Live Depot
Every Thursday, PM8:00〜 from TOKYO FM HALL
http://www.tfm.co.jp/senri/

Vol.140 2004/01/29 ON AIR (guest:芝草玲
「こんばんは!大江千里です、ようこそ!ラジオを聴いて下さってるみなさんも一週間ぶりのご無沙汰です。2004年のLive Depot、このTFMホールからの生放送も三回目です。シャンソン、クラシックと続きまして今日はしっとりと大人の女性の登場です。ピアノの弾き語りをたっぷり楽しんでいただきたいと思います。さっそくゲストをステージにお迎えしましょう、シンガーソングライターの芝草玲さんです。拍手!」
(芝草玲登場)
千「深々とステージ中央まで歩まれて今礼をされましたけど。玲ちゃんってつい言っちゃうんですけど、キーボーディストとして僕のツアーを手伝って下さってたことがあって。ライブも観に行かせてもらったりして」
芝草「来ていただきましたね」
千「今日は久々にお会いできるんで楽しみにしてました」
芝草「こちらこそ楽しみにしてました。よろしくお願いします」
千「今日のファッションのテーマは何ですかね」
芝草「今日は自分なりにちょっと60年代を」
千「60年代、キャロル・キングとか、ああいうシンガーソングライターのにおいが」
芝草「そうですね。あとちょっと映画とかなりきって」
千「なりきってピアノの前で今日はしっとりと。玲ちゃんのレジュメをちょっと紹介させて下さい。92年サルサバンド『チカ・ブーン』のメンバーとしてデビューして95年ぐらいから作詞作曲家としてシンガーとしてソロ活動をスタートさせて。Coccoの『強く儚い者たち』とかご存じの方も大勢いらっしゃると思いますけど。そして去年の夏には三枚目のソロアルバム『うつせみソナタ』をリリースしています。今年新年早々大風邪をひいたという噂を聞きましたけど」
芝草「そうなんです。ちょっと気が緩みまして風邪引きそうになったんですけど、ニンニク注射を一本打ちまして」
千「あれ、すごいきついっていうか臭いんでしょ?」
芝草「打つときににおいのあるタイプとないタイプがあるんですけど、どっちがいいですかって。そりゃない方ですねって(笑)。効き目はどうなんですかって言ったらどっちも同じだっていう。そしたらない方にしますよね(笑)」
千「そうですよね、不思議な先生ですよね(笑)。今日のコンディションはどうでしょうか」
芝草「はい、いつもどおり普通に」
千「あ、普通にですか(笑)。今日も芝草玲の世界をたっぷりと聴かせて下さい」
(芝草玲ライブ)
『川辺』『オキナワソバヤのネエサンヘ』
(『オキナワソバヤのネエサンヘ』を歌う前にネエサンに話しかける語りがあって、千里さんのツアーサポートをしていたこと、今日はセッションであの曲を久々にやること、昔はどうやって弾いてたんだっけ?そういえばハワイで一緒にライブをやったときにビデオがあったはず、それを観たらイケてない化粧で踊っている若い自分がいた、というMCが入りました)
-CM-
千「セッションタイム!(千里さんのピアノ演奏)東京FMホールから生中継、大江千里のLive Depot、今夜のゲストは改めて紹介しましょう、芝草玲さんです!よくよく考えてみたらピアノとボーカルだけのこういうミニマムなスタイルで二人でやったことはないんですよね。よろしくお願いします」
(セッション)
大江千里『ハワイへ行きたい』
(芝草さんのピアノのみの演奏で千里さんはスタンディングで歌うというスタイル。芝草さんのコーラスも入りました)

千「さっきのMCは七年前を思い出して凍るような思いもありましたけど(笑)。あったかいハワイでのエピソードですけどみんなで衣装の布を、アロハ地を見つけに歩きましたよね」
芝草「懐かしいですね」
千「そんな細かい楽しい思い出が蘇ってきましたけど。玲ちゃんはキーボーディスト、作曲家としてのイメージもあると思うんですけど、そもそもシンガーソングライターとして活動するきっかけっていうのは何だったんですか」
芝草「一つは楽曲提供をするときに歌詞を先に曲を書くんですね。それでデモテープを渡すときに歌を入れないとどうなってるかわかんないので自分で歌を入れてデモテープをいろいろ聴いていただいてるうちに、あ、歌うんだって言われて」
