Live Depot
Every Thursday, PM8:00〜 from TOKYO FM HALL
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Vol.146 2004/03/11 ON AIR (guest:矢野真紀
「こんばんは!大江千里です。今夜のLive Depotはポップな曲、ロック、バラードとどんな曲を聴いても彼女の曲を聴いていると言葉がストレートに伝わってくるという、そんなアーティストをこの会場にお迎えしました。職業は彼女いわく歌い手ということですね。歌を愛する者が歌うというこだわりが伝わってきますけど、そんな彼女を紹介したいと思います。今夜のゲストは矢野真紀さんです」
(矢野真紀登場)
矢野「よろしくお願いします」
千「よろしくお願いします。紫の、この襟がすごくかわいらしい。カットソーっていうんですか」
矢野「これは普通のTシャツだったんですけど破られたっていうか」
千「や、破られたって、誰かに?」
矢野「はい、それで大事にしてたんでリメークしてきました」
千「このパンツもすごい気になるんですけど。ステッチが横に入ってて二種類の、何色っていうんでしょうかね」
矢野「茶色ですかね、焦げ茶」
千「茶系とモスグリーン系が二枚使われててステッチでつながっているっていうね。えっ?裸足ですか。あ、今さらながら。ファンのかたはもう知ってるんでしょうか。びっくりしました。矢野さんをちょっと紹介させて下さいね。東京生まれ、26歳、99年にシングル『初夏の出来事』でデビュー、そして昨日五枚目のアルバム『はるかー遥歌』をリリースされました。世の中に自分が一生懸命作ったものが出て一日経った気分っていうのはどうですか」
矢野「もちろん嬉しいのは当然なんですけど、あーやっとみんなにお届けできる、あーやっとっていうほっとした気分はありますね。でもここからですからね。全国各地お邪魔して旅を繰り返して、もっともっと作品を届けていきたいなっていうのが同じくらい、二つの気持ちがあるんですけど」
千「なるほど。この会場は矢野真紀さんにとって思い出深い会場だというふうにさっき聞いたんですけど」
矢野「デビューして初めてやったライブの会場がここなんですよ。なのでシャンとする感じですね」
千「去年は茶会でしたっけ?ずっとやられてて。お茶もセッティングして」
矢野「お茶菓子も食べていただいて季節の花をステージに飾って目でも耳でも心でも舌でも季節や和だったり、もちろん音楽も楽しんで感じていただきたいっていう。みんなと一緒に無二の空間にしようねっていう場なんですけど」
千「まさに五感で感じるライブ。今日は原点帰りのライブになると」
矢野「そうですね」
(矢野真紀ライブ)
『夜曲』『君の為に出来る事』
-CM-
千「セッションタイム!(千里さんのピアノ演奏はなんとなくオフコースの『さよなら』に聴こえました)矢野さんが中央のスツールに腰掛けいて向こうにギターの中村さん、そして下手側には大江千里がキーボードに向かっております。今夜はオフコースの曲をこの三人で。じゃ早速いきましょうかね」
(セッション)
オフコース『言葉にできない』(千里さんと中村さんの演奏に合わせ矢野さんが感情豊かに歌ってました)

千「1982年の小田和正さんの曲ですけど、ズバリこの曲の矢野さんにとっての魅力は?」
矢野「まさに言葉にできないんですけど(笑)。さっき大江さんにも話していただいた茶会でカバーもしてるんですね、洋邦問わず。このオフコースの『言葉にできない』をカバーさせていただいてリハーサルの時点でなぜか涙が出てしまったんですよ。これは何だろうって思ったときに歌詞を読んで言葉にできない思いを詞という表現方法で言葉にしてしまう小田和正さんの素晴らしさとラララっていうさびに一番伝えたいいろんな思いが全部集約されてるんだって思ったときに、ラしか言ってないのに涙が出てくる、とっても不思議なマジックというか、いろんな奇跡や魔法を曲は持ってるんだっていうのを自分がカバーさせてもらって改めて知らされた気がしたんです。だから機会がある限りずっとずっと歌わせていただきたい曲の一つだなって思ったんですけど」
千「歌詞カードをいただいて小田さんの歌詞を手もとで見たら、あれっ、歌詞ってこれだけだっけ?って僕も思ったんだけど。ということは自分もこの歌を聴いていっぱいの歌詞を作ってるっていうね。この歌を聴いてる人の数だけその世界があるわけだから、またカバーによって歌が違うふうにまた伝わっていく意味ありますよね。歌との出会いを聞きたいんですけど歌うことに目覚めたっていうのはいつなんですか。きっかけがあるんですか」
矢野「特にこれというきっかけはないんですけど。子供って何でも遊び道具になれちゃうじゃないですか。これが特別な遊具ですっていうのが存在しなくても楽しめちゃうじゃないですか。どこでも何があってもそこそこ楽しめはしたんですけど何かいつも足りないっていう感じでいたんです。おうちに帰ってアニメのエンディングの歌を大きな声で真似てみたり」
