Live Depot
Every Thursday, PM8:00〜 from TOKYO FM HALL
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Vol.144 2004/02/26 ON AIR (guest:上田正樹
「こんばんは!ようこそ、大江千里です。毎週様々なゲストをお迎えして、ここ東京FMホールからとっておきのライブを生中継する大江千里のLive Depot。今夜は日本を代表する素晴らしいワン&オンリーのソウルシンガーが登場いたします。上田正樹さんです!」
(上田正樹登場)
千「ようこそ!はじめまして。よろしくお願いします。黒の、少しピンク色のステッチが入ったセットアップです」
上田「紺だと思います。どっちでもいいです」
千「(笑)。改めて上田正樹さんをご紹介したいと思います。1974年伝説のスーパーバンド『上田正樹とサウストウサウス』を結成、そしてソロとなられてからはみなさんご存じだと思いますけど『悲しい色やね』、83年に大ヒットしました。年間100本近いライブとコンスタントにアルバムをリリースしながら最近ではアジアのいろんな国で」
上田「そうなんです。やっぱりシンガーになってから一番最初の夢は地球のどこでも仕事をしたいと。夢はグラミーをとりにいくんだと。地球の上で一本しか立ってない旗を一回はシンガーとしてとりたいんだというのがありまして。すごい嬉しいのは二年前かな、三年前かにインドネシアでデュエットをしたんです」
千「向こうの歌姫と」
上田「向こうのR&Bのナンバーワンシンガーなんですけど彼女とデュエットした曲が15週間シングルでヒットチャートで一位だったんです。それは日本でどんな曲がヒットしたということより何十倍嬉しい。ようやく自分の夢に一歩近付けた」
千「またミュージシャンとしての志が高まって」
上田「すごい自信になりましたね。日本はやはり特殊な国なので、この国で売れないと駄目だと思ってしまう人もかなり多いと思うんです。でもそういった意味で僕みたいなのがいっぱい外に出ていって、たくさんそうやって成果を、結果を残すことで若い人がその後に続いてどんどん、やっぱり音楽ですから国境がないですね、当たり前のところにいってほしいなと」
千「今日のライブなんですけどキーボード一本で弾き語りで」
上田「大江さんはちっちゃい頃からやってるでしょ?ピアノ。僕は40から始めたの」
千「リハーサル聴かせてもらったんですけどピアノと声一体となって、なんかすごい気持ち良かったですよ」
上田「またまた(笑)」
千「(笑)。最近曲書きをされててお酒も断って」
上田「禁酒をしてまして。二年ぐらい前にアジアのR&Bシンガーで、中国出身なんですけどフィンランド生まれで台湾におられるジョニー・キングさんという68歳の人と一緒にしてて、まだまだ僕なんか通過点なんで。自分が80ぐらいまで歌を歌うということをイメージしたときに一個何か止めたいと、断ちたい、みたいな」
千「ジミー・スコットですか、すごい高齢になられてもアルバムを精力的に出されてますもんね。ライブが近付いてきてますけど、もう緊張とかされることないでしょ?」
上田「もちろん緊張しますよ。でも緊張がうまく集中できればいいんですけどね。なるべくリラックスして。緊張って伝わるんですよね、意外と。そっちの客席のかたが緊張するとすぐ緊張しますからね。目線が合った人はニコッと笑うなりしてもらえると」
千「(笑)、はい、わかりました。じゃ意気込みを一言みなさんに」
上田「家でやってるようになるべくやりたいんで暖かく見守って下さい。よろしくお願いします」
(上田正樹ライブ)
『風に吹かれて-Blowin' In The Wind-』『ルイジアナレイン』
-CM-
千「セッションタイム!(千里さんのピアノ演奏)東京FMホールから生中継、大江千里のLive Depot、今夜のゲストは上田正樹!ステージ上に二人ともピアノの前に座っておりますけど。この曲は誰しもね」
