Live Depot
Every Thursday, PM8:00〜 from
TOKYO FM HALL
http://www.tfm.co.jp/senri/
Vol.123 2003/09/18 ON AIR (guest:鈴木重子)
「こんばんは!大江千里です。ようこそ、ようこそ!ラジオ聴いてるみなさんもこんばんは!このLive
Depotを迎えて123回目、ワンツースリーのLive Depotを今日迎えることができましたー!ありがとうございます。先週は夏川りみさんの島唄をお送りしましたけど今週もリラックスしていただきましょう。ゆるーく肩など回しながら、今日は本当に55分間たっぷりお湯に浸かって(笑)、音楽のお湯に浸かって楽しんでいただきたいと思います。思いきり楽しんでいただきますよー!早速ゲストを紹介しましょう!みなさん、大きな拍手をよろしくです。ボーカリスト、鈴木重子さんでーす!」
(鈴木重子登場)
鈴木「こんばんはー」
千「こんばんは。鈴木さんとは三年ぐらい前に一度お会いしたことがあるので二度目なんですけど」
鈴木「はい、そうですね」
千「相変わらず、お変わりなく」
鈴木「お変わりなく歩くのが遅くてすいません(のんびりとした鈴木さんの独特の口調も相変わらずです(^_^;)」
千「いえ、とんでもないです。今、結構走り気味に番組始めたんですけど、一気に鈴木モードに」
鈴木「あ、すいません(笑)」
千「いえ、とんでもございません。鈴木さんは今日は天女の羽衣のような…。肩出しです」
鈴木「あ、ありがとうございます。ちょっとあちこちほつれてるもんですから」
千「言わなきゃわからないですけど(笑)。そういうデザインかと思いました。さぁちょっと簡単に紹介させてください。東京大学時代にジャズボーカルを習い始め、94年に第10回日本ジャズボーカル大賞新人賞、これがきっかけでCDデビューして、2000年に五枚目のアルバム『Just
Beside you』で日本ゴールドディスク大賞」
鈴木「はい、夢みたいですね」
千「そして最近はオリジナル曲、童謡、ポップス、様々な音楽を独自のスタイルで歌ってらっしゃる、まぁ、歌人というようなスタンスだと思うんですけど。今日はこのホールに入られる前に何かされましたか。朝から歌の練習とか」
鈴木「実はですね、昨日ちょっと足をくじいちゃったんですけど」
千「普通に歩いてて?」
鈴木「そう。それで腫れちゃった。…そうなんです、ただ歩いてたらカクンってなって。足を三年ぶりぐらいにくじいちゃって」
千「三年ぶりの捻挫で」
鈴木「それで葉っぱを当ててね、湿布してたんですけど」
千「ご自身が栽培されてるハーブかなんかで?」
鈴木「しその葉っぱなんですけど」
千「あ、失礼いたしました(笑)。しそを貼って。じゃ、今日はしそパワーで。なんのこっちゃ(笑)。55分間ラジオを聴いてるみなさんに、じゃあ意気込みなどを一言」
鈴木「そうですね。意気込みのなさ加減と申しましょうか」
千「あ、意気込まない(笑)、肩に力を入れない、そんな感じで」
鈴木「はい、眠たくなるライブになったらいいかなぁと思っております」
千「もう半分ぐらい僕、足を入れかけてますね、湯舟にね(笑)」
-CM-
(鈴木重子ライブ)
『We've Only Just Begun』『A Baby River』
-CM-
千「セッションタイム!(千里さんのピアノ演奏)東京FMホールから生中継、大江千里のLive
Depot、本日のゲストは鈴木重子さんです!」
鈴木「こんばんは」
千「今日やる曲は非常にかわいらしいというか。夜に鳴く鳥なんですかね、これはね」
鈴木「うーん、黒い鳥って日本語にしたらなっちゃうんですけど」
千「『Black Bird』っていうタイトルの曲ですけど」
鈴木「黒い鳥が今まで折れていた翼を再び広げて飛び立とうとしているっていう歌なんですけど。かわいい中にも勇気が出る、みたいな感じかな」
(セッション)
『Blac Bird』(千里さんのピアノ演奏に合わせての鈴木さんのボーカルはとてもかわいらしい声でした。特に鳥の声が)
千「どうしてこの『Black Bird』という曲を選ばれたんでしょう」
鈴木「なんとなく。たくさん好きな曲があるんですけど、なんか大江さんに合ってるかなーと思ったんですよ」
千「(笑)。以前ジョン・レノンの『イマジン』を某番組でセッションさせていただいて」
鈴木「あ、そうでしたね。ビートルズはお好きですか、大江さんは」
千「そうですね、やはり。随所に影響受けてますよね。好きな曲、歌ってみたい曲っていうのは普段聴いてる音楽だったりするんですか」
鈴木「あのね、最近私、意外とあんまり音楽を自分が暇な時間に聴いたりしてなくって。窓開けると虫の声とか聴こえたりするじゃないですか。今ちょうど季節なんで。それとか聴いて。コロコロコロコロとかいってるので」
千「さっきのスキャットもそれを彷佛させる…」
鈴木「あ、そうかもしれません。やっぱり影響出てるかもしれませんね(笑)」
千「この夏にシアトルのほうに整体を勉強しにいったという話を聞いたんですけど」
鈴木「立つ練習をしに行ったんですけど」
千「立つ?」
鈴木「あのね、ただ立つっていっても体の力を抜いた状態で、リラックスした状態でバランスが取れて立つっていう、面白い練習をしに。すごく有名な先生がいらっしゃるので行ったんですけど楽しかったですよ(珍しく最後の言葉に抑揚があって本当にすごく楽しかったという気持ちがこもってました」
