなぁと思いながらバラードを噛み締めながら、最近また楽しく歌わせてもらってるような」
千「崎谷さんが書かれているメロディっていうのは普遍的なメロディだから、それが年が変わるごとにそのときそのときの等身大になっていくんでしょうね」
崎谷「僕はそれがどうなのかわからないんですけど、ただ自分のバラードに関しては新たにアレンジをしてR&Bっぽくしようとか、そういうの全然ないんですよ。もう、いいのか悪いのかどっちかだから、音楽はある意味ね。基準の枠を変えれば。だからそういう意味でいい音楽をやりたい、それでみなさんの心に残る音楽をやりたいっていう、もうそれだけでしょうか」
(崎谷健次郎ライブ)
『もう一度夜を止めて』『Love is...beautiful』
-CM-
千「お疲れさまでした!今日はいかがでした?このTFMホール」
崎谷「本当に新鮮な空気で。ここでやらして頂けるのも初めてだし。そしてこうやってセッションさせて頂き、本当に久々にラジオで聴いてくれてるかたも多いと思うし、いい機会だったなぁと思っています」
千「今年はデビューからのコンプリートベストアルバム『Love Ballads』が出ましたよね。これはご自身でまとめて再び聴き直してみて、自分の曲たちはどうでした?」
崎谷「バラードをずーっと歌ってきて若いときの自分も最近の自分もいて。そういうふうなものの中で、このときに辛い恋した、とか、こういうときにいい付き合いがあったな、とか、いろんなことがその中に詰まっていて。それは自分のまるでアルバムのようでもあり、聴いてくださってるみなさんのそれぞれの時代をこの曲の中に投影しながら聴いてくれたんだなって思うと感無量でしたね」
千「崎谷さんって曲もそうなんですけど、それを聴いてる人の歴史っていうのがあるじゃないですか、その実感をすごく大事にされてますよね。2001年、7年ぶりにオリジナルアルバム『SOUL
ARCHEOLOGY』、これは魂の考古学っていうことですけど、一番最後に歌ってくださった『Love is...beautiful』が入ってますね。これ、崎谷さんにとってどういうアルバム?」
崎谷「7年ぶりに発売したってことになって、そういう意味では自分のレーベルから発売したってこともあって本当に思い入れの強い一枚なんですけど。自分で好きなことをやってごらんって言われたときに、今まで聴いてくださった自分のファンのかたに満足して頂ける作品であり、僕の最近の音楽性みたいなものを反映したものにしたいということで、実はその間に書きためた曲全部集めて、考古学の本をめくるみたいにノートを探したりしながら作ったということで、そのタイトルついたんですけどね」
千「7年ぶり、自分のレーベル、最スタートじゃないけど、そういう気持ちもあるんでしょうね。ライブ情報をお伝えしましょう。冬に東京、名古屋、大阪、札幌でのコンサートツアーあります。そしてクリスマスには恒例の富良野のプリンスホテルでのライブも決定していますけど、崎谷さんにとってライブっていうのはどういう?」
崎谷「やっぱりステージでお客さんに僕の音楽を堪能して頂くっていうのはもちろんのことなんですけど、それ以上にいろんな時代性を投影して聴いてくださるみなさんに、またその気持ちを取り戻してもらえるような、そういう音楽を通してみなさんとコミュニケーションできる場だと思ってます」
千「楽しみですね。今年は体壊せないですね。風邪もひけないですね」
崎谷「(笑)、そうですね」
千「3分間のバラードとかポップスの世界の中である意味人生がギュッと凝縮されたような」
崎谷「そうなんですよね」
千「そして聴いてる人も一緒に曲の中に行けるっていうかね」
崎谷「音楽がない生活ってなんだよって思ったら、やっぱり花のない世界のようなもんで。花がなくても生きていけるけど、なんと色が少ない、目を和ませてくれるもののない世界だろうというのと同じように、音楽っていうふうなものを、僕は特にメロディ、心洗われるメロディ、それをやっぱりずっと歌っていきたい。お前、頑固すぎるよっていうところもあるんだけど(笑)、僕は僕なんで、かえってあいつの音楽聴いたら絶対メロディでは損させないよっていうような、そういうぐらいの感じでやっていきたいですね」
千「今年もいいステージ、そしてまたいいアルバム作った暁にはこの番組に遊びにきてくださいね。またセッションしましょうね」
エンディングテーマは『街の灯』