千「あ、芝草さん、歌うんですか、と」
芝草「あ、いいの?みたいな(笑)」
千「スタジオで仮歌とか録ったりするのも歌ったりしてたの?」
芝草「時々してましたね。で、そうしてるうちにだんだんその気になっていって」
千「その気になっていって(笑)」
芝草「ていうのと、ある日すごく歌詞を書きたい出来事があって、それで言葉を書くと同時に歌をつけて歌ってみたらすごく快感だったんで、あ、これは楽しいと思って」
千「それまで日記を書いたりとか言葉を連ねるってことはちっちゃい頃からやったりする?」
芝草「いえ、全然やってなかったんですね」
千「自分の声あまり好きじゃないって昔ぽつって言ってたような」
芝草「そう、すごくコンプレックスがあって。低いんですけど、子供のときとかにもっと高くてかわいい声だったら良かったのにとかって言われたりして、自分はすごい変な声なんだって思い込んで。今も別に美しい声だとは思ってないんですけど、自分の声は自分の声って思えるようになりました」
千「玲ちゃんがアルバムのレビューに書いてた言葉で『自分の声とある日出会った瞬間があった、声とつきあっていこう』っていうフレーズがあって。後半のステージ、僕も味わいながらたっぷり聴かせていただきたいと思います」
(芝草玲ライブ)
『煉瓦のかぞえ唄』『ヒナのうた』『前山にて』
千「天井の高いこのTFMホール、玲ちゃんは初めて?」
芝草「やるのは初めてですね」
千「観にきたことはある?どうですか、実際演奏してみて」
芝草「ピアノがすごく好きですね」
千「鳴ってるでしょう?さて、去年の夏に出たアルバム『うつせみソナタ』、うつせみってあの空蝉ですか、蝉の…」
芝草「蝉の抜け殻」
千「自分が蝉の抜け殻のようになった瞬間があったとか?」
芝草「ちょうどこのアルバムを作ろうとしていたときに、前作を作り終わったときでもあるんですけど、作り終わって全部出ちゃったっていうのと自分の中のいろんなプライベートなことも一区切りついてしまって、もう何もないって思いながらも何もないっていうのは錯覚で、まだまだ執着している思いとかもっともっと前より歌いたいって思ってたりとか、そういう思いがあって、何となく空蝉って言葉がぴったりきたんで」
千「蝉の抜け殻であると同時に現世でもがいてるっていうような、そういう感じもある言葉ですよね」
芝草「短い間だけど生きてることにすごく執着してるっていう」
千「僕も執着してますよ。玲ちゃんの曲を聴いてるとアリもアメンボも人間もクモもみんな同じ目線の中で自分の身の丈を精いっぱい生きてて恋もしたり。淡々とじゃん、それって。でも淡々と熱いっていう。だから曲を聴いてるとぐーっと全身の細胞でぎゅーっとなるんですよね。僕『遺伝子』って初期の曲がすごく好きなので今日聴きたかったんですけど(この言葉に応えてアンコールでは『遺伝子』が歌われてました)。次のリリース予定とかあるんですか」
芝草「周りのスタッフの中では理想があるみたいなんですけど(笑)。
千「今年の夏から秋にかけてピークを作ってみたいとか、そういうのね、あると思うんですけど。お互い曲書き頑張りましょうね」
芝草「頑張りましょう(笑)」
千「そしてライブですけど3月13日、原宿Blue Jay Way、あ、Blue Jay Way!俺、知ってる」
芝草「やられてましたよね?」
千「やりました、やりました。すごい知ってる。おなか…おなかじゃない(笑)、『大人の童謡』っていうね。なにがおなかやねん(笑)。悲しい歌もいっぱい書いてますけど、自分の中で何かを吐き出し続けるって感じ、やっぱりあるんですか」
芝草「元々歌手じゃなかった自分が歌うからにはすごいリアルな感情を歌いたいと思うんで。なかなかポンポンできない、でも言い続けてるんで多分スタッフもわかってると思うんですけど(笑)」
千「なんで職業作家でっていう人もいるかもしれないけど、ずっとライブを続けてて確実にいい曲を作り続けてきてて」
芝草「やっぱり丁寧にやっていきたいですね」
千「今日は矢野顕子さんもそうだと思うんだけどピアノとボーカルが一体になって、ピアノ&ボーカルじゃなくてピアボーカルっていう(笑)、鍵盤に指紋の形がいっぱいついてて、すごく今日は響いてて」
芝草「ダイナミックスがいいですよね、生ピアノは。すごくちっちゃい音とでっかい音が鳴ってるっていうのが」
エンディングテーマは『つれづれの歌姫』