Live Depot
 Every Thursday, PM8:00〜 from TOKYO FM HALL
 http://www.tfm.co.jp/senri/


Vol.127 2003/10/16 ON AIR (guest:Rikuo
「こんばんは、大江千里です。ようこそ。ラジオをお聴きのみなさんも一週間ぶりのLive Depotです。この東京FMホールから毎週ライブを生中継でお送りしております大江千里のLive Depotです。先週は矢野あっこちゃんがここに来てくれましたけど今週も素晴らしいピアノマンが登場です。Rikuo!」
(Rikuo登場)
Rikuo「どうもこんばんは。Rikuoです」
千「こんばんは、はじめまして」
Rikuo「やっとお会いできましたね」
千「やっと会いました!いろんなところでニアミスしてたんですけど」
Rikuo「地方で僕がライブやらせて頂いている会場で司会をやってたりとか。岐阜の中津川でしたね、確か」
千「覚えてますね、やっぱり」
Rikuo「寒かったんですよ、野外」
千「今日はシャツ姿で登場ですけど。Rikuoさんの簡単な紹介をさせてください。京都生まれということで、90年にミニアルバム『本当のこと』でデビュー。そのあとピアノトリオ、ザ・ヘルツを結成してオリジナルラブのツアーに参加。そして98年からはTokyo Music Salon、RikuoのHappening Daysといったイベントを企画されて、いろんなアーティストと共演しながら年間100本以上のライブツアーを続けてらっしゃるということで。間違いないですね?」
Rikuo「ええ、大体そんなもんじゃないでしょうか」
千「そんなもんですか(笑)。そして今日、シングルとしては二年半ぶりの新曲『美しい暮らし』がリリースされました!まさにその発売の日にこのLive Depotに出演してくれています。ありがとうございます。どうですか、ご自身の最近の暮らしのほうは」
Rikuo「いろんなことに感謝しつつ不真面目に真面目に生きてます」
千「今夜のステージですけど、ステージの真ん中にドンとピアノが一台置いてあります。ピアノ弾き語りです。意気込みのほうをラジオを聴いてるみなさんに一言」
Rikuo「ま、楽しんで」
千「お、さり気なく。どんな夜になるんでしょうか。スタインウェイがステージの真ん中に置いてあって、なんか人気がないときって寝てるようなピアノなんですけど、Rikuoさんが今ピアノの前に座りますと何かが始まりそうな、聴こえてきます」

(Rikuoライブ)
『ミラクルマン』『雨上がり』
-CM-
千「セッションタイム!(千里さんのピアノ演奏)東京FMホールから生中継、大江千里のLive Depot!僕もカスタムキーボードの前に座りました。そして今夜のゲストをもう一度紹介しましょう、Rikuo!」
Rikuo「どうも!よろしくお願いします」
千「Rikuoさんはロングのスタインウェイの、ちょっと長いグランドピアノですね」
Rikuo「ええピアノですわ」
千「鳴り、どうですか、いいですか」
Rikuo「うん、いいですよ」
千「僕は上手のキーボードのほうに。ちょっと向かい合うような」
Rikuo「見つめ合っています、今」
千「目と目が合ったその日から、そういう感じですけど。どんな感じや(笑)」
(セッション)
石原裕次郎『夜霧よ今夜もありがとう』
(サビの部分は客席と一緒に歌うといったオリジナルとは随分違う楽しげな雰囲気。ボーカルは一番が千里さん、二番がRikuoさん)


千「今日演奏したのは石原裕次郎さんの『夜霧よ今夜もありがとう』。ちなみにこの曲は1967年、浜口庫之助さん作詞、作曲によって生まれた曲なんでけど、CDでもカバーされてますよね。なんでまたこの曲を?ズバリこの曲のRikuoさんにとっての魅力とは?」
Rikuo「自分が幼稚園を経て小学生くらいになるまでの間に好きで聴いてた、いわゆる流行歌、歌謡曲の中で自分が好きやなと思って聴いてた曲の多くの曲を浜口庫之助という人が作ってたって大人になってから気づいたんですよ。♪なみだくん、さよなら〜とか、♪バラが咲いた、バラが咲いたとかね」
