Live Depot
Every Thursday, PM8:00〜from TOKYO FM HALL
http://www.tfm.co.jp/senri/
Vol.156 2004/05/27 ON AIR (guest:冴木杏奈)
「こんばんは!ようこそ大江千里です。今週はこの番組158回目にして初めてタンゴのアーティストを迎えたいと思います。タンゴボーカリスト冴木杏奈さーん!」
(冴木杏奈登場)
千「ようこそ!あでやかですね」
冴木「どうも大江さん、初めまして。よろしくお願いいたします」
千「旭川ご出身ということで87年にアルバム『タンゴプリマベーラ』でデビュー。去年は世界の民謡や童謡をタンゴにアレンジして作ったアルバム『想(おもい)』でしたっけ?日本語をタンゴにって難しくなかったですか」
冴木「難しかったみたいです。童謡をタンゴにしてほしいってパリに持って行ってアレンジャーにお願いしたら、えっ、杏奈、これをタンゴにしたいの?ってやっぱり言われまして。でもタンゴをもっと親しんでほしい、そう思って、みなさんが耳慣れた曲をタンゴにしたかったのでお願いしたら、分かった、その気持ちを受け止めて頑張りますって言って作っていただいた一枚で」
千「なるほど。今日は基本はスペイン語で歌われて日本語の曲もやって下さいますよね?実は四日前にツアーがスタートしたばかりで四日目にして東京、Live
Depotということですね。どんな感じになりそうですか」
冴木「みなさんに楽しんでいただける、タンゴを初めてお聴きの方にもタンゴってこんなものなんだって知ってほしいなと思います」
千「結構情熱というか力がいりそうですけど。放送を聴いてるみなさんに一言アピールをお願いします」
冴木「タンゴですが、お知りにならない方もいらっしゃると思うので、私が最初にタンゴを聴いた時はわりとタンゴって暗いっていうイメージがあると言われるんですが、だけどそうじゃなくて悲しみより情熱とか力強さも、苦しくても明日に向かって生きていくっていう感じがするんですよね。そんな部分を感じていただけたら嬉しいです」
(冴木杏奈ライブ)
『雨』『カミニート』『愛は限りなく』
-CM-
千「セッションタイム!(千里さんのピアノ演奏)今夜のゲスト、タンゴボーカリスト冴木杏奈ー!」
冴木「よろしくお願いしまーす」
(セッション)
『星に願いを』
(演奏は千里さんのピアノのみというシンプルなものでタンゴを歌う時とは違ってふわぁっと優しい歌い方の冴木さん)
冴木「ありがとうございましたー。あーすごい!」
千「こちらこそどうもありがとう。どうでした?僕のピアノで」
冴木「もう最高!ですね。今度一緒にデュエットしませんか、千里さん」
千「(笑)、ありがとうございます、光栄です。演奏し終わってから急にドキドキしてきましたけど(笑)」
(冴木杏奈ライブ)
『中国地方の子守歌』『忘却』『我が死へのバラード』『ロコへのバラード』
千「しかしエネルギーがビリビリ伝わってくるようなステージでした。台詞入りますもんね」
冴木「そうなんです。あそこ、本当はスペイン語の台詞なんですね、『ロコへのバラード』は。だけど、みなさんに内容をちょっとでも分かってもらいたいと思って」
千「よっく分かりましたよ。ぐっと引き込まれて。あのアハハハハハって笑いが。あれ、ちょっと僕もやりたいですけどね。今度ライブでこうやって弾きながらアッハハハハ。ちょっと違いますよね、すいません」
冴木「いえいえ(笑)」
千「さて、冴木さん、先日二枚目のDVD、去年のオーチャードホールでのコンサートの模様をハイビジョンカメラ10台で、めちゃくちゃお金かかってるじゃないですか。単純計算しても……、いやいやそんなことない(笑)。このDVD一緒に見ましょうか」
冴木「(画面を見ながら)『朧月夜』ですね」
千「チャイナドレス?」
冴木「チャイナドレスをちょっと裾を引きずる感じで変形させまして」
千「自分で作るんですか」
冴木「自分でデザインして」
千「女性が演奏されてるんですよね」
冴木「そうなんです。『想』のCDを作る時に女性だけのタンゴのアーティストを集めまして。珍しいんですね」
千「そういうのって冴木さんが考えるんですか。今度は女性だけでいこうとか」
冴木「今回はアレンジをして下さったアレハンドル・シャルツという方が」
千「何人ですか?その方は」