上田「音楽を好きな人は100%知ってるでしょ。今、多分地球の上でも一番有名かもしれませんね、この歌が」
千「静かでパワフルな」
上田「僕はリアルタイムでこの時代を生きてますから。もうミュージシャンやってましたから。昔そっくりだと言われてたんですけどね」
千「眼鏡と髪もね」
上田「最近ちょっと山本晋也に似てるって」
千「(笑)、おいしいとこもっていきはるわ」
上田「大阪ですよね」
千「僕は大阪は大阪でもすごく上品なディープサウス大阪ですから」
上田「僕ずっと千里の方かなと思ってたんですよ」
千「No No No No、ものすごい」
上田「すっごい上品なとこですよね」
千「上品です。車の運転もおしとやかにグイグイいきますから。何の話をしてるんでしょうか(笑)」
(セッション)
ジョン・レノン『イマジン』(千里さんのボーカルに上田さんがからんでソウルフルな『イマジン』でした)

上田「やっぱりピアノがいいね。一つだけ心残りはちっちゃい頃にピアノやっとけば良かったなと。すごい素晴らしいです」
千「リハーサルやらせてもらったんですけど一回ポロッとやって、やめとこ、やめとこって言って、本番でやろうよって」
上田「結構練習嫌いでもないんですけど旬ってあるじゃないですか。音楽っていうのは旬っていうのがあるんですよ。その旬が消えるときがあるんですよね。リハーサルすると頭を通過するから。良くないですね」
千「僕、途中で上田さんの歌聴いてて自分が歌うの忘れてましたよね。歌え、君の番だって言ってんのにじーっと。え(笑)?恥ずかしかったですね。思いっきりアフターに出ましたもんね(笑)」
上田「でもそれもライブなんで。今日すごい気持ちいいです(会場から拍手)」
千「お客さん、すごいあったかいですよね」
上田「あったかいよね。最初に言ったのが効いてるよね」
千「効いてますね(笑)。最近アジアの活動も」
上田「それもそうなんですけど去年の暮れにアルバムを出したんですよ、『SMILE』を。今まで僕のアルバムってどっちかというとブルースぽくて暗いやつが多かったんですよね。結婚式で絶対できないような」
千「(笑)、これから歌います、『悲しい色やね』」
上田「あれは結婚式10組で今まで歌ったことあるんですよ。嫌々ですよ。結婚式で別れるような歌を。でも新婦もすごいファンなんですって言われて。やった10組中8組離婚しております(笑)」
千「(笑)、いややなー、歌ってくれるんは嬉しいけど」
上田「そういう魔物系を払拭するアルバム出したんですよ」
千「僕も聴かせてもらいましたけどスタンダードあり、えっこれ、上田正樹さんが歌いはんのっていう名曲もあり。ボブ・ディランと上田正樹さんっていうのも」
上田「リアルタイムに生きててやっぱり思うのは僕なんかどっちかというとすごい若いときにアメリカの南部の本当にコアなR&Bにはまったんです。はっきり言って巷で流行ってる曲は一切聴かなかったですね。それでシンガーになって振り返ると結構いい曲ってあるんですよ。R&Bっていうジャンルだけじゃなくて。なるべくそういうの歌いたいっていうのか、単にそういう気持ちで。結構じわじわ売れてるんですよ。自分で言うのもなんなんですが」
千「いやいや自分で言って下さいよ。今住まいも、築100年の海の近くの一軒家に住まれてて縁側にスタジオがあるって」
上田「そうなんです。三崎半島っていう最突端に住んでて。あの半島って形がイタリアに近いんですよね」
千「見ようによったらね。マグロもおいしいし」
上田「マグロしかないですけど。あと大根」
千「普段は近所のおっちゃんとかおばちゃんとかと…」
上田「結構長く東京に住んでて、大阪に住んでたんですけどコミュニティがないじゃないですか、都会っていうのは。隣の人が何してるかわかんないみたいな。住んでて思うのは近所の人がみんないい感じなんですよね。例えば今日釣りに行ってきたから家でさばいて刺身をどうぞとかね。一週間全然おかず買わないで暮らしたことありますから」
千「(笑)、そういう意味でもいいですよね。コミュニティの中で一曲歌って下さいよ、みたいなことで?」
上田「あ、それはもちろん。今度夏にどっかの浜辺でまたやろうかなと思ってるんで是非来て下さい」
千「ええなー。あとバリの方にも家が」
上田「本当は元々バリに自分の、もう何年も前なんですけど家を造りまして、家内と一緒に。家内もミュージシャンやってるんですけど。あと何年かしたら移住をしようかなと思っています。本当に今日は最後のお別れかもしれない」
千「なんてこと言うんですか(笑)。じゃ、その最後のお別れに後半のステージの準備をお願いします」
(上田正樹ライブ)
『I Can't Believe She's Gone』『Fire and Rain』『悲しい色やね』
上田「結構家にいるようにできました。良かった。どうもありがとうございました」
千「会場のみなさんからメッセージをもらってるのをちょっと紹介しましょう。『僕はカラオケで「悲しい色やね」を歌うのですが上田正樹さんはカラオケで自分の歌を歌いますか』」
上田「いや、行く機会があまりないですけど、どうしてもというときはよし!ってやるんですけど結構ムキになってテクニックを見せつけてしまいますね」
千「(笑)、俺は上田正樹だぞと」
上田「周りをシーンとさせるぐらいはできると思います(笑)。歌を歌うってことが好きなんでしょうね。音が鳴る、自分が弾く、歌い出すと自分じゃない自分がこの辺からムクムクって出てくる感じなんです。わかるでしょ?」
千「わかります。正樹さんのステージ拝見しててエレピの音好きですね」
上田「今度もうちょっと練習して精進してきますんで。今度はもっと上手くピアノ弾きます」
千「そんな立たんでも(笑)。もう一枚、『いつもセクシーな上田さんから見たセクシーな男性像とは?』」
上田「自分の価値観、世の中がどうなろうがメディアがなんて言おうが自分の価値観を持ってる人。で、わき目もふらず、そこにいってる人が僕はいいと思うのね。やっぱり人間だからすぐ人のせいにするじゃないですか、あいつが悪いとか。そういうこと言わないで全部自分でケツがふける、ケツがふけるっていったら汚いですけど、自分が責任を持って進んでる人、そういう人が結構次の時代に総替えというか世の中を変えるときのキーパーソンになると思うんですけどね」
千「黙々と俺のやらなあかんことをやってると」
上田「そうですね。好きなことしかできないですよ。歌もいろんなことやってきましたけど、だんだん好きな方にいくんですよ。それが世の中に受け入れていただいたらすごいラッキーですけど、入れていただかなくってもやってると思います」
千「上田さんのだんだん好きなことが変わってきたなって、これからの傾向はどんなところに?」
上田「日本でもう一枚今年アルバムを出しますし。『More Smile』っていう。もっと結婚式で大丈夫なやつを」
千「タイトルもすごいいいですね」
上田「で、アジアでたくさんのシンガーと一緒にコラボレートして。本当に国をこえるパイオニアになりたいのね」
千「いいっすよね。音楽をやってて願いでもあり夢ですよね。夢で終わらせちゃいけないですよね」
上田「そうなんですよね。夢っていうのは実現するためにあるんで。もう第四コーナー回ってるんで、あとはもうゴールまで一直線」
千「今笑うとこですよ、一応(笑)」
上田「一応笑うとこなんですけどね。すいません」
千「かなりがっかりしてると思いますよ」
上田「今ちょっとしぼみました」
千「(笑)。(ライブのお知らせ)」
上田「実はちょっと明日からアジアに二週間、マレーシアとインドネシアに行きますので、またいっぱいためて帰ってきますから聴きにきて下さい」
エンディングテーマは『コスモポリタンラグタイム』