千「ポップで明るめなんですけど、よく考えるとすごく切ないというか、悲しみを歌ってたり」
Rikuo「むっちゃ明るいのもあるんですけどね。♪若い娘が」
千「♪ウッフーン(と続けて歌う千里さん)」
Rikuo「(笑)、ちょっとタイミングがずれたけどね。あとね、♪愛してる〜」
千「♪愛してる〜(とまた続けて歌う千里さん)」
Rikuo「「ありがとうございます(笑)。このへんにしといたろかな(笑)。それで、いつか浜口庫之助さんの曲をやらして欲しいなぁと思ってたんです」
千「なるほど。Rikuoさんにとって入り口は歌謡曲だったんですね」
Rikuo「耳に入ってくる曲を聴いてたっていうのがやっぱり始まりだったんで」
千「家でずっと流れてたんですか、そういう曲が」
Rikuo「テレビですよね、やっぱり」
千「ピアノはいつ頃から?」
Rikuo「小学生入ってからなんですけど、家に母親が小さい頃に買ってもらったっていうヤマハの生産2000台ぐらいのぼろぼろのアップライトピアノが置いてあったんです」
千「おかあさんが買ってもらったってことはもうかなり長い時間…」
Rikuo「ものすごい、もう戦前のピアノですよね。それをなんとなしに弾いてたんですけど、母親がちょっと習わせてみようということで。うちの近所に音大があったんですよ。その音大に母親が貼り紙をしに行って、アルバイト教師募集」
千「(笑)、よく教師が教室で生徒募集っていうのはありますけど、その教師がいそうなところに行って教師募集していると」
Rikuo「それで大学一年生の当時18歳の」
千「ピチピチの(笑)」
Rikuo「それ、俺が言おうとしたんですけど(笑)」
千「おっさんトークや(笑)」
Rikuo「(笑)、そのかたが大体二週間か一週間に一回ぐらい、うちにピアノを教えにきてくれるようになったんです」
千「最初はバイエル?」
Rikuo「最初はバイエルとかやってたんですけど、その先生も若くて。そんなに正式に厳しく教育しようとか、そういうことで習ってたわけではなかったんで、そのうち『みんなで歌おうフォークソング100選』とか」
千「おー、クラシックだけじゃなくて」
Rikuo「今日はちょっと『Let it be』をやってみましょうとか。そういう感じやったんですよ」
千「いわゆる音楽を一緒に」
Rikuo「そうですね。大体その先生、声楽家の先生でピアノもあまりうまくなかったんですよ」
千「(笑)、音大には行ってたけども実は。その先生に一緒に歌ながらピアノ習って」
Rikuo「一つのきっかけになりましたね」
千「今は年間100本を超えるライブをやるミュージシャンに」
Rikuo「ここ数年は100本以上のライブツアーをやってますね」
千「僕一回ね、ツアー80本弱っていうのをやったことがあるんですよ。もう本当に目から耳から火が出そうでしたね、疲れて、本当に」
Rikuo「(笑)、確かに疲れるときもありますね」
千「各地に好きなピアノ、弾きやすいピアノ、あったり?」
Rikuo「大江さんもそうやと思うけど、ピアノ弾きっていうのはなかなか自分のピアノを持ってツアーするってことは難しいんで」
千「ギターみたいに持って行けないですからね」
Rikuo「俺の場合は港、港に俺のピアノが待ってるっていう」
千「(笑)、別れのときはハンカチを噛み締めながら、Rikuoさん帰ってきてよ」
Rikuo「今日は一晩お前と愛し合おうぜ、みたいな」
千「さ、次行こかな(笑)。年間100本、いろんなところにいろんな癖というか、ここのピアノだけは、このピアノに会いたいがために俺はこの町に行くねん、帰って行くねんていう場所もあるんでしょう?」
Rikuo「そういうのもありますね」
千「名前なんかつけたりしてるんですか」
Rikuo「名前つけてますね。この前つけたんは港町やったんでマリーって名前つけました」
千「マリー(笑)。日本人のピアノですよね?」
Rikuo「ヤマハのピアノなんですけどね」