千「(千里さんもその雰囲気を察したのか)その楽しいお話はあとでゆっくり聞きたいと思うんですけど(笑)」
鈴木「あと一時間ぐらいかかっちゃうから」
千「(笑)。鈴木さんは東京大学文一で、それまでもずっといわゆるエリートコースを来られて。弁護士を目指して司法試験にも挑戦されてて。歌に目覚めたって、ボーカリストとして歌を歌おうってきっかけはそもそも何だったんですか」
鈴木「私の場合はなんですけど、気がついたら歌手だったって感じだったんですよ。元々司法試験の勉強をしている最中から練習していたジャズボーカルの教室の先生が紹介してくださってジャズクラブに出演をしてたんですけど、だんだん出演が増えていく一方で、だんだん勉強はしなくなって。気がついたら歌ばっかり歌ってた、みたいな。でもあるとき、それまで私はずっと自分はとにかく何か偉いもんにならなきゃいけないんだと思い続けて…」
千「偉いものというのは例えば総理大臣になるとか?」
鈴木「そうですね。裁判官とか偉い人にならなきゃいけないと思ってたんですけど、あるときまできて、あ、私歌を歌ってるのがこんなに幸せなんだから別にいいじゃん、このまま一生歌ってれば、と思ったときがありましたね」
千「今プロとして歌ってらっしゃるわけだけど、気持ち的にはあれなのかな?自分が好きなことをリラックスして、ただ夢中に瞬間瞬間やってるって感じなんですか」
鈴木「うーん、永遠の夏休み、みたいな(笑)感じ?」
千「長い夏休みが続いております」
鈴木「はい、そうですね。すごく長いです」
千「ゴールドディスク大賞取ったの2000年でしたからね」
鈴木「はい、もう10年ぐらい続いてる感じ。ときどきちょっとだけ起きて、ん?あれ?これでいいのかな?と思うときがあるんですけど」
千「(笑)。僕ね、すごく印象的な話を彼女に聞いたことあるんですけど。その先生が夜寝る前に、あー、今日も完全燃焼の一日だったから、このままフッと明日の朝、覚めなくてもいいやって思うぐらい幸せだっていう先生の言葉に感銘を受けて、そういうふうに生きてるっておっしゃってましたよね。今もそんな感じですか」
鈴木「そうですね。全然目が覚めてないって感じですか(笑)。ずっと寝てる、みたいな」
千「我々はじゃあ夢の中の登場人物ということですよね」
(鈴木重子ライブ)
『Scarborough Fair』『あなたへ』『かぜのみち』
-CM-
千「長い夏休みの中に我々はいるわけですよね」
鈴木「はい。なんかもうホントに良く寝てました、私」
千「(笑)。鈴木重子さんがステージを終えて僕の隣に来てくれました。お疲れさまでした!歌い終えられたあとの気持ち、このホールの感想とかあれば」
鈴木「なんかね、お風呂に、ぬるーいお風呂にずっと浸かって、いい気持ちみたいな感じと。あと自分のすごく言いたいことを、それもすごい深いところにある言いたいことを聞いて分かってもらったみたいな」
千「あー、そういう感じが実感で。細胞が、あーわかってもらってるっていうような感覚ですよね。今日歌ってくださったのは6月に出た7枚目のアルバム『A
BREATH of SILENCE』の中に入ってるナンバーですけど、ポップスのスタンダード、唱歌、そしてオリジナル、いろんな曲入ってますよね。ジャズからどんどん幅が広がってると思うんですけど、これからどんな音楽活動に向かっていくんでしょう。なんか僕が思うにすごく自然にどんどんシンプルになっているような…」
鈴木「内側にあるものがどんどんシンプルになる代わりにジャンルが広がったみたいな、そんな感じ。なにしろ明日のこともあまりよく把握してないもんですから、先のことはどうなるか、よく分からないんですけど」
千「(笑)。でもさっき虫の声を聴きながら、これが自分の一番のB.G.M.だっていうような話してらしたじゃないですか。あ、星がきれいだなとか、あ、空気が気持ちいいなとか、そういうのを感じてらっしゃるのかなって。歌がすごく活きてるっていうと大袈裟になるのかもしれないけど、すごくそういうのを感じる」
鈴木「ありがとうございます。なんかね、生きてて良かったーみたいな感じなんですけど」
千「ご自身でそういうのをね、素晴らしいと思うんですけど。女優業とか執筆業、そういうのも楽しみですけど予定あるんですか」
鈴木「今のところ、すぐにって決まってるものはないんですけど、もしかしたら誰か私のようなものに何か書いてくれか、何かやってくれるかたがおられたら、できたらやってみたいかな」
千「是非もう一度女優の鈴木さん見ていたいですけど。コンサートの予定が来週ありますね。9月27日は横浜の関内ホール」
鈴木「はい、そうです。楽しみなんですけど」
千「また永遠の夏休みの夢空間に(笑)、直接触れていただきたいですけど。デビュー9年目に突入ですけど、鈴木さんにとってこれから歌うことっていうのは、まぁ同じ部分もあるとは思いますけど、でもあえて歌うこと、鈴木重子にとってどんなことですか」
鈴木「空気みたいな。あって当たり前なんだけど、ないとすごく困って…」
千「呼吸困難になりますからね(笑)」
鈴木「吸ったり吐いたりして自分と自分の周りをつなぐみたいなものかなぁ」
千「なるほどね。『BREATH of SILENCE』っていうタイトルにも通じるような」
エンディングテーマは『平常心』
(タイトルを言ったときもだけど、PIANISMのように表情での表現もあったようで客席からは演奏中にたまに笑いが起こってました)