冴木「彼はアルゼンチンの方なんですけどフランスに住んでまして。今回パリから女性ばっかり、このオーケストラ呼んで去年コンサートやったんです」
千「パリから呼んだりニューヨークから呼んだり。衣装もご自身で考えられて。かつてはデザイナーを」
冴木「そうですね、デザインの学校行っておりまして」
千「今、その『想』っていう最新アルバムなんですけど、世界中のフォークロア、民謡、スタンダードをタンゴアレンジで。一番苦労したというか大変だったのはどういう点ですか」
冴木「アレンジャーが大変だったんじゃないかな。でも面白いなと思ったのは『雨』が見事にタンゴになってるんですよね。どうしても日本の私たちって『雨』というと子供の童謡の感じがしますよね。それを彼らはそういう観念がないから大変身してしまうわけですよね。『朧月夜』にしても『中国地方の子守唄』にしても日本人の私たちが想像する全く違うものが出来上がってきて面白かったですね」
千「『海外でのライブ、ニューヨークやパリ行きたかったですが、国によってお客さんの反応は違いますか』」
冴木「そうですね。海外のお客さまはバーッとみんなスタンディングオベイションでブラボーって結構大きなアクションですよね」
千「ストレートですよね。でも楽しむっていうかオンにスイッチをしていらっしゃいますよね」
冴木「嬉しかったのは、この日本語の『想』のCDを持って行って歌ってるわけですよね。日本語なんてきっと分からないですよね。でも、その分からない日本語でもブラボーって拍手していただいて、日本語は分からないけれどすごく感動しましたって言っていただいた時に私の方が感動しちゃって。良かった、想いは伝わったと思ったんですね」
千「日本語って我々毎日しゃべってるんで気付かないんですけど全然これを違う言葉として耳から聞いてる人たちにはどういうふうに聞こえてるんでしょうね」
冴木「新鮮ですよ。ニューヨークで『夢路より』を歌いますでしょう?いつも英語で聞き慣れてるわけですよね。それが日本語になるとなんとも不思議な感覚で良かったですと言われると。不思議なものになるみたいですね」
千「なるほどね。冴木さん自身が日本語の詞をつけて三曲ほどやってるじゃないですか。日本語にこだわる理由っていうのは何なんでしょう」
冴木「日本語って日本の単一の言語じゃないですか。その日本語の美しさみたいなものを伝えたかったんですね、日本語を知らない方に。だからレコーディングするときもある意味日本語を大切に一つ一つ言葉を大切に歌ったんですね。日本語を伝えたかったわけなんですよ。そしたらフランスでは今度日本語習ってみたくなりましたと言っていただけたんですよ。なんか嬉しいなって。私達がフランス語の歌を聴いた時にフランス語習ってみたいなとか、面白いなと思うのと同じ感覚で向こうの方に日本語を親しんでほしいなと思ったんですね」
千「我々が例えばアルゼンチンというイメージ、タンゴとかワインとかね、向こうもフジヤマ、ゲイシャじゃないけど、いろんな微妙なニュアンスで日本語が響いていくのかなっていうのはワクワクしますよね。えーと全国ツアー中ということで。明日は広島、ということはですよ、大宮で名古屋でしょ?で、福岡やって今日東京でしょ?明日広島?大丈夫なんですか」
冴木「大丈夫です」
千「ちょっと事務所働かせ過ぎじゃないですか。ちょっと稼ぎ過ぎ?はっきり言って」
冴木「(笑)、言っときましょうか」
千「すごいですね、5連ちゃんてね。なんかロックコンサートのようですけど。バイタリティありますよね」
冴木「そうですね。やっぱり歌が好きで楽しいんですよね。歌詞の内容も結構重たいといいますか濃いですよね。だからガーッといくんですけど心地よい疲れというんですか、終わった後。でも千里さんもそうじゃないですか」
千「僕もたいがいステージでガッとエネルギー出してると自分で思ってたんですけど今日冴木さん見てすごいなーと思いましたよ。アーハッハハハ(笑)」
冴木「(笑)、ずいぶん残ってしまいましたね」
千「残りましたよ(笑)。すいません、そこだけじゃないですよ。(東京のコンサートの案内)これは何か考えてることありますか」
冴木「本当に盛り沢山、昔の懐かしいアルゼンチンタンゴからコンチネンタルタンゴからピアソラの曲、そして私のオリジナルのタンゴと盛りだくさんでお送りしようと思ってます」
千「じゃ今日聴いて、あ、いいなと思った人は是非行っていただきたいですね」
エンディングテーマは『幻想』