千「ヤマハのマリーということで。100本もやってると、いろんなところで毎日が勝負というか結構大変やと思うんですけど、印象に残る、最近面白かったなっていうライブ、フッと思いつくのありますか」
Rikuo「いろんな場所でやらしてもらうんで。それが普通のライブスポットじゃなくて、ホールとかじゃなくて、あるときはお寺であったりとか教会であったりとかね」
千「お寺と教会(笑)」
Rikuo「面白かったのは教会でライブやらせてもらったときに、そこにミラーボールを持ちこませてもらって」
千「教会にミラーボール(笑)」
Rikuo「ものすごいでっかいやつをね、このへんに設置してもらって。ステージの後ろには十字架ががーんと張りつけてあって。で、そこでミラーボールがぐるぐる回ってる中で歌うっていう。あとで懺悔室行っときましたけど」
千「(笑)、お客さんの反応はどうでした?チャペルで、しかも十字架、ミラーボール、Rikuoさんの音楽ってことで」
Rikuo「ちょっとさすがにお客さんは罪悪感のようなね、多少の戸惑いは開演当初は感じられたんですけど、まぁ引きずられて、あとで懺悔すればええやんみたいな感じでね(笑)、盛り上がりました」
千「(笑)、そうですか。ライブの話だけでずっと一晩聞いてたい感じですけど、そろそろ後半のステージの準備、よろしくお願いします」

(Rikuoライブ)
『せつない幸せ』『雨に濡れたい』『美しい暮らし』
千「あんまり汗はかかないんですね」
Rikuo「そうですね。代謝が悪いんですかね」
千「(笑)、いかがでしたか、今日は」
Rikuo「ごっつ気持ち良く歌わせて頂いて。お客さんも聴くとこは聴く、のるとこはのる、臨機応変に対応して頂きましてね。どうもありがとうございます」
千「ありがとうございました。さて、今日新曲、今歌ってくれはった『美しい暮らし』、これは二曲目が『夜の過ごし方朝の迎え方』という意味深なタイトルですけど、二年半ぶりのシングルということですけど今回は日常がテーマで?」
Rikuo「これもフッとできた曲なんですけど、曲を作ったときの気持ち、どんな気持ちでしたかってよく聞かれるんですけど、結構ちゃんと覚えてなかったりもするんですけど」
千「それだけ自然にできてきてたってことで。モチーフがずっと自分の中で?」
Rikuo「この曲作ったときは、どっかで気持ちの中で不安感みたいなのがあったんですよね。で、フッと思ったんですけど、いい出来事とかラッキーなことっていうのは実は普通の日常の中でいっぱい起こってて、でも忙しさの中とか不安感とか、そういうものに苛まれて、自分が体験したすごいことを忘れてたり見逃してたりしてるんちゃうかっていう気が。そういう、例えばラッキーっていうのは与えられるものじゃなくて自分が感じ取るもんじゃないかとかね。そういうことを考えてる中で、もうちょっと日常の中でいろんな景色を拾い集めて暮らして行けたら、もっとハッピーなれるな、みたいなね、ことを俺は思ったのだろうか」
千「(笑)、Rikuoさんの♪暮らし〜って上がるところのフッとスペースが、一瞬間があるじゃないですか。あの感じはすごい好きですね」
Rikuo「あー嬉しいな」
千「グーッとくるっていうか。この曲聴いてて、今世の中いろんなことがあって決して明るいだけじゃないじゃないですか。どっちかっていうと暗いニュースも多くて」
Rikuo「そういう雰囲気に流されてしまうような、そういう風潮がありますよね」
千「でも目を凝らせば素敵なことも起こってるわけで。それを自分から起こさないと」
Rikuo「そういうことをずっと噛み締めたり反芻したりしたいですよね」
千「ニューアルバムも制作中ということで12月にライブイベントもあるそうです。(イベントスケジュールのお知らせ)来週から北海道のほう、えらい回りはるそうですけど」
Rikuo「北海道五か所だったかな、六ヶ所だったかな、だんだん北のほうに行くんですけどね。最後はオホーツクまでたどり着いて帰るっていう(笑)」
千「あとで北海道の話聞かせてください」
エンディングテーマは『リクオの乗馬』