千「どんなアニメ見たの」
矢野「ミンキーモモとか。世代がいろいろあると思うんですけど(笑)」
千「いやいや気を使ってくれてありがとう(笑)」
矢野「いろんなアニメの歌とかピンクレディーを真似して歌ってみたりとか、とにかくおうちで大きな声を出して歌う、大きな声を出したときに初めて自分が解放されるのが何となく分かった気がした。自分が自由になれる瞬間が歌を歌う、そこだったんですよね。この思いはちゃんと形にしてあげたいなって思って、そこからですね」
千「歌を歌うときに自分が心掛けてることってありますか。歌う表情を見てると歌詞の内容によって表情がどんどん変わっていくんだけど(笑)」
矢野「そうですかね。きっとこういう顔したら少しはきれいに映るのかなとか、ちょっとかわいく見えるのかなと考えようによってはいろいろできると思うんですけど、そんなこといってらんないんだなっていう」
千「(笑)、歌ってるときに?」
矢野「なんですよね。それよりも何よりもひどいんですよ、自分のライブビデオ家で見るとひどい顔してるんですよね。ずいぶん目の前で失礼なことしてたなって(笑)、結構ビデオ見て気付かされます」
千「ホームページ見ると毎日のイチオシのコーナーがあって音楽に対する愛情を感じるんですけど。アルバムが完成して一段落と、夜になると実家に帰って犬と遊んでるって情報も聞いたんですけど」
矢野「毎日一日一回は実家の犬に会いにいって。癒されようと思って行くんですけど毎日引っかかれたり噛まれたり。昨日はパンチを受けましたね、鼻に。涙が出ました、悲しくて」
千「何ちゃんですか」
矢野「キキって呼んでるんですけどまだ8か月で。しっぽ振ってぺろぺろってやられたら、それだけで元気になって」
千「女の子なの?キキちゃん」
矢野「男子です」
千「外で男の人なんかと仕事して、犬にしてはジェラシーとかあるかもしれないよ。なんだよ、お前なんか男の人と、って」
矢野「いやー、そんなに賢くないと思います(笑)」
(矢野真紀ライブ)
『青空に浮かぶは白い月』『オアシス』『東京タワー』
千「昨日出たアルバムに質問きてますね。『今回のアルバムの中で矢野さんにとって一番印象に残ってる曲は何ですか。曲にまつわるエピソードを教えて下さい』」
矢野「全部が印象的で愛しくって。エピソードとして二曲目に入ってる『地上の光』っていう曲があるんですけど、製作期間中にアルバムのためにどんどん曲を作りましょうって時期に煮詰まってしまって、悶々としてたんですよ。もうダメだ、自分ダメだっていう時期があって。ちょっと気分転換に自転車でもこぎに行こうと思って夜、自転車をこいでたんですね。ふとマンホールがあって見たときに、子供の頃、このマンホールを全部触らないでジグザグで自転車を通らないと、ちょっとでも触れたら死ぬとかいうゲームがあったじゃないですか」
千「僕、いまだにそうなんですよ。マンホールだけはジョギングのときも踏まないようにしてるんですけど」
矢野「それを思い出して。入ったことないけどマンホールの中ってどんなんだろうって思って。きっと真っ暗で恐いんだろうなって思ったんですね。でもあっちにもあっちにもあるってことはふたを開けてみるとかなり長いわけですよね。もし自分の人生がマンホールだとすると真っ暗な中でぽつんとマンホールに落とされたら次のマンホールはふたが開いてるかもしれないし、先は見えないけどとにかく走ってみたり歩いてみたり這ってみたりするんだろうか。地上の光を探すんだろうなとかって思ったときに、これはちょっと面白そうだと思って急に言葉たちが出てきて、ついでにメロディも出てきて、そのまま激チャリして帰って書きましたね」
千「マンホールですごいインスピレーションもらって曲ができたっていうね。(ツアーとイベントのお知らせ)突然ですけど最近プライベートでもいいんですけど、これは美しいって感じたものって何かありますか」
矢野「月と星のセットですね」
千「最近ね、月の横に星が」
矢野「あれはああでなくちゃいけないんですよ。あれが完璧なあり方なんです、私の中で。で、位置もあって、よし完璧、文句なしっていう」
千「右側に星いますよね」
矢野「でも上だったり右下だったり日によって違うじゃないですか。だから惜しい!っていう日もあるんですけど」
千「(笑)、お眼鏡にかなうのが大変だ、星と月も」
矢野「(笑)、そうですね。ちょうど真ん中にきれいに輝く月の光で影踏みできるくらい輝いてる…」
千「三日前ぐらいそうでしたよね」
矢野「すっごくきれいでしたね。そのセットを見るといい前兆だ、なんて意味もなく元気になってしまうっていう」
千「今日矢野さんの歌を聴いてて、こうして話させてもらって全部がつながっていますね。全部マンホールから(笑)」
エンディングテーマは『さよならのかわりに「